趣味は読書。

気ままな読書記録と日々思うこと、備忘録

『錨を上げよ 上・下』 百田 尚樹

2011年01月26日 | 
百田尚樹さんの新刊、読みました~

本の帯には、こんな文字が・・・。
‘この男、いったい、何者か。
錨を上げよ――疾風怒濤の2400枚。圧倒的青春小説。’



疾風怒濤??2400枚?
内容は全く知らずに手に取りました。
上下巻ともに厚く、ずっしり重いのです。

この長い小説は、一人の破天荒な男の疾風怒濤な生き様が語られます。
主人公は、作田又三。
昭和30年に大阪の下町で生まれます。
4人の兄弟の長男坊ですが、悪ガキぶりから物語は始まるのです。

そこから、えんえんと波乱万丈ぶりは続きます。
読みながら、幾度となく主人公作田と著者の姿がダブってしまいました。
おそらく、この本に登場するエピソードの幾つかは
著者ご本人の実際の経験や見聞によるものではないかと思うほど
文章に説得力があり、激情がほとばしっています。

こういった小説は、きっと主人公にどれくらい共感するか、
のめり込めるかで、感想が大きく分かれると思います。
読みながら何度もその事を思いました。
そして、自分は作田又三に共鳴するか??
この男を魅力的に思っているか??

答えは、否、です。
ですが、この小説は‘圧巻’です。
ここまで描ききった作者に、拍手です。

共感はしませんが、誰の胸のうちにも似たような思いはあるよな、と思います。
魅力的だとは思いませんが、正直な生き様にエールを送りたいです。

人間誰しも上手くは生きられません。
迷いながら、後ろ向きながら、責めながら、失敗に倒れながら
生きていく道を探していくのだと思います。
その姿は、誰しも変わりはないのだと、
何をしてきたかではなく、どのように生きていくか
その不器用な生き様を、描いて見せてくれた作者に、拍手したいです。。