随分大げさなタイトルになってしまったが、読書の話です。
月に2冊本を読むという課題を念頭に課した。
今年に入って今3冊目が進行形だが、その本の話は後ですることにして、
1冊目は読後感をブログにも載せた「仮面病棟」(知念実布人著)。
はっきり言ってこれは面白くなかった。(感想はひとそれぞれでしょうが)
2冊目に読んだのが友達のお薦めで、「喜嶋先生の静かな世界」(森博嗣著)。
この作品は大学で研究者を目指す男性が主人公で、それを取り巻く人間像や研究室の様子が描かれている。
著者森博嗣本人の自伝的小説と言われている。
大学、特に修士課程の大学院、そして博士課程、私たちの知らない学問の世界の内部事情が興味深い。
学者を志す人間の飽くなき研究への情熱と純粋さが言葉の端々、行動のすべてに現れ、
なんという崇高な本だろうと思った。
タイトルは「静かな世界」、何が静かかというと、特にあらすじはないのだけれど、
読んでい静かな穏やかな気持ちになれる本だった。
以前読んだ小川洋子さんの「博士の愛した数式」に通ずるものがあると思った。
物語としてはやや単調だが、最後の終わり方が衝撃的でショックだった。
理工系を目指す高校生にぜひ読んでもらいたい本だ。
個人的なことで恐縮だが、私の身内にも博士号を取得して研究に勤しんでいるものがいる。
この本を読んでいて、彼らがとても偉大に見えてきて、ちょっと見直した。
義母、叔母としてとても誇らしく思う。
そして続いて急に読みたくなったのがあの小保方晴子さんの「あの日」。
前半は彼女の研究への情熱が語られている。とても優秀な方で、将来を嘱望されていた。
論文捏造事件で学者の道も、生きる道さえも閉ざされたような彼女が、
とても気の毒になり、もったいない人材を失ったと、私はとても残念に思う。
まだ読了していないので何とも言えないが、決して恣意的なものではなかったと信じたい。
いろいろな行き違い、思い違い、若いが故の彼女の未熟さもあったのだろう。
彼女にすべての責任があるように報道されていたが、この本に書いてあることが事実なら、
理研の上層部、彼女を指導した先生方、すべてが責を負うべきだと思う。
マスコミ、メディアの取材攻撃も凄まじく、正常な精神、思考力ではいられなかったゆえ、
弁解も説明もその後の検証実験も不十分、研究者同士の嫉妬も渦巻き、
自ら命を絶つ犠牲者まで出てしまう悲しい事態となった。
今彼女はどうしているのだろう。
ぜひ立ち直って新しい人生の再スタートを切ってほしい。陰ながら応援している。
科学の世界は全くわからない私、勝手な彼女の援護を読み流しください。