ゆいツールブログ:NPO法人ゆいツール開発工房(ラボ)

人と人、人と自然、人と環境などを「結う(ゆう)」ということに関して、団体の活動やスタッフの思いなどを紹介していきます!

日本にも村ツーリズムがありました!徳島県にし阿波の山里の暮らし

2019年08月01日 | ●コラム:日本の事例

◎ ◎ ◎ スタッフコラム ◎ ◎ ◎

先日、徳島県のにし阿波地域で村ツーリズムをしかけている団体の事例を学びに行ってきました。

一般財団法人都市農山漁村交流活性化機構(まちむら交流きこう)の企画した「農山漁村コニュニティ・ビジネスセミナー」に参加したのです。

徳島は行ったことがなく、いったいどうやって行けばいいのかもわかりませんが、パンフレットの裏面の地図を見ると、飛行機だと「徳島阿波おどり空港」「高松空港(香川県)」「高地龍馬空港」へ降り立ち、そこから「阿波池田」まで1時間20分または2時間近くかかるようです。東京駅から、新幹線のぞみに乗って行くと、岡山で特急に乗り換えて約5時間かかるそうです。

遠い。でも、しょっちゅう行っているロンボク島に比べれば近い。国内ですから。

さて、そんな山深いところに、外国人がたくさん訪れているというではありませんか。それも、観光バスに乗ったアジア人の団体旅行とかではなく、日本の山里の暮らしに興味を持って、ディープな日本を味わうためにやってくる欧米の人たちが。

にし阿波の観光地域づくりは「住んでよし、訪れてよし 住みたいまち 世界に通用する観光地域づくり」で、人口減少・過疎対策と謳われています。(資料より)

地元には長く農業を営んできた人々が暮らしていて、おそらく日本のどこにでもある過疎地なのだと思います。

そんなところへやってくる欧米の人たちは、日本の伝統に触れ、自然に触れ、農家の人たちの暮らしに触れ、非常に感激して帰っていくそうです。

なぜ、にし阿波でこんな特殊な取り組みが行えているのか話を聞いてみると…。

にし阿波は、元々15の自治体があり、それが合併で4つの自治体にまとまりました。

そして「にし阿波~剣山・吉野川観光圏」というのものができました。

この観光圏の整備について、官民で構成する観光圏協議会が計画を作って、行政・民間・DMO(Destination Management Organization:デスティネーション・マネージメント・オーガニゼーション)が一体となって取り組む仕組みができました。

広域が一体となって大きな目標を共有できるというのは、とても大切なことだと思います。

日本の場合、自治体毎に観光パンフレットがあって、市町村レベルではそんな狭い範囲の情報しかないの?と思うことがよくあります。

予算が縦割りなので、情報も縦割りになってしまっていて、もったいないです。

話は脱線しますが、最近環境省でも「地域循環共生圏」という考え方をベースに施策が動いているようです。

 ※「地域循環共生圏」とは、各地域が美しい自然景観等の地域資源を最大限活用しながら自立・分散型の社会を形成しつつ、地域の特性に応じて資源を補完し支え合うことにより、地域の活力が最大限に発揮されることを目指す考え方。「地域循環共生圏」は、農山漁村も都市も活かす、我が国の地域の活力を最大限に発揮する構想。(環境省のWEBサイトより)

なんにしても、小さな範囲ではなく、ある程度の広さを前提に計画を作ったり、協力し合ったり、融通し合ったりすることは、観光という分野でもとても意義があることだと感じます。

外国人向けのプロモーションビデオを紹介してもらいましたが、まさにイメージを売るといった感じで、日本でよく見かける観光ビデオとはまったく異なりました。

そういえば、セミナーで初めて聞く言葉がありました。「ポタリング」和製英語だそうです。

サイクリングよりも、もう少し街中をゆっくりと散策するような意味に近いようです。

にし阿波では、ポタリングを仕掛けている会社があります。折り畳みができる自転車を使って、電車やバスに乗って3時間から8時間のツアーを楽しめるようです。

こういう、他ではあまりやっていない乗り物を使ったツアーなどがあると、面白そうだな、行ってみたいな、という気持ちが沸き起こってきます。

ところで、世界ではサステイナブル・ツーリズムという概念が一般化しています。

(日本で、サステイナブル・ツーリズムという概念を拡げようとしてるNPO法人日本エコツーリズムセンターのWEBサイトはこちら

国際認証もあります。日本ではまだ広がっていませんが、世界基準を取り入れて持続可能な観光地開発を進めていくことが、今後世界的に求められていくことになるかもしれません。

にし阿波の取り組みは、ロンボク島の村ツーリズム開発を進めているゆいツールの活動とコンセプトが一緒で、とても共感できました。

失われかけている伝統、守るべき自然、人の温かさ、そういうものを活用しながら残せる方法が、村ツーリズムあるいはサステイナブル・ツーリズムなのかもしれません。(山)

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秋の西多摩で新しい魅力探し~参加者の意見や見えてきた課題など~ in Tokyo

2018年11月23日 | ●コラム:日本の事例

◎ ◎ ◎ スタッフコラム ◎ ◎ ◎

今回は、前回のブログの続きで、東京都主催(受託JTB)の「西多摩の秋の自然の魅力発見ツアー(1泊2日)」の最後の意見交換会で出た意見や、見えてきた課題などについて書きます。(ちなみに参加していたのは、旅行関係の会社の方が中心でした。ゆうちょ銀行の方もいらっしゃいました)

各アクティビティ毎に「良い点」と「工夫が必要な点」を話あった後、「ツアーの魅力づけ(専門ガイドの活用)」と「西多摩地域の観光資源を売る方法」について意見交換をしました。

時間があまりなかったので、お互いの感想を共有したり、他のグループの意見を聞いたりするくらいしかできませんでしたが、自分の中では課題がくっきりと見えた時間でした。

私のグループで好評だったのは、「電動サイクリング」「大岳鍾乳洞」「紙漉き」などでした。

こちらは、ひのはらいどの自転車。ひのはらいど実行委員会は、檜原村を多くの方に自転車で楽しんでもらうこと、それを通じて檜原村そのものを楽しんでもらうこと、そして檜原村のファンになってもらうことを目指しているそうです。年に2回、サイクルロゲイニング大会を催しています。レンタサイクルもあります。

さて、私たちはツアーの中で自転車に乗ったのはほんの2-30分程度ではなかったかと思います。

電動アシスト自転車に初めて乗った、という人が、私を含めて結構いました。

ちょっと坂になっていても、ちょっと遠くても、この自転車さえあればスイスイとこいで行くことができるため、便利だなーと思いました。

私たちのツアー日は快晴だったため、空気はひんやり冷たくてもとても気持ちよくサイクリングができました。

また、ガイドがついていたので、要所要所で説明をしてくれたり、安全を確認してくれたりしてよかったです。

ガイドをしてくれたジンケンさんが所属するのは「東京裏山ベース」というアウトドアと地域観光の拠点です。

武蔵五日市駅の目の前にあるので、とっても便利。

そして、「裏山ライドTokyo」は、主にマウンテンバイク等のスポーツ用自転車愛好家に向けて、東京都西部の自然豊かなエリアを「自転車で遊ぶ」ためのごく小規模・少人数イベントを企画しています。

また、紙漉きは、敷地に生えている楮(こうぞ)の木を実際に見たり、井戸水で楮をほぐしたり、その中にふよう(トロロアオイ)のとろっとした液を加えたり、日の当たるお庭でコーヒーを飲みながら休憩したり、おしぼりに液を投入して絞ったり、色々な体験をすることができました。

楮について説明する、hinode wahiのご主人、国高さん。

体験の中にストーリーが見えていたこと、お土産で持って帰るものがあったこと、などが参加者から高く評価されました。

私個人的には、檜原村郷土資料館で案内してくれた館のスタッフ(女性)の実体験の話が面白かったです。

昔お嫁に来た当時は夕食はいつも麺類だったこと(檜原村はお米が取れないため)、じゃがいもが嫌いなのに檜原村はじゃがいもの名産地でじゃがいもばかり食べされたこと。

そういう地元の人の話が聞けるツアーを作ったらいいのでは、と思いました。

また、今回ツアーの中で地元の物産を買う時間が少なかったのが残念、というのが多くの参加者の声でした。

宿泊した瀬戸の湯の物産店は少し見たのですが、夕食前の慌ただしい時間で閉店も20時だったためになんだか消化不良でした。

瀬戸の湯は、泉質はアルカリ性で、宿泊棟はメゾネットタイプ。残念なのは、メゾネットからお湯の建物まで、一度外に出ること。

雨が降っていたり寒い季節だとお風呂に行くのがおっくうになりそう。

お風呂の建て物にはお食事処もあって、外のテラスではくつろげる寝椅子が置いてあったりして、雰囲気はとてもよかったです。

が、お風呂は22時まで、お食事処は21時まで、と閉まるのが早いため、見知らぬ人同士がちょっと会話をするところやお酒を飲みながらくつろぐところがなく、中途半端な感じがしました。

もちろん、気心の知れた仲間や家族と泊りに来て、メゾネットで楽しめばいいのかもしれませんが。

外に足湯がありましたが、食事から帰ったときにはもう消灯してあり、朝も9:00くらいにやっと暖め始めているような感じでした。

あとで聞いた話では、ここのお湯は重油で焚いているとのこと。木質バイオマスに囲まれているのに、もったいないね、と感じました。

それでも、同じ部屋になった日の出町のガイドの方の話だと、この宿は予約を取るのがとてもたいへんだということです。

私としては、日帰り湯で楽しみたいなぁというところです。

↑ 実は魅力がいっぱいな西多摩地方。

意見交換で、「もっとこうしたら?」という意見で印象に残っているのが、「郷土資料館で祭りの衣装などを着て写真を撮る」みたいな、インスタ映えしそうな、外国人が喜びそうなサービスがあるといいのでは、という意見や、「近隣の(高尾山などの)観光スポットと広域な連携を図ったらどうか、というものでした。

「なるほど。広域な連携!」と膝を叩いたものの、だれが?と考え込んでしまいました。旅行会社が?自治体が?ガイド個人が?観光協会とかはなにをやっているの?と思いましたが、地元が求めるようなことはやっていないのかもしれないなあと思いました。(公的なお金の限界、ということもグループの中では話が出ました)

ある参加者からは、「地元の人が、もっと自分の地元に自信を持ってほしい。自分のところにある宝に気がついていないような感じ」という意見がありました。また、「食べ物に関して、ローカリゼーションが足りなかった」という意見も。つまり、これは地元で採れたもの、あるいは地元で作ったもの、というところが弱かったかな、と。逆に言えば、もっと地元のものを活用して、もっと積極的にアピールすれば、旅行者は喜ぶのに、ということです。

西多摩には、きれいな空気ときれいな水がありました。静かな夜がありました。若い参加者は「ここが東京だなんて信じられないね」と言っていました。外国人向けだけでなく日本人にとっても、日本の原風景が残っている場所としてとても貴重なところです。

一番の課題は「西多摩の魅力がまだまだ知られていない」ということです。

また、これからの西多摩の観光を考えたときに、キーになるのは「人との交流」ではないか、という話がありました。

そして、ガイドはインタープリターであり、地元のコーディネーターでもあるので、旅行者と地元の人をつながぐような役割をもっと担っていってほしい、という期待がありました。

ところで、ツアーから帰ったちょうど翌日の東京新聞にこんな記事がありました。(地図上で赤線で囲んであるところが、西多摩地方です)

そんなわけで、どういうわけか西多摩観光大使でもなったような気分です。

東京に住んでいるのであれば、もう少し西多摩と親しくなってみてもいいかな、と考えているところです。

(山)

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秋の西多摩で新しい魅力探し in Tokyo

2018年11月21日 | ●コラム:日本の事例

◎ ◎ ◎ スタッフコラム ◎ ◎ ◎

今回は、日本で村ツーリズムのヒントを探しに行きました。

東京都主催(受託JTB)の「西多摩の秋の自然の魅力発見ツアー(1泊2日)」に参加しました。

Perjalanan ke daerah Tama Barat yang berada di Tokyo.

両日ともよいお天気に恵まれ、さまざまなアクティビティを楽しみました。

電動レンタサイクル(ガイド付)に乗ってみたり。(檜原村)

神戸岩(かのといわ)という、チャートでできた岩(大昔の海の中の生きものが化石化した岩)の縁を歩いたり。(檜原村)

檜原村郷土資料館へ行った後、苔庵という、苔の世界が楽しめるところへ行ったり。

(今回は、柚サワーと玄米茶を作って沢の水を味わいました)(あきる野市)

大岳鍾乳洞を見た後、秋川渓谷の瀬戸の湯に泊まりました。(あきる野市)

夕食は、武蔵五日市駅前のCANVASで。(あきる野市)

翌日は、和紙作り体験をしました。(hinode washi TOKYO)(日の出町)

この、屋根から下がっているランプシェードも和紙です。

こんなシュワシュワ感をどうやって出すのかな、と思っていたら。今回の和紙作りはなんと、おしぼりを使います。

こうぞから採った和紙の素になる繊維を水の中でほぐします。

そして、おしぼりへ投入。

ひゃー、簡単でした。

水は、お庭の井戸水で。

できあがりはこれ。中にランプが入っています。

その後は懐石料理、燈々庵へ。(あきる野市)

懐石料理というものは、目で楽しむものですね。

その後、二宮神社の湧水池へ。(あきる野市)

最初、湧水と知らずに池を見て、いったいどんなふうに管理しているんだろう?と思ったのですが、湧水とはこんなにも透き通っているものなんだ、と初めて知りました。(山から湧き出る水には栄養が少ないため、藻などが繁殖しにくいのかな、と思います)

ツアーの最後は、短い時間の中で参加者同士で意見交換を行いました。

その内容は、次回のブログで。

東京にも、きれいな空気と綺麗な水があるんですね。

率直な感想は、「西多摩って今まで知らなかったけど、意外と楽しめそうな場所だな」ということでした。

そして断然ガイドがいたほういい!

檜原村、あきる野市、日の出町のガイドの方とも知り合えたので、新しいツアーを一緒に開発できたら楽しそう♪と思いました。

(山)

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