「性彼害を訊ねる」11月13日
『捜査員らが性被害 児童への聴取研修』という見出しの記事が掲載されました。その研修では、『児童は大人の質問に引きずられやすく、繰り返し質問されることで記憶が混乱する』『児童の発言を安易に言い換えない』ことが重要だという指導がなされたそうです。そして、この研修を受けた捜査員は、『事件の要点を聞きがちだったが、子供に全部説明してもらうことが重要と分かった』と話していました。
以前このブログの「それはつまり」で述べたことの繰り返しになりますが、この捜査員向け研修の内容は教員にとっても大変重要なものです。教員が犯しがちな過ちとして、子供の発言を言い換えるということがあります。子供がまだ話しているにもかかわらず、「それはつまり~ということだね」「○○さんが言いたいのは~ね」などと、教員の言葉で表現してしまうのです。
こうした場面では、子供は「ちょっと違うんだけど…」という思いを抱きながらも、教員への遠慮や面倒くささもあり、それを受け入れてしまいます。こうした経験を重ねていくと、子供は自分の思いを懸命に伝えようという意欲を低下させていきます。「どうせ先生がまとめてしまう」、ということを学習してしまうのです。これでは、思考力も表現力も育ちません。
また、子供の発言に曖昧な部分があると、「どういうことかな。もう一度整理して言ってみて」「それは~ということ?それとも…なの」など、教員が質問したり再度の説明を促したりすることもよくあります。じっくりと考えることを許されなくなった子供は混乱し、「うまく言えなかった」という失敗感だけが残ります。そして、発言することに消極的になっていくのです。
上記のようなケースでは、教員には悪意はありません。子供の発言の意味を明確に他の子供に伝え、話し合いの中で生かそうという善意に基づく行為なのですが、結果はプラスには働きません。うちのクラスの子供は話し合いが下手、積極的に発言する子供が少ないなどという教員は、必ずと言ってもよいほど、こうした間違いを犯しています。
ここで、教員に足りないのは、待つ能力と子供への信頼感です。無意識のうちに子供の能力を信頼していないからこそ、このまま放置していたのではこの子は何も言えなくなってしまうと考え、「助け船」を出してしまうのですし、待つことに耐えられないのです。しかし、授業を録音し聞き直してみれば、子供の沈黙時間はごく短いことが分かります。教員が30秒に感じている沈黙が、実際には10秒足らずであることがほとんどなのです。私も待てない教員でした。しかし、授業記録をとるようになり、自分の我慢の足りなさを発見することができました。
授業が上手くいかないという若い教員は、自分の待ち時間に着目して、ストップウォッチを手に授業記録を聞いてみることをお勧めします。
『捜査員らが性被害 児童への聴取研修』という見出しの記事が掲載されました。その研修では、『児童は大人の質問に引きずられやすく、繰り返し質問されることで記憶が混乱する』『児童の発言を安易に言い換えない』ことが重要だという指導がなされたそうです。そして、この研修を受けた捜査員は、『事件の要点を聞きがちだったが、子供に全部説明してもらうことが重要と分かった』と話していました。
以前このブログの「それはつまり」で述べたことの繰り返しになりますが、この捜査員向け研修の内容は教員にとっても大変重要なものです。教員が犯しがちな過ちとして、子供の発言を言い換えるということがあります。子供がまだ話しているにもかかわらず、「それはつまり~ということだね」「○○さんが言いたいのは~ね」などと、教員の言葉で表現してしまうのです。
こうした場面では、子供は「ちょっと違うんだけど…」という思いを抱きながらも、教員への遠慮や面倒くささもあり、それを受け入れてしまいます。こうした経験を重ねていくと、子供は自分の思いを懸命に伝えようという意欲を低下させていきます。「どうせ先生がまとめてしまう」、ということを学習してしまうのです。これでは、思考力も表現力も育ちません。
また、子供の発言に曖昧な部分があると、「どういうことかな。もう一度整理して言ってみて」「それは~ということ?それとも…なの」など、教員が質問したり再度の説明を促したりすることもよくあります。じっくりと考えることを許されなくなった子供は混乱し、「うまく言えなかった」という失敗感だけが残ります。そして、発言することに消極的になっていくのです。
上記のようなケースでは、教員には悪意はありません。子供の発言の意味を明確に他の子供に伝え、話し合いの中で生かそうという善意に基づく行為なのですが、結果はプラスには働きません。うちのクラスの子供は話し合いが下手、積極的に発言する子供が少ないなどという教員は、必ずと言ってもよいほど、こうした間違いを犯しています。
ここで、教員に足りないのは、待つ能力と子供への信頼感です。無意識のうちに子供の能力を信頼していないからこそ、このまま放置していたのではこの子は何も言えなくなってしまうと考え、「助け船」を出してしまうのですし、待つことに耐えられないのです。しかし、授業を録音し聞き直してみれば、子供の沈黙時間はごく短いことが分かります。教員が30秒に感じている沈黙が、実際には10秒足らずであることがほとんどなのです。私も待てない教員でした。しかし、授業記録をとるようになり、自分の我慢の足りなさを発見することができました。
授業が上手くいかないという若い教員は、自分の待ち時間に着目して、ストップウォッチを手に授業記録を聞いてみることをお勧めします。