ゆいツールブログ:NPO法人ゆいツール開発工房(ラボ)

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学生さんの感想(名古屋市立大編 )その2

2018年03月22日 | 6. エコツアー参加者の声

2月のツアー 学生さんの感想 Nさん

ゆいツールの方々が組んでくださった今回のプログラムは、エコツアーが主たるテーマだったと思う。小さなごみから作られるリサイクル商品、すべての材料が現地のものから作られるヤシ砂糖や伝統お菓子など、ものの循環を体験という形で見せてくださった。2年前にフィリピンのスタディツアーに参加した際は、ゴミ問題があるという現状だけを見たため、それに比べてインドネシアはゴミが少なく、住民による取り組みも実施されており、ゴミ焼却炉の機能性に頼る日本人(特に私の住む地域の人)が、逆に学ぶ面が多いように感じた。

プログラムとして組んでくださった体験は大変貴重なものであったが、それ以上に私の印象に残ったことは、ランタン村での生活だった。海外での初めてのホームステイは、とてもシンプルな暮らしだった。家にある電気製品は、照明、洗濯機、テレビ、炊飯器のみ。それでも生活はできた。冷たい水のマンディも苦にならず、多くのハエが寄ってきても全然気にならない。猫が家の中に入ってきたって、それは子どもの遊び相手になった。小さくてうす暗い家でも、自然に家族全員が居間に集い、円になって談話するような温かさがあった。朝ごはんを家の庭で食べていたら、ふらっと近所の住人がやってきて、気づけば隣に座っている。言葉は通じなくても、みんな笑顔だった。今まで20年以上日本で暮らしてきて、たった一度でさえこんなことはなかった。ランタン村での生活は、私にとってすべてが新鮮だった。そこにはたしかに心地よい感覚があった。これを、人間らしさが取り戻される感覚といっては、単純すぎるだろうか。日本各地で行われている「居場所」づくりなんて、村では必要ないほど、誰もが受け容れられ、そこに居られる場が自明としてあった。百聞は一見に如かずという言葉の通り、私の卒論でかいた「かつてあった村社会」や「存在自体が受け容れられる場」とはこういうことか、と感じとることができた。

また、ツアーを通じてロンボクで出会った人びとからも多くの気づきを得た。一人ひとり違った立場からの様々な考え方に触れることができ、人は一直線上に並ぶ必要なんてなく、いろんな生き方や考え方があっていいんだと思わされた。日本にいると、どこに住むか、何をするか、誰といるか、を決めないと安心できない。もっと自由で、流されるような生き方がしたいのに、それが許されない風潮がある。私は多くの場合、自分に迫りくる漠然とした危機感を原動力として、それをひたすら処理する生き方をしてきた、と振り返ってみて思う。一方で、ロンボクで暮らす人びとは、楽しさやあこがれといった前向きなものを原動力にしているように感じた。そのポジティブな姿勢の背景の一つには、宗教が大きく関係しているだろう。どんな話をするときも、彼らから神の存在を感じた。いいことがあると神に感謝し、悪いことがあっても神のせいにすればいい。文化的には一様性に近いが、信仰により人びとの生き方は多様に認められるのかもしれない。

ランタン村は、すべての住民が家族であり、宗教のある暮らしの中で、下心のない優しさに包まれた村だった。村には多くの若者や子どもがいたが、きっと彼らはあの土地に愛着をもっているだろう。しかし、日本にかつてあった村社会は、都市での労働力の需要により、またたく間に消滅していった。地方の高齢化、過疎化は留まることを知らず、人間関係は希薄化していった。私は、ランタン村もそのような未来になってしまわないかと、一抹の不安を抱く。彼らは、ずっとあの村で暮らしていきたいと考えているのだろうか。もっと多くの娯楽があって、たくさんのお金が稼げるところに行きたいと思っていないのだろうか。地域のつながりを失ってしまった日本人がロンボクへ行くことは、その大切さを感じる有意義な機会となった。では、便利さや先進性にあこがれをいだくロンボク人にとって、私たち日本人が関わることに、どんな意義があるのだろうか。開発を援助できる立場にある人間は、自分たちの生活を顧みながら、何が大切で何を守りたいのか、じっくりと考えることを怠ってはいけないと感じた。

誰も犠牲にしない開発をするには、より多様な視点から、より多くの立場の人に対する想像力が必要であると考えるが、今回のインドネシアでの小さな体験を通じて、それを膨らますことができ、私はより一歩優しくなれたように思う。

Nさんが参加したツアーの報告 ⇒ 報告①報告②報告③報告④報告⑤報告⑥報告⑦報告⑧

Yさんの感想はこちら

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