瞠目すべきニュースである。このニュースに接して、「これは大
変なことだ!」、「とんでもないことだ!」と感じる人は、たく
さんいるだろうと思う。6日前に行われた新潟知事選の、その投
票結果を知った今では、なおさらそう思えるのだ。この「大変な
」、「とんでもない」ニュース、――それは以下のとおりであ
る。
「東京電力福島第1原発事故後に福島県が設置した県民健康調査
検討委員会の委員で、子供の甲状腺検査を評価する部会の清水一
雄部会長(日本甲状腺外科学会前理事長)が、検討委に辞表を提
出していたことが分かった。清水氏は検討委が3月にまとめた「
放射線の影響とは考えにくい」との中間報告に疑問を感じ、「部
会長の立場では自分の意見が言えない」と辞任を決めたという。
清水氏は医師で、甲状腺の内視鏡手術の第一人者。原発事故当
時に18歳以下だった福島県の子供たち約38万人を対象にした
検討委の甲状腺検査では、これまでに174人が甲状腺がんまた
はその疑いと診断されている。」
(北海道新聞10月22日配信)
検討委の部会長を辞任した清水医師は、「甲状腺の内視鏡手術の
第一人者」だということだから、専門家として、「フクシマの子
供たちに甲状腺がんが多いのは、原発事故による放射線の影響が
あるからだ」とする「自分の意見」に、医学的見地から、強い確
信を持っていたに違いない。その確信が(自分が部会長を務める)
検討委の中間報告に反映できなかったので、辞任を決めたという
のである。
これは見逃せない、重大かつ深刻なことだと言わなければならな
い。部会長が、部会長の立場のままでは自分の見解を曲げざるを
得ない、ということは、外部から検討委に対して、相当大きな政
治的圧力が加わったことを意味している。
私が重大かつ深刻だと感じる問題、それは、子供たちの健康に対
して放射線の影響があったとか、なかったとか、そういうことで
はない。むろんこれも重大な問題には違いないが、それ以上に重
大かつ深刻だと思うのは、「専門家が真だと確信する見解」が政
治の都合によって、いとも簡単にねじ曲げられ、闇に葬り去られ
てしまう社会の現状である。真相を葬ろうとする圧力の震源は現
政権だと(私だけでなく)だれもが思うだろう。真相を覆い隠そ
うとしても、姑息な隠蔽策はすぐに見破られる。こうして現政権
への信頼が揺らぎ、政治そのものへの信頼が揺らぎ、やがてこの
国が国家としての体をなさなくなることを、私は憂えるのである。
日本という国家を崩壊の危機から救うために、身を挺したとも言
える清水医師の英断に、拍手を送ろうではないか。
変なことだ!」、「とんでもないことだ!」と感じる人は、たく
さんいるだろうと思う。6日前に行われた新潟知事選の、その投
票結果を知った今では、なおさらそう思えるのだ。この「大変な
」、「とんでもない」ニュース、――それは以下のとおりであ
る。
「東京電力福島第1原発事故後に福島県が設置した県民健康調査
検討委員会の委員で、子供の甲状腺検査を評価する部会の清水一
雄部会長(日本甲状腺外科学会前理事長)が、検討委に辞表を提
出していたことが分かった。清水氏は検討委が3月にまとめた「
放射線の影響とは考えにくい」との中間報告に疑問を感じ、「部
会長の立場では自分の意見が言えない」と辞任を決めたという。
清水氏は医師で、甲状腺の内視鏡手術の第一人者。原発事故当
時に18歳以下だった福島県の子供たち約38万人を対象にした
検討委の甲状腺検査では、これまでに174人が甲状腺がんまた
はその疑いと診断されている。」
(北海道新聞10月22日配信)
検討委の部会長を辞任した清水医師は、「甲状腺の内視鏡手術の
第一人者」だということだから、専門家として、「フクシマの子
供たちに甲状腺がんが多いのは、原発事故による放射線の影響が
あるからだ」とする「自分の意見」に、医学的見地から、強い確
信を持っていたに違いない。その確信が(自分が部会長を務める)
検討委の中間報告に反映できなかったので、辞任を決めたという
のである。
これは見逃せない、重大かつ深刻なことだと言わなければならな
い。部会長が、部会長の立場のままでは自分の見解を曲げざるを
得ない、ということは、外部から検討委に対して、相当大きな政
治的圧力が加わったことを意味している。
私が重大かつ深刻だと感じる問題、それは、子供たちの健康に対
して放射線の影響があったとか、なかったとか、そういうことで
はない。むろんこれも重大な問題には違いないが、それ以上に重
大かつ深刻だと思うのは、「専門家が真だと確信する見解」が政
治の都合によって、いとも簡単にねじ曲げられ、闇に葬り去られ
てしまう社会の現状である。真相を葬ろうとする圧力の震源は現
政権だと(私だけでなく)だれもが思うだろう。真相を覆い隠そ
うとしても、姑息な隠蔽策はすぐに見破られる。こうして現政権
への信頼が揺らぎ、政治そのものへの信頼が揺らぎ、やがてこの
国が国家としての体をなさなくなることを、私は憂えるのである。
日本という国家を崩壊の危機から救うために、身を挺したとも言
える清水医師の英断に、拍手を送ろうではないか。