アメリカのトランプ大統領と、ウクライナのゼレンスキー大統領。この両者がさる2月28日、ホワイトハウスで行った「口論会談」のことが気になっている。
当初私は、この二人の口論は
「損得勘定にこだわるトランプ大統領と、〈正義〉にこだわるゼレンスキー大統領との立場の違い」
に起因するものと理解していた。
事実、この会談の中でトランプ大統領は次のように述べている。
「われわれはディールをまとめた。私はビジネスマンだ。ディールをまとめた、それが変わったことだ。」
(NHK NEWS WEB 3月2日配信)
奇しくもトランプ大統領は、自分を「ディール(取り引き)をまとめるビジネスマン」と規定している。
対してゼレンスキー大統領はどうか。
「彼(プーチン)はウクライナの東部とクリミアという大きな部分を2014年に占領した。それから何年も。(中略)彼はただ占領してわがものとした。人々を殺した。」
(同前)
つまりゼレンスキー大統領は、ロシアのプーチン大統領が〈正義〉を踏みにじった極悪非道な侵略者であり、〈正義〉はあくまでも自分の側にあると主張しているのである。
ここに見られる両者の立場の齟齬が激しい口論へと発展するのだが、口論がピークに達した時点で、トランプ大統領は「カード」という特徴的な言葉を使っている。
「(あなたは)いい立場にはない。カードを持っていない。われわれがいて初めて手札を手にできるのだ」
(同前)
これはどういう意味なのか。
この発言は、次の発言とパラレルであることを頭に入れればよい。
「あなたの国はとても困っている。勝ちそうにない。われわれのおかげでなんとかなる見込みが出てきたのだ」
(同前)
「ウクライナの装備品はみなアメリカが与えたものだ。兵士たちは勇敢だ。しかし、アメリカの装備品を使うしかない。もし、アメリカの装備品がなかったら、この戦争は2週間で終わっていただろう」
(同前)
つまりトランプ大統領は「ウクライナは〈力(武力)〉を持っていない」と言っているのである。〈力(武力)〉を持たないウクライナは、アメリカの軍事的支援がなかったら、とてもロシアに太刀打ちできず、〈正義〉がどうのこうのと御託を並べたところで、所詮そんなことは何の意味も持たない。
だから、ゼレンスキーよ、あなたは〈正義〉なんかにこだわる気持ちを捨てて、心から我々(アメリカ)に謝意を示し、素直に私の提案を受け入れるべきだ。ーーそうトランプ大統領は言っているのである。
ここではトランプ大統領は、もはや損得勘定にこだわるビジネスマンではなく、〈力(パワー)〉の如何にこだわるれっきとした政治家であり、国家指導者だといってよい。
(つづく)
当初私は、この二人の口論は
「損得勘定にこだわるトランプ大統領と、〈正義〉にこだわるゼレンスキー大統領との立場の違い」
に起因するものと理解していた。
事実、この会談の中でトランプ大統領は次のように述べている。
「われわれはディールをまとめた。私はビジネスマンだ。ディールをまとめた、それが変わったことだ。」
(NHK NEWS WEB 3月2日配信)
奇しくもトランプ大統領は、自分を「ディール(取り引き)をまとめるビジネスマン」と規定している。
対してゼレンスキー大統領はどうか。
「彼(プーチン)はウクライナの東部とクリミアという大きな部分を2014年に占領した。それから何年も。(中略)彼はただ占領してわがものとした。人々を殺した。」
(同前)
つまりゼレンスキー大統領は、ロシアのプーチン大統領が〈正義〉を踏みにじった極悪非道な侵略者であり、〈正義〉はあくまでも自分の側にあると主張しているのである。
ここに見られる両者の立場の齟齬が激しい口論へと発展するのだが、口論がピークに達した時点で、トランプ大統領は「カード」という特徴的な言葉を使っている。
「(あなたは)いい立場にはない。カードを持っていない。われわれがいて初めて手札を手にできるのだ」
(同前)
これはどういう意味なのか。
この発言は、次の発言とパラレルであることを頭に入れればよい。
「あなたの国はとても困っている。勝ちそうにない。われわれのおかげでなんとかなる見込みが出てきたのだ」
(同前)
「ウクライナの装備品はみなアメリカが与えたものだ。兵士たちは勇敢だ。しかし、アメリカの装備品を使うしかない。もし、アメリカの装備品がなかったら、この戦争は2週間で終わっていただろう」
(同前)
つまりトランプ大統領は「ウクライナは〈力(武力)〉を持っていない」と言っているのである。〈力(武力)〉を持たないウクライナは、アメリカの軍事的支援がなかったら、とてもロシアに太刀打ちできず、〈正義〉がどうのこうのと御託を並べたところで、所詮そんなことは何の意味も持たない。
だから、ゼレンスキーよ、あなたは〈正義〉なんかにこだわる気持ちを捨てて、心から我々(アメリカ)に謝意を示し、素直に私の提案を受け入れるべきだ。ーーそうトランプ大統領は言っているのである。
ここではトランプ大統領は、もはや損得勘定にこだわるビジネスマンではなく、〈力(パワー)〉の如何にこだわるれっきとした政治家であり、国家指導者だといってよい。
(つづく)
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