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ヒマローグ

毎日の新聞記事からわが国の教育にまつわる思いを綴る。

現実的不正義

2025-07-02 08:21:11 | 我が国の教育行政と学校の抱える問題

「トランプ流はダメ」6月21日
 『イスラエルへの自制促しは困難 トランプ氏』という見出しの記事が掲載されました。トランプ氏が、『イスラエルに対してイランへの攻撃をやめるように促すことは「非常に難しい」と述べ、交戦で優位な状況にあるイスラエルを抑えるのは困難だとの見方を示した』ことを報じる記事です。
 トランプ氏は、ロシアのウクライナ侵攻について、大統領就任前に24時間で解決できると豪語していました。いまだに何ら進展がありませんが、これまでの発言から、「劣勢な方が譲歩するのが現実的解決であり、正義不正義は関係ない」という考え方をしていることは明らかです。
 今回も同じです。正義不正義、戦争で言えばどちらが先に侵略攻撃をしたかには関係なく、今優勢な方の主張が優先されるべきという考え方です。優勢であるイスラエルが戦争は止めないと言っているのだから止めさせられないという理屈です。最悪です。
 しかし、こうした考え方を現実的という一点から支持する人もいるようです。スケールは違いますが、同じような発想で問題解決に当たろうとする人たちがいます。それは、いじめ問題を加害者寄りの立場で解決しようとする教員や学校管理職たちです。
 いじめ問題は、常に加害者側が優勢です。人数も多いですし、学級内の影響力も上回っていることがほとんどです。学級内世論も、加害者側がコントロールしているケースが多いのです。そうした背景の中で、教員は「多くの子供が納得する解決には、加害者側の顔を立て、メンツを守ることが現実的で早期の実現が可能」と「冷静に」判断します。
 そこで形式的正義、つまり表面的な軽い謝罪、「いじめているつもりはなかった。ふざけて遊んでいるつもりだった。そんなに嫌な思いをしているなんて思いもしなかった。でも嫌な思いをしていたのなら、それに気付かずにごめんね」という謝罪と、悪意はなかったんだから許すのが人の道という倫理観の押し付け、その裏には謝っている相手を許さないというのなら今度はお前が悪者だからなという脅しで、双方に握手をさせ、「これでお終いにしよう。みんな同じクラスの仲間なんだから」という教員の終結宣言で解決を装う、ということです。
 こんな茶番を解決と呼ぶならば、トランプ氏ではありませんが、どんないじめも24時間で解決してみせると豪語したくなります。いじめも戦争も、正義という観念抜きには真の解決はあり得ません。
  いじめ問題解決における正義は、人権の尊重です。極端なことを言えば、被害者が加害者とは絶対に口を利かない、永久に許さないと考えているならばそれでよいのです。被害者が自分の人権が尊重された、人として認められたと考えるならば、加害者との人間関係の修復など不要なのです。学校はまず第一に正義の実現を目指す場所でなければなりません。

 

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