趣味は読書。

気ままな読書記録と日々思うこと、備忘録

『村上春樹 雑文集』 村上春樹

2011年03月01日 | 村上春樹
ちょうど図書館の本が途切れたので、今がチャンスと読みました。
というより、読み出したら止まらなかったというのが本当の所です。

本当に村上春樹さんの文章が好きなのだと思いました。
選ぶ言葉や、切り口や展開の仕方などなど。
そして何より、文章のリズムがいいのです。

村上さんの小説でも同じことが言えるのですが、
ちゃんと物語を追っていけないことも度々あります。
途中ではぐれてしまい、道に迷うというような・・・。
でも、ちっとも嫌ではないのです。
流れに任せて読み進めばいいのだと分かっているので。

でも、こういった雑文やエッセイの類は、とっても気楽ですね。
心地いい文章に身をゆだねて、ただただ楽しめばいいのですから。
もしかすると村上春樹さんの小説が苦手な人は、
エッセイなど読まれるといいかもしれません。
とてもすっきりした、リズムのいい文章で読み易いと思います。



読み出したら止まらなくなったのには訳があります。
最初のほうに‘牡蠣フライについて’というくだりがあるのですが、
この表現の仕方が面白くて、ついつい読み進めてしまったのです。

読者の質問に答えた文章でした。
その答えが実に村上さんの創作活動を表していて、興味深かったです。

もっとも印象深かったのは、地下鉄サリン事件について
アメリカの雑誌の依頼を受けて書かれたものです。
結局この文章は掲載されなかったそうですが、
とても心に響く内容でした。

また、改めてエルサレム賞受賞のスピーチを読むと、
‘システム’という言葉がじわじわ迫り、
決意のような、村上春樹という人の何かが
胸に迫ってくるような感じがしました。

音楽についてもたくさん書かれていて、
ホントにあれこれ楽しみな一冊です。
おすすめしま~す。。