「本当に知っている?」11月11日
『道徳「特別の教科」に』という見出しの記事が掲載されました。記事によると、「道徳教育の充実に関する懇談会」が、報告案を公表したそうです。その中では、『「特別の教科 道徳」(仮称)という新たな枠組みとして格上げ』し、『道徳教育に優れた教師を「道徳教育推進リーダー教師」(仮称)として配置』するのだそうです。
道徳教育については、このブログでも、いじめ問題との関係、実施率との関係から再三取り上げてきましたが、正直に言って、学校における道徳教育について熟知しているメンバーが話し合っているのだろうかと疑問に感じてしまいます。間違いだらけの提言です。ここでは、繰り返しになってしまうので、いじめ問題や実施率との関係についてはふれず、他の面から述べてみたいと思います。
まず、「格上げ」という考え方です。現在の教育課程は、教科・道徳・特別活動・総合的な学習の時間という4領域で構成されています。つまり、道徳は、国語・社会・算数・理科・音楽・図画工作・体育などの総体である「教科」と同等の扱いなのです。学級会やクラブ活動、児童会や学校行事など「特別活動」とも同等の扱いです。それなのに提言では、教科の中の一部になってしまうのです。いくら「特別」という修飾語をつけても教科は教科でしかありません。
以前にも述べたことですが、全教育活動を通じて行うからこそ、道徳の研究に取り組み学校が多いのです。教科になってしまえば、小学校の専科教員や中学校の副担任などにとっては、「自分には関係がない」教科となってしまい、従来の取り組みレベルから低下することになってしまうのです。これが「格上げ」でしょうか。私には格下げとしか思えません。
また、「道徳教育推進リーダー教師」の位置付けが曖昧です。何を担うのでしょうか。現在も各校には道徳主任がいます。違いは何なのでしょうか。年間計画の作成、副教材の収集・管理、他の教員からの指導上の相談に対応程度であるならば、何も変わりません。それ以上の職務、例えば、授業観察をして問題点を指摘し授業改善を図るというようなことを想定しているのであれば、主幹などと同様、新たな「職」としての位置付けが必要になります。
確かに道徳主任の中には、さほど道徳教育に通暁していない者もいます。しかしそれはその学校に道徳教育のエキスパートがいないからです。現在の教員異動においては、主幹教員のように道徳主任について特別に異動要綱を設けるシステムにはなっていないので、偏りが生じているのです。
「道徳教育推進リーダー教師」に主幹のように他の主任職とは異なる権能をもたせ、給与表を改訂し、異動要綱で各校配置を義務付けるシステムに変えるのでしょうか。教員異動の実務に携わったことのある者として、これ以上の複雑化は現実的ではないように思います。
もっとも、「なべぶた」と揶揄される学校組織を変えるために、出来るだけ多くの中間管理職を設けようという意図であれば、理解できないこともありませんが。
『道徳「特別の教科」に』という見出しの記事が掲載されました。記事によると、「道徳教育の充実に関する懇談会」が、報告案を公表したそうです。その中では、『「特別の教科 道徳」(仮称)という新たな枠組みとして格上げ』し、『道徳教育に優れた教師を「道徳教育推進リーダー教師」(仮称)として配置』するのだそうです。
道徳教育については、このブログでも、いじめ問題との関係、実施率との関係から再三取り上げてきましたが、正直に言って、学校における道徳教育について熟知しているメンバーが話し合っているのだろうかと疑問に感じてしまいます。間違いだらけの提言です。ここでは、繰り返しになってしまうので、いじめ問題や実施率との関係についてはふれず、他の面から述べてみたいと思います。
まず、「格上げ」という考え方です。現在の教育課程は、教科・道徳・特別活動・総合的な学習の時間という4領域で構成されています。つまり、道徳は、国語・社会・算数・理科・音楽・図画工作・体育などの総体である「教科」と同等の扱いなのです。学級会やクラブ活動、児童会や学校行事など「特別活動」とも同等の扱いです。それなのに提言では、教科の中の一部になってしまうのです。いくら「特別」という修飾語をつけても教科は教科でしかありません。
以前にも述べたことですが、全教育活動を通じて行うからこそ、道徳の研究に取り組み学校が多いのです。教科になってしまえば、小学校の専科教員や中学校の副担任などにとっては、「自分には関係がない」教科となってしまい、従来の取り組みレベルから低下することになってしまうのです。これが「格上げ」でしょうか。私には格下げとしか思えません。
また、「道徳教育推進リーダー教師」の位置付けが曖昧です。何を担うのでしょうか。現在も各校には道徳主任がいます。違いは何なのでしょうか。年間計画の作成、副教材の収集・管理、他の教員からの指導上の相談に対応程度であるならば、何も変わりません。それ以上の職務、例えば、授業観察をして問題点を指摘し授業改善を図るというようなことを想定しているのであれば、主幹などと同様、新たな「職」としての位置付けが必要になります。
確かに道徳主任の中には、さほど道徳教育に通暁していない者もいます。しかしそれはその学校に道徳教育のエキスパートがいないからです。現在の教員異動においては、主幹教員のように道徳主任について特別に異動要綱を設けるシステムにはなっていないので、偏りが生じているのです。
「道徳教育推進リーダー教師」に主幹のように他の主任職とは異なる権能をもたせ、給与表を改訂し、異動要綱で各校配置を義務付けるシステムに変えるのでしょうか。教員異動の実務に携わったことのある者として、これ以上の複雑化は現実的ではないように思います。
もっとも、「なべぶた」と揶揄される学校組織を変えるために、出来るだけ多くの中間管理職を設けようという意図であれば、理解できないこともありませんが。