趣味は読書。

気ままな読書記録と日々思うこと、備忘録

「猫を抱いて象と泳ぐ」小川洋子

2009年06月23日 | 
いつもコメントを下さる
オカダさんのブログのレビューを読んで興味を持った本です。
人気のある本のようで
図書館で予約してようやく読めました。

読み始めてすぐに、あっ、好きな本だと思いました。
小川洋子さんの作品は初めてではありません。
第1回本屋大賞に輝いた『博士の愛した数式』は
とても好きな本です。
丁度その時期小川さんの本が図書館の書棚から出払っていて
気になりながら、残っていた数冊を読んでそれきりになっていました。

主人公はもちろんのこと
物語を紡いでいるのは皆、社会的弱者と呼ばれる人々です。
心や身体のどこかにハンデを持ち
片隅でひっそりと片寄せあって生きている・・・。
そうした心優しい人々をつないでいるのが
‘チェス’

チェスは詳しくないのですが
チェスをする二人が描く世界があるということ、
棋譜というものがそれを描いてみせるということ
そこがこの物語の核心なのではないかと
感じました。

そして、それは
「説明しなければ分からないことは、説明しても分からない。」
ということではないかと。

ずっと心に残っている『1Q84』の天吾くんのお父さんの言葉です。
リトル・アリョーヒンが黙して語らず
チェスの海を泳ぐ時
紡まれる詩の世界は、まさにこれではないかと。
そして、世界というものは、語らないモノにこそ意味があるのではないかと。。