まだ続いてます、凝りもせず「鎌倉殿の13人」関連の読書。
そろそろ終わりにしようかなと思いつつ、1冊を読み終わるとまたその先が読みたくなる。
今まで読んだ本はこの2冊の前に「炎環」(永井路子著)と「鎌倉殿の世界」(複数の著名作家著)。
「言の葉は、残りて」以外は鎌倉時代の歴史小説短編集となります。
ひとつ一つの作品は時系列になっており、主人公も一人ですが、重なる話もあり、
読解力不足の私は、読み進むうちにやや混乱してきます。(苦笑)
前2作の読後感はこちらをクリックしてください→「大河ドラマに魅せられて」。
「鎌倉燃ゆ」は7人の作家が、鎌倉時代初期に登場する人物を描いています。
「水草の言い条」では大河ドラマ主人公の北条義時を、「蝸牛」では頼朝の娘、大姫と静御前を、
「曾我兄弟」では曽我十郎五郎のあの有名な仇討を、「讒訴の忠」では梶原景時を、
「非命に斃る」では鎌倉2代将軍、源頼家を、「重忠なり」では忠義者であった畠山重忠を、
「八幡宮雪の石階」では三代将軍「実朝」を描いています。
今回の大河ドラマで脚光を浴びることになった鎌倉時代。
あまりに表面的なことしか知らなかった自分にショックを受けるほど、
様々な人物、様々なキャラクターがクロスし、時代が進んでいったのですね。
この本の最終章の「源 実朝」の生涯を読み、もっと詳しく知りたいと飛びついたのが、
次に読んだ「言の葉は、残りて」(佐藤雫著)です。
三代将軍「源実朝」といえば、鶴岡八幡宮の石の階段で公暁に襲われ、命を落した悲劇の将軍!
恥ずかしながら、その程度の知識しかなかった私は、夢中になって読みふけりました。
これは感動的な歴史恋愛小説と言えるのではないでしょうか。
武の力ではなく、言の葉で世を治めたいと願う心清らかな将軍実朝に私はほれ込みましたよ。
都から嫁いできた公家の姫・信子との夫婦愛に心温まるものがあります。
実朝は文芸には優れているものの、将軍としてはひ弱で無能というイメージが強いですが、
そんなことはありません。様々な葛藤を乗り越え、有能な将軍へと一歩を歩み出した矢先、
血で血を争う殺伐とした世に、夢かなわず命を落としまいました。
しかし実朝の言の葉は藤原定家の案で「金塊和歌集」として残ることになります。良かった!
今まで読んだ本が少々固い筋であったため、ロマンス小説ともいえるこの本は、
長編小説として実朝の生涯が丁寧に描かれ、また文体も優しく、とても読みやすかったです。
初めてであった作家、佐藤 雫さんの他の小説も読んでみたくなりました。
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