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ヒマローグ

毎日の新聞記事からわが国の教育にまつわる思いを綴る。

余裕の確保

2013-11-02 07:54:32 | Weblog
「余裕の確保」10月28日
 『深刻さ増す現場の疲弊』という見出しの特集記事が掲載されました。NPOが全国の小学校教員を対象に行ったアンケート調査の結果を報じる記事です。記事によると、『教員の多忙化は、国が定数増など対策を打ってはいるが、解消されていない実態が浮き彫りになった』ということで、教員の様々な生の声が紹介されています。
 記事の中に気になる記述がありました。『(多忙化の)打開策として、要望が最も多かったのは「時間的な余裕の確保」(75%)』というものです。よく考えると、これは回答になっていません。多忙とは、仕事量に比べて職務遂行に費やすことができる時間が少ないと言うこと、即ち「時間的な余裕がない」ということなのですから、単に質問を裏返しにしただけに過ぎません。問題になるのは、「時間的な余裕の確保」を実現するためにどのような手だてをとるか、ということです。
 記事のは、そこまで突っ込んだ記述はありませんでした。アンケートの選択肢に具体的な手立てがあったのかということも分かりません。そこで、私なりに考えてみることにします。その際、学校の本務である学力の維持向上に悪影響を及ぼさないことを絶対条件とします。
 教員の多忙という問題解決の考え方としては、「仕事量を減らす」というのと「職務に費やすことができる時間を増やす」という2つがあります。しかし、労働基準法により労働時間の上限が決められていることから考えても、労働時間の延長は教員の疲弊化を悪化させることからも、後者は不可能です。したがって、仕事量を減らすしかありません。
 教員が負担する仕事量を減らすには、①教員の仕事の一部を他の職種に移管する、②教員の仕事の範囲を減らす、③教員の職務に求められる完成度を下げる、④同一の仕事を負担する教員の数を増やす、⑤教員の仕事の困難さを軽減する、などが考えられます。
 ①は、校務の中で教員でなくても処理可能なものを事務職員などの所管事務にすることなどが考えられます。当然、事務職員からの反発が予想されます。②は、部活や給食、清掃などの活動を廃止したり、学校教育に付託される教育課題を減らすことなどが該当します。より、根元的には、家庭や地域社会が担う部分を増やし、基本的な生活習慣などは学校の責務ではないとすることですが、楽をしたい保護者の猛反発は必至でしょう。③は、ある程度の落ちこぼしや不登校、いじめ、問題行動などは容認するという社会的な合意をえるということになりますが、完璧主義で学校依存が強い我が国では不可能でしょう。④は、予算措置が必要ですが、昨今の国や自治体の財政状況を見ると悲観的にならざるを得ません。⑤は、家庭が子供の「完成度」を高めて学校に送り出すことですが、これも現状では望み薄です。
 要するに、多忙化の解消はとても難しいということです。だからといって放置して済ますことはできません。困難さを克服するためには、漠然と「時間的な余裕の確保」を要望というのではなく、より具体的に、例えば上記の①~⑤の中の何が望ましいのかを集約し、一点突破的な考えで頑丈な壁に風穴を開けていかなければならないのです。
 私は、②と⑤に注力すべきだと考えています。

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