ゆいツールブログ:NPO法人ゆいツール開発工房(ラボ)

人と人、人と自然、人と環境などを「結う(ゆう)」ということに関して、団体の活動やスタッフの思いなどを紹介していきます!

スタッフコラム★☆マスクなしの生活が戻ってきました...

2023年03月18日 | ●コラム:新型コロナ関連

◎ ◎ ◎ スタッフコラム ◎ ◎ ◎

2020年3月。ちょうど3年前。

全国の小中高の学校が休校を余儀なくされ、3学期が途中で強制的に終了しました。

店頭でマスクが手に入らず、手作りの布マスクが流行りました。

そして3年後。2023年3月13日から、「マスクの着用は個人の主体的な選択を尊重し、個人の判断が基本」となりました。

参考:厚生労働省「マスク着用について」

学校の卒業式にマスクを外してもいい、という話も出ました。

そして感染症法上の位置づけが、5月8日から「新型インフルエンザ等感染症」から「5類」へ移行ということも決まりました。

長い長いマスク生活が終わりました。(多くの人はまだ外していませんが)

(2023年3月のつくし)

私自身は、昨年の初夏頃から外ではマスクを外していたので、マスクなし生活も違和感はありません。(ただし、今は花粉症のため着用中)

たくさんの人が乗っている乗り物や、混雑した建物の中では、これからもマスクを着用しようと思ってはいますが、生活する上で基本的には外すことを私は選びます。

私にとって何よりうれしいのは、マスクの着脱が個人の判断となったことです。

多くの人が外さなくても、私は外すことを選択します。それができること。個人の選択が尊重されること。着けることも外すことも強制されない、そのうれしさ。

3年間のマスク生活を経て、社会へ様々な影響がありました。

思春期の子供と若者の多くは、顔を隠していることが心地よくなったようです。

ソーシャルディスタンスという言葉も定着しました。

私は元々、人との距離が近いとちょっと気になる方だったので、マスクをしていてもしていなくても、あまり知らない人と距離をとれるようになったことは心地よいことに感じます。

新型コロナウイルス感染症を経験した社会は、それ以前よりもみんなが賢くなったような気がします。

感染症を引き起こすウイルスが飛沫で空中に拡散されること、会話や咳をするとどれくらい飛沫が飛ぶのか、マスクの素材によって飛沫の飛散に差があること、せっけんで手を洗う効果について。みんなで経験しながら学んできました。

私は、少しだけ戦時中の人々の気持ちが想像できるようになりました。

お祭りやイベントなどが行われなくなっていく様子。お店が臨時休業したり、強制的に営業をストップされたりしたこと。

外出自粛が呼びかけられ、なんとなくお互いに見張り合うような雰囲気になったこと。

そして何より国の外に出られなくなってしまったこと。(これは私にとっては大きな恐怖でした)

さて、4月からは新しい年度がスタートします。

新生活はマスクなしでスタートする人も増えてくるでしょうか。(山)

(2023年3月の水仙)

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コロナ関連コラム 世界の状況と新しい観光のあり方

2020年07月08日 | ●コラム:新型コロナ関連

◎ ◎ ◎ スタッフコラム ◎ ◎ ◎

一旦落ち着いていた新型コロナウイルスの新規感染者数が、東京では6月に入って徐々に増え始め、6月後半から50名を超えるようになり、7月になったらとうとう100人以上の感染者が連日報告されるようになりました。

世界では、こんな状況です。

各国における新型コロナウイルスの感染状況(上位10番目までの国と中国と日本)(2020年7月7日現在)

(出展:外務省海外安全ホームページ

7月7日の状況としては、世界で12,000万人弱の人が感染し(最新データこちら)、日本では19,981人(7月7日10時00分時点、クルーズ船などを除く。厚労省などによる)の感染が確認されています。世界全体で、新型コロナウイルスによる死者数は、54万人を超えてしまいました。

インドネシアでは、6万4千人以上の累計感染者がいます(死者約3,200人)。感染者数は世界で26番目の多さです。(日本は56番目)

比較⇒「2020年5月11日のコラム:世界の状況とこれからのこと」

上のグラフを見ると、アメリカもブラジルもインドも、感染者数がうなぎ登りです。

世界第2位のブラジルでは、ボルソナロ大統領が新型コロナウイルスに感染した、というニュースが入ってきました。

新型コロナウイルス感染者がここまで広がると、注目すべきは感染者数より重症患者数と死者数なのかな、という気がしている今日この頃ですが、日本では以下のようなデータがあることを最近知りました。

参考:ECMONet(重症患者状況の集計)

また、止まってしまった観光に関する動きとして、「マイクロツーリズム」や「トラベルバブル」という言葉を聞くようになりました。

マイクロツーリズムは、近場の観光地を訪れることや、海外旅行に対して国内旅行に回帰することを喚起するものとして、星野リゾートの星野さんが提唱したものです。

地元の魅力を発見して楽しもう、というスタンスは、とてもよいと思います。

トラベルバブルは、「国家間の自由に行き来できる域内」のことで、最初から多くの国に対して国境を開く(規制を解除する)のはリスクが大きいので、まずはお互い安全だと合意した国同士で移動制限を解除し、自由な行き来を再開しよう、ということだそうです。

ゆいツールとしては、日本とインドネシア間で、と期待してしまうのですが、インドネシアはまだ安全ではないため、期待できません。

バリ島の知事は、9月には外国人観光客を受け入れられるようにしたい、と言っていますが、7月7日現在バリ州には1,940人の累計感染者がいて(死者25人)、西ヌサトゥンガラ州(ロンボク島とスンバワ島)の1,392人(死者65人)を上回ってしまっています。

バリ島は観光が主要な産業のため、観光がストップすると住民の生活に大きな影響が出てしまいます。

知事としては、一日も早く外国人観光客を呼び戻したい、と考えるのも無理はないのでしょうが、実際のところいつ国境が開かれる(自由に行き来できるようになる)のか、不透明です。

ゆいツールは、バリ島・ロンボク島を訪れる日が来るのを、首を長ーくして待っているところです。

(山)

(バリ島サヌールのホテル)

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データで見るインドネシア・ロンボク島の状況、そして子供たちへの教育について

2020年06月19日 | ●コラム:新型コロナ関連

◎ ◎ ◎ スタッフコラム ◎ ◎ ◎

日本では、都道府県境をまたぐ移動の自粛要請が、本日から解除されました。

ただ、昨日の東京都の新規感染者数は41人でした。

人が動けば、感染もまた広がるでしょうが、もうこれ以上経済を止めるわけにはいかない、ということでしょう。

一方、インドネシアでは、6月18日現在41,431人の累計感染者がいます。

(出展:外務省海外安全ホームページ

振り返ると5月15日頃、ちょうど日本とインドネシアの累計感染者数が同数になっていました。それから1ヶ月。

今では、首都ジャカルタでは1万人近い感染者を出しています。

ロンボク島のある西ヌサトゥンガラ(NTB)州は、とうとう1,000人を超えました。

(下の写真の、枠内の「Kasus Psitif Covid-19」の数字です)

死者数は43人です。お隣のバリ島は、(ここにデータはありませんが)900人弱の累計感染者数に対して6人の死者数です。

NTB州の感染者数の内訳をもっと詳しく見てみると。

(上記表の、Konfirmasiという枠の、左端の数字に注目)

州都マタラム市が423人、西ロンボク県が209人、中部ロンボク県が107人、北ロンボク県が45人、東ロンボク県が100人などとなっていて、上位5位まですべてロンボク島が占めています。NTB州のもう一つの島スンバワ島の感染者は、ロンボク島に比べればとても少ないです。

こうやって数字を見ると、感染症の患者数は人口密度の高い順に並んでいるなぁ、と思います。

ロンボク島では、いまだ学校は閉鎖中です。

現地の知り合いに聞いたところによると・・・。

授業や試験はオンラインで、という情報があるのですが、ほとんどの子供に教育は届いていないようです。

本や参考書などを子供に届けたり、子供に勉強を教えるボランティアが求められているそうです。

試験は、村の場合、子供たちが学校に試験問題を取りに行き、一定の時間家で記入して、また学校に持って行くそうです。

家庭での教育は学校の教育と同じようにはいかず、教育ができる親もいれば、できない親もいるため、いったいどうすればよいのかわからず、多くの子供たちは毎日遊んで暮らしている状況のようです。

おそらく、家庭が豊かで、将来子供をよい大学へ入れよう、よい仕事に就かせよう、と考えている親は、抜かりなく子供を教育していることでしょう。一方、貧しく、親自身が高等教育を受けていない家庭では、子供は遊ぶか、親の仕事を手伝うか、運良くボランティアに勉強を教えてもらえるかどうか、といったところでしょう。

住民は、長引くロックダウン(自粛生活)ですでに緊張感は薄れているようです。

日本は、東京などでも6月から学校を再開することができましたが、未だ感染が衰えないインドネシアでは、いつになったら学校を再開できるのか先が見えないようです。(ロンボクのある地域では、7月13日から学校が始まる、というお知らせがあったようです。今後の状況次第で変わるそうですが)

日本から見ると、インドネシアはのどかだし、子供は学校に行かなくても自然の中で転がりまわって楽しく遊んでいるだろう、と思いがちです。

でも、私が知っているロンボクの子供たち(街に住んでいたり、ちょっとした田舎でも家が大きかったりする子たち)は、普段から学校が終わると家でゲーム三昧で、近所の貧しい子供と無邪気に遊ぶということはありません。たいてい、いとこ同士とかでゲームを取り合って遊ぶか、家の周りで遊んでいます。

インドネシアには日本のように学童クラブはないし、塾なども一般的ではなく、学校の教育でさえ十分とは言えないのに、今このような状況で、さらに子供たちへの教育がおざなりにされているのが気にかかります。

話は飛ぶのですが、私はいつかロンボクで、アフタースクールを作りたい、と夢想しています。

塾ではなく、子供たちが安全に遊べる場所で、環境教育も行います。

お金持ちの子供も、貧しい家の子供も、一緒に遊べる場所です。

英語や日本語を勉強するクラスがあってもいいな、と思います。

そういう、いろんな種類の教育の場が、ロンボクにもっともっと増えるといいな、と思っています。

今は、ロンボクの子供たちが、長い長い休みが終わって7月中旬には学校で勉強できるようになることを、心から祈ります。

(山)

(昨年9月。西ロンボクのブウン・スジャティ村の小学校で)

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コロナで止まった人の移動(国⇔国)と影響を受けるNGO/NPOの活動

2020年06月04日 | ●コラム:新型コロナ関連

◎ ◎ ◎ スタッフコラム ◎ ◎ ◎

(今年の1月バリ島にて撮影)

2020年は、新型コロナウイルスと共に幕が明けました。(そうと気づいていませんでしたが)

そして、今は6月。新年度が始まって3ヶ月目。

ゆいツールは、たまたま今年度は予算がとれていないため、活動は動いていませんでしたが、前年度からの活動を続けようとしていた国際協力系のNGO(とくに環境系のNGO)は、いったいどんな様子なのだろう、と気になっています。

各国に支部があるような大きなNGOではなく、ゆいツールのように細々とやっているようなところは、現地での活動もストップ、日本から現地にも行けず、活動としては立ち往生状態であることが予想されます。

小さなNGO/NPOの活動は、草の根です。政府や大企業などとは組まず、市民対市民レベルで小さいけれど、確実に個人と個人が繋がるような、そしてそれが確かな希望となるような活動をしていることが多いと思います。

商売をしているわけではないので、売り上げが減った、と愚痴ることがない代わりに、今まで細々と続けてきた交流や支援や、学び合いとも言える活動が止まり、下手をすればやってきたことが無に帰する可能性もあることを、感じているところもあるかもしれません。

ゆいツールは、今までインドネシアで活動する中で、積み上げてきたものが崩れたことが何度かありました。

ひとつは、スマトラ島の活動で。

4年間の活動の中で、途中カウンターパートのNGO(正確には組織というより個人)との信頼関係が壊れ、活動に大きな支障が出ました。

スマトラ島には、ゆいツールの活動を始める前約10年間通っていて、現地に対して何もできなくても、私は一生スマトラに通い続けるだろう、というくらい思い入れがあったところでしたが、4年間の活動で疲れ果て、2016年1月を最後に現地には行っていません。

ふたつめは、ロンボク島で。

2018年の夏、ロンボク島で大地震が起こり、その直前に私がしかけていたいくつかの取り組み(ゆいツールとして、あるいは個人的な)が頓挫しました。

みっつめは、今回。

昨年度(実質的には一昨年度)から育てていたロンボクの若者たちとの活動が、止まってしまいました。

国際協力に限らず、人と何かを成すときには、ある地点から活動を始めてそれが最大限の効果を出すまで、一定の時間やエネルギーがかかります。車で言えば、エンジンをかけて走り始めるところ(現地で協力者を探して、信頼関係を作るところ)と、高速道路に入って調子よく走り続けるところ(協力者と一緒に活動をして学びあうところ)と、パーキングエリアで休憩して(予算などがなく活動できない時はしばし休憩)また走り出すところ、最後に目的地へ到着して車が停車する(活動の目的を達成する段階)、という過程があるとすれば、今は強制的にパーキングに駐車した状態です。

パーキングで車を止めている時間が長くなれば、乗っていた人たちは別のことが忙しくなりバラバラになってしまうかもしれません。

そうなると、また一からやり直しです。

地震の時は、相手は自然災害なので、しかたがないとあきらめもつきました。また、地震そのものの影響は局地的で、ゆいツールの活動に大きな変更が生じたわけでもありませんでした。

今回は、違います。世界全体がコロナに振り回されています。

ウイルスに感染しないために「ステイ・ホーム」が呼びかけられ、でも最近は、経済を回さないと生きていけない、感染しても重症になるとは限らない、自由を奪うな、などの理由で、多くの国で「ステイ・ホーム」が実質解除になっています。

それでも、国と国の移動は制限されています。この、国と国を自由に行き来できないことが、国際協力系の小さなNGOにとっては大打撃になります。

(東ロンボクのマングローブ林)

では資金を日本で確保し、現地の団体に活動を委託するような形で行えばスムーズだろう、と思われるかもしれません。

ゆいツールはそういう形では活動していません。

というか、現地にそのような、他の国のNGOなどと協働して活動できるような団体は多くありません。

まず、そのような団体を構成する要員としての若者たちを、育成するところを担っています。

インドネシアは、わりと市民活動は活発です。でも、組織化するところが弱い。少なくとも環境の分野では。

行政も、市民活動やソーシャル活動に資金を提供する用意はありますが、活動主体が複数の市民で構成されていなければいけません。

形だけグループや団体を作ることはよくありますが、チームとして動けるかどうかは別です。

意見の違うメンバーと協力しあえるか、穏やかに話し合いができるか、ひとりひとりが納得して活動に関われるか。

そういう市民活動・チームビルディングの基礎部分を、ゆいツールはいつも気にかけて活動しています。

3か月か4か月おきに現地に通い、2週間と少し滞在しながら、若者たちと一緒に、その時々で様々な活動をして、いろいろな場所を見て、学んでいます。

現地で、お金をばらまくわけでもなく、大きな建物を建てるわけでもなく、政府の要人と会うわけでもなく、ただ、ローカルの人々と会い、その活動を見せてもらい、時々日本の学生を連れて行って、ロンボクの若者たちと共に学ぶ場を作る。そういう活動です。

大きな事業は、JICAなどの政府系の機関や、オイスカなどの民間団体が行えばよいでしょう。

小さなNGO/NPOには、小さな団体にしかできないことがあります。少ない予算の中で、ローカルの人々と、ていねいに付き合うこと。若者たちをゆっくりと育てること。

残念ながら今は、ロンボクでも人と人が接触すること、大人数で集うこと(それが学校であっても)、そしてもちろん国をまたいだ移動などが制限されています。

幸い、昔ヨーロッパでペストが大流行したときのように、感染した人がバタバタと倒れていくような状況ではないので、安心という面と、逆に症状の軽い人が感染を広げてしまうため、いつまでも抑えられない、という面があります。

この活動の一時停止状態が、いつまで続くのか。

車をパーキングに駐車したまま、1年が過ぎてしまうのか。

実のところ、不安はあります。

インドネシアはネット環境があまりよくないため、オンラインでみんなでミーティング、というのも簡単ではありません。

日本ではミーティングはもちろん、イベントもオンライン開催に切り替わり、果てはオンライン飲み会まで一般化しましたが、インドネシアではそうはいきません。

動けない今、環境を守るために、現地の若者も参加する形で、何かできることはないのか。

知恵をしぼって考えたいと思っています。(山)

(ロンボク、スンギギエリアから夕陽を望む。バリ島のアグン山が見えている)

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コロナ関連コラム 世界の状況とこれからのこと

2020年05月11日 | ●コラム:新型コロナ関連

◎ ◎ ◎ スタッフコラム ◎ ◎ ◎

非常事態宣言が延長され、お出かけのできない日々が続いています。

ただ、ゴールデンウィークが終わり、毎日の国内感染者数が減少傾向にあるのは確かです。

では、世界ではどうでしょうか。

(出展:外務省海外安全ホームページ

5月11日の状況としては、世界で418万人以上の人が感染し(最新データこちら)、日本では15,747人(5月10日15時00分時点、クルーズ船などを除く。厚労省などによる)の感染が確認されています。アメリカの感染者は136万人を超え(最新データこちら)、スペイン、イタリア、イギリス、ロシア、ドイツ、ブラジル、フランス、トルコ、イラン、中国、カナダ、ペルー、インド、ベルギー、オランダ、サウジアラビア、メキシコ、スイス、エクアドル、パキスタン、ポルトガル、チリ、スウェーデン、アイルランド、シンガポール、ベラルーシ、カタール、アラブ首長国連邦、イスラエル、オーストリアに次いで、日本となっています。(5月10日現在)

死者数は、28万人を超えてしまいました。

ゆいツールが活動しているロンボク島は、インドネシアの西ヌサトゥンガラ(NTB)州に分類されますが、NTB州ではすでに感染者が330人に達しています。(5月10日時点)(3週間前は72人だったので、4倍以上に増えています)

首都のジャカルタでは、感染者の累計が5,190人で、東京の4,810人をすでに超えてしまっています。

※比較のため⇒3月29日のブログ4月20日のブログ

私は、毎日、外務省海外安全ホームページ(こちら)で公開されるグラフを保存しています。

下は、4月30日時点の国別感染者数上位21~35位のグラフです。(出展:外務省海外安全ホームページ)

一方こちらは、5月10日時点の国別感染者数上位21~35位のグラフです。(出展:外務省海外安全ホームページ)

そして下は、5月10日時点の国別感染者数上位11~20位のグラフです。(出展:外務省海外安全ホームページ)

4月20日の時点では、日本より感染者の少なかったサウジアラビアやメキシコ、パキスタン、チリ、カタール、アラブ首長国連邦で、急激に感染者が増えているのが際立ちます。

一方、中国や韓国のように、グラフが右肩上がりになっていない国もあります。イスラエルやオーストリア、オランダなどの他、最近はベルギーも新規感染者の数が減ってきたように感じます。

中国は、5月初旬の連休に「巣ごもり生活」から解放され、多くの人たちが観光に繰り出した様子がテレビで流れました。

お隣の韓国も自粛期間が終わり、人々が外に出始めています。(韓国からのレポートはこちら

日本も、特定警戒都道府県を除いて、早めに緊急事態宣言の解除が検討されています。

そして日本中の人が、早く普通の生活に戻りたい、と切望しています。

学校に行きたい、商売をしたい、外で思い切り体を動かしたい、働きたい、友達と会いたい、レストランに行きたい、買い物をしたい、図書館に行きたい・・・。

新規感染者数が減っている地域から、徐々に経済を再開させて、感染が収まっていない大都市からの移動は当面控えて、なんとか、夏くらいまでに新型コロナウイルスを押さえ込めないだろうか、と思います。

そして、世界の中で早めにこの危機から脱した国を中心に、少しづつ国境を開いて(人の行き来を再開させて)、また困っている国へ援助を送り、世界全体で少しづつ事態を収束させていけないだろうか。

それと同時に、国内で、事業の継続が困難になっている事業者の救済、失業者への手当など、経済を立て直すために必要な策を講じて欲しい。

それから、私たちひとりひとりが、この社会をよりよくするために何をしたらいいのか考えていくことも大切だと思います。

自分自身の生活を見直したり、住む場所を変える(人口密集地からそうでない地域へ)ことを検討したり、今回のような危機が訪れたときに支え合える社会にするためにはどうしたらいいのか考えたり。

経済を再開させて人の行き来が活発になると、感染者がまた増加することが予想されます。

それでも、ずっと閉じこもっているわけにもいけません。

感染を防ぎながら、経済活動も徐々に再開させ、学校も対策をとって再開していくこと。

負担が大きい医療従事者へのケアや手当の充実も、求めていかなければいけません。

政治に目を向け、自分の意見を持つことも欠かせません。

他者を思いやることが、自分の幸せへと繋がる利他主義の精神について、考えてみるのもいいかもしれません。

2020年は、新型コロナウイルスの蔓延によって始まりました。

私たち人類は、このことから多くのことを学んでいます。経験から学ぶことは、私たちの力になります。

アフターコロナの世界が、前の世界よりももっと素晴らしいものになることを、私は祈らずにはいられません。

(山)

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コロナ関連コラム 韓国在住のボランティアさんからのレポート

2020年05月05日 | ●コラム:新型コロナ関連

韓国のソウル在住の日本人から見たコロナの状況を書いてみようと思います。

(4月からソウル市内の地下鉄は終電を夜の1時から1時間早めて12時にした。人の移動を制限し、車両の消毒もするため。)

コロナの感染者が韓国で増え始めたのは2月末で、韓国第3の都市といわれる大邸(テグ)(人口は4位)で、新興宗教の集会に参加していた人たちがクラスター感染したことで、一気に患者が増えました。

「新天地イエス教会」というこの宗教は、キリスト教の異端といわれており、礼拝の時に椅子や机を使用せず、床に詰めて座った状態で大規模な礼拝を行うことで、感染拡大にぴったりの状況が作り出されていたようです。

そのあたりからどんどん感染者が増え始め、一時期は1日に900人もの新規感染者が出た日もありました。

しかし、韓国の対策は早く、徹底していたと思います。

私は専門家でもなく、韓国語もすごくできるわけではないので、あくまでも一市民としての印象ですが、韓国のコロナ抑え込みの要因は「オープンな情報開示」と「徹底した検査と消毒」にあると思っています。

(電柱にも消毒剤が!区が設置したもの。バスの中や地下鉄の駅にも消毒剤が置いてある。)

韓国の検査については、日本でもたくさん報道されていると思うので、「オープンな情報開示」のほうをご紹介したいと思います。

韓国には中央防疫対策本部があり、毎日午前10時に同0時時点の新型コロナウィルスの感染者数を発表しています。国民に、現状とどんな対策をしていくかがはっきりと示されるため、国民が協力しようという思いになっているのだと思います。

例えば、陽性患者が出ると、どこの区で患者が出たというのが周辺の人の携帯電話に緊急速報で送られます。その人がどこの店に寄ったかというようなことも、個人情報を抜いて見ることができるようになるので、感染者が寄った飲食店などは消毒を行い、営業停止になることもあります。

個人情報を抜いているといっても、個人を特定しようと思って調べればできるかもしれないので、個人情報の利用に関する批判などは当然ありました。しかし、それ以上に「こういう非常時だから仕方ない、協力しよう」という雰囲気が強かったように思います。日本ではコロナ患者ばかりか、医療関係者まで差別されるような状況が起こっているようですので、それとはだいぶ違うように感じました。

また、個人情報を利用した韓国の特徴的な対策に「マスクの曜日制購買」があります。韓国も3月頃にマスクが品薄になり、買えなくなってきました。そこで、生まれた年の下一桁の数字によって、マスクが買える曜日を管理し、1人あたり週にマスクは2枚まで買えるというようになりました。(最近は3枚までに変わりました)

例えば、私は下一桁が6なので、毎週月曜日だけマスクが買えます。薬局では身分証明証を見せて生年月日を確認され、買った枚数も記録されるので、他の店に行って2枚以上買うこともできません。子どもやお年寄りは、身分証明証を他の人に預けて買ってもらうこともできます。また、自分の曜日に買えなかった人は、土日に買うことができます。

この「マスクの曜日制購買」により、マスクの買い占めや不足がなくなり、みんなにマスクが行き渡るようになりました。

(駅で配られていた布マスクと消毒ジェル。布マスクをつけて、医療用マスクは必要な人に譲ろうという運動の一環。)

しかし、このような制度を作ると、必ずそこから漏れてしまう人がいます。例えば、身分証明証(外国人の場合は外国人登録証)を持っていない外国人はマスクが買えません。それに対して、ソウル市では4月になってから、外国人登録証のない外国人に週に5枚までのマスクを役所や関連機関、大学などで配布するという発表がありました。短期の滞在者や不法滞在者もマスクがもらえるようになったのです。

これは、「とにかく命を優先する」という考え方の表れではないかと思います。韓国は早い段階で国民が新型コロナに罹患した場合の検査も治療も無料だという方針を発表しましたが、この対象には外国人も含まれ、また不法滞在者も無料で治療を受けられ、不法滞在の理由も問われないという条件が加わりました。不法滞在の発覚を恐れて検査や治療を受けない人が、他の人に感染させてしまうことを危惧してのことだと思います。つまり、何が正しいかよりも、今はとにかく命を守ることが優先だという姿勢です。このような明確な方針、そして徹底した検査を行っているからこそ、市民たちの協力が得られているのだと思います。

その反面で、ロックダウン、都市封鎖はしないという方針です。累計で6800人以上の感染者が出ている大邸市でさえ、都市封鎖はしませんでした。現在(5月4日)新規の感染者のほとんどが海外から来た人たちですが、それでも国境も封鎖せず、空港での検疫と隔離で食い止めています。

(地下鉄に貼ってあるコロナ予防と感染時の連絡先の日本語のポスター。韓国語、中国語、英語、日本語で同じ内容のものが各駅に貼ってある。)

最後に、韓国の特徴的な点をいくつかご紹介しますが、まずは海外でも広く報道されているように、買い占め、品不足が全くといっていいほど起こらなかったこと。これは、そもそもITが発達しているので、日頃からネットで買い物をする人が多く、「ネットで注文すれば買えるでしょ」となり、スーパーに殺到するようなことがあまりありませんでした。トイレットペーパーや消毒液も近所のスーパーで問題なく買えました。

また、韓国は「ペタル」と呼ばれる宅配文化が根付いています。食べ物の出前はもちろん、パン屋やチキン、鍋料理など、出前で頼めないものはないくらいで、さらに店によっては夜中でも配達してくれます。注文も携帯電話のアプリでできて、支払いもアプリと連携しているカードでスマート決済するだけ。値段も外食と変わらないので、家に閉じこもっていても、いろいろな食べ物を簡単に注文できます。もちろん、飲食店も店舗を開けられなくても宅配で営業を続けられました。

一方で、日本で今流行りつつある「オンライン飲み会」ですが、韓国では全く聞きません。韓国人に話しても、あまりピンとこないようです。これは、韓国では家での晩酌の習慣がないのと、お酒は直接顔を合わせて飲むもの、と思っているからだということです。そもそも、食事も一人では食べずに何でも分け合って食べるのが韓国の文化です。そういう意味でも、今回家に籠もって、人と会えない状況が2ヶ月以上続いたというのは、韓国人にとってはかなりつらい状況であったと思います。

(地下鉄のエスカレーターの手すりを消毒(滅菌?)する機械が4月末に登場。どんどん新しいものが出てくるスピード感は韓国らしい。)

韓国は、「社会的な距離置き」つまり、ソーシャル・ディスタンスの強化期間を3/22~5/6と定めていましたが、5/6以降、延長はないという発表がありました。今週から、美術館や映画館なども開き始め、地下鉄や路上の人の姿も増えてきて、市内には活気が戻ってきました。とはいっても、油断は禁物です。

韓国も日本も他の国も、早くコロナが終息して、人の行き来ができる日常が戻りますように。

(5/4夕方のソウル市内。普段の7割くらいの人出。9割以上の人はマスクをしている。)

(大)

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今できること。活動(行動)範囲を狭めよう!

2020年04月20日 | ●コラム:新型コロナ関連

◎ ◎ ◎ スタッフコラム ◎ ◎ ◎

引き続き、新型コロナ関連のコラムです。

時々、状況を記しておくことは、振り返ったときに参考になるな、と思ったので、記録として書いていこうと思います。

4月20日の状況としては、世界で240万人以上の人が感染し、日本では10,751人(4/20 23:00時点、クルーズ船などを除く。厚労省などによる)の感染が確認されています。アメリカの感染者は76万人を超え、スペイン、イタリア、ドイツ、イギリス、フランス、中国、トルコ、イラン、ベルギー、ロシア、ブラジル、カナダ、オランダ、スイス、ポルトガル、インド、アイルランド、オーストリア、ペルー、スウェーデン、イスラエル、韓国に次いで、日本となっています。(4月19日現在)

ゆいツールが活動しているロンボク島は、西ヌサトゥンガラ(NTB)州に分類されますが、NTB州ではすでに感染者が72人に達しています。(4月19日時点)

※比較のため⇒3月29日のブログ

インドネシアのスマトラ島のあちこちにいる友人と連絡をとると、「外出制限中だよ」「怖くてどこにもでかけられないよ」「医療設備が整っていないから、(この付近で)感染者が出ないことを祈ってるよ」と言っています。もちろん、ロンボク島も状況は同じです。

NTB州の感染者を見ると、30代~50代の感染者が割と多い印象です。活発に外に出て活動している人たちなのかな、と思います。

インドネシアの友人たちの全体的な反応は、日本人のそれよりも恐怖心が強い感じがします。

それはおそらく、医療が十分に発達してない国なので、重症になったらまず助からない、ということと関係しているのでしょう。

そのため、日本のように、「自分は大丈夫だから」「若いから問題ない」などと言った自己判断で、人が集まりそうな場所(日本の場合、今やそれは商店街に移りました)へでかけて行く人はいないようです。

また、ロンボクの場合、自警・自治能力が高いので、車やバイクが通れないように村に入る道を塞いだり、見回りをして、見知らぬ人が訪れた時にはその目的や場所を把握したり、人の出入りを監視するシステムが働いているように思います。

最近の日本(東京)は、繁華街の商業施設が営業を自粛してやれやれ人通りが少なくなったな、と思っていたら、今度は「戸越銀座」や「神楽坂」、「谷中」「吉祥寺」と言った、商店街が大賑わいになってしまっているとのこと。

本来であれば、お客が増えて喜ぶべきところですが、今は、人が集まるところは危ない、という常識が浸透してきたかな、という時期。

おでかけした人たちは、近所の人の他、よく買い物に訪れていた人たち(いつも買う物を買おうとしただけ)や、商業施設が閉まっているから同じようなものを売っている場所へ買い物に来た人たち、お散歩がてらお店をぷらぷらしたいな、とごく自然に思った人たちなどが多かったのかもしれません。中には、未だ無頓着な人たちも数%はいるかもしれません。(ひょっとしたら県をまたいでおでかけしてしまった人もいたかもしれません)

さて、人々が集まってしまった結果は、2週間後に現れます。

2週間後、ちょうどゴールデンウィークが終わる直前。緊急事態宣言は解除されるのか、どうなるのか、と注目されている時期です。

解除されることは、ないでしょう。

だって、たくさんの人たちが、密集してしまったから。

今は、感染者が多い大都市から地方への移動を自粛するように声がかけられているため、地方への感染者の拡大は食い止められるかも、しれません。でも、東京の感染者は現在の約3,000人から、万単位に増えているかもしれません。そして、神奈川県・埼玉県・千葉県など、近隣の県の感染者も千人単位に増えるでしょう。

いくら医療体制が整っている日本でも、今の時点で医療崩壊が危ぶまれているというのに、2週間後感染者数がもっともっと増えていったら、どうなっているでしょうか。

3月29日のブログに書いた、「人工呼吸器を、お年寄りからもっと若い重篤な人へ、付け替える行為」が発生しているでしょう。

助かる命が、助からなくなっているでしょう。

院内感染も、今全国あちこちで発生しています。病院が、その機能を失ってしまったら、地域の医療はどうなってしまうでしょうか。

そうならないために、一人一人ができること。

●活動(行動)範囲を小さくしよう。(電車やバスを使わない移動に留める)

田舎の場合は、自家用車の移動は安全ですが、目的地がどこか、というのが重要になりますね。

商業施設でのショッピングではなく、自然の中で誰にも会わずに散策などは問題ありませんね。

●人と会わないように。話し込まないように。両手を伸ばして触れる距離に近づかないように。

ソーシャル・ディスタンシングという言葉が、あります。1.8メートル(約2メートル)の距離を空けましょう。

スーパーのレジに並ぶとき、買い物しながら人とすれ違うとき、意識して距離を保ちましょう。

●人と一緒に室内にいるときは、換気を心がけよう。

複数で車に乗るときも、窓を開けて空気の流れを作りましょう。

●SNSやインターネットを活用しよう。

人と繋がるとき。買い物をするとき。情報を集めるとき。

対面がいい、アナログがいい、ネットは好きじゃない、という人も。今だけは。

孤立しないために。生活を維持するために。心の健康を保つために。

 

この、苦しい日常を早く終わらせるために、人との接触を減らしましょう。

(山)

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「人類はこの危機を乗り切ることができるのか?」ETV特集を見て考えた

2020年04月14日 | ●コラム:新型コロナ関連

◎ ◎ ◎ スタッフコラム ◎ ◎ ◎

数日前に見た、NHKのETV特集に刺激を受けました。

ETV特集「緊急対談 パンデミックが変える世界~海外の知性が語る展望~」(2020年4月11日放送)

政治学者…イアン・ブレマー(アメリカ),歴史学者…ユヴァル・ノア・ハラリ(イスラエル),経済学者・思想家…ジャック・アタリ(フランス),●キャスター 道傳愛子

特に印象に残ったのは、ハラリ氏とアタリ氏。番組の一部を、以下に紹介します。

***

ハラリ氏の言葉から。

「次の2か月から3か月の間に私たちは世界を根底から変える壮大な社会的・政治的実験を行うことになるでしょう。」

「この緊急事態において自由市場にだけ頼ることができないのは誰の目にも明らかです。一部の国は経済システムと雇用システムをより良いものに作り変えるいい機会となりうるでしょう。私たちは選択肢が数多くあることを理解すべきです。そしてそれらは政治的選択です。これは事前に決まっていることではありません。ウイルスが私たちに変わって決断するわけでもありません。それは政治家の仕事であり、政治家を監視する市民の仕事です。」
「メディアと一般の人たちはウイルスの流行にだけ感心を持つべきではないと言いたいです。『今日は感染者は何人だった』とか『病院に何台の人工呼吸器がある』といった話は重要ですが、政治状況にも焦点を当てるべきです。」

全体主義的な体制が台頭する危険性があります。ハンガリーが良い例です。形式的にはハンガリーは民主国家ですがオルバン政権は独裁的ともいえる権力を握りました。それも無期限の独裁的権力です。緊急事態がいつ終わるかはオルバン首相が決めます。ほかの国にも同様の傾向があります。非常に危険です。通常、民主主義は平時には崩壊しません。崩壊するのは決まって緊急事態の時なのです。

アタリ氏の言葉。(キャスターとのやりとりから)

Q「このパンデミックは、私たちに何を警告しているとお考えですか?」

アタリ氏「多くのことです。衛生、社会の透明性、そしてパンデミックの警告を世界で共有するルール作りの重要性について」

Q「コロナ後の世界はどうなっているでしょうか?最悪のシナリオとは」

アタリ氏「最悪なシナリオは世界的な恐慌、失業、インフレ、ポピュリストによる政府の誕生。そして長期不況による暗黒時代の到来です」

「他にも非常に悪いシナリオが起こりえます。新しいテクノロジーを使って国民の管理を強める独裁主義の増加です。例えば、中央ヨーロッパでハンガリーなどの政府がしたように、パンデミックを独裁主義に向かう口実にするのです。それが一つの脅威です」

「さらに、経済、健康、そして民主主義への脅威もありますね」

Q「このパンデミックの中で差別や分断が以前よりめだってきているのではないと懸念しています。それには同意しますか」

アタリ氏「はい。連帯のルールが破られる危険性が極めて高いです。つまりは利己主義です。経済的な孤立主義が高まる危険もあります。他の国に依存しすぎるべきでないというのは一面の真実です。たとえば『どうかエチオピアにマスクを売ってくれ』と中国に懇願しなくてもすむように。しかし、だからといって、国境を閉ざしてしまうべきではありません。私たちはもっとバランスの取れた連帯を必要としているのです。」

ナレーション

<今こそ連帯が必要だというアタリ氏は、これまで利他主義という思想を主張してきました。今回の危機を受けて改めて利他主義への転換を広く呼び掛けています。「パンデミックと言う深刻な危機に直面した今こそ『他者のために生きる』という人間の本質に立ち返らねばならない。協力は競争よりも価値があり、人類は一つであることを理解すべきだ。利他主義という理想への転換こそが人類サバイバルのカギである。」>

ポジティピズムや楽観主義について

アタリ氏
「まず、ポジティピズムはオプティミズム(楽観主義)とは異なります。たとえば、観客として試合を見ながら『自分のチームが勝ちそうだな』と考えるのが楽観主義です。一方、ポジティピズムは、自らが試合に参加し『うまくプレイできればこの試合に勝てるぞ』と考えることです。そういう意味では私はポジティブであると言えるでしょう。私は人類すべてがこの戦いに勝てると考えています。自分たちの安全のために最善を尽くし、世界規模で経済を変革させていくことができればきっと勝てるでしょう。今の状況は私が『ポジティブ経済』と呼ぶものに向かうとても良いチャンスだと思っています。ポジティブ経済とは、長期的な視野に立ち、私が「命の産業」と呼ぶものに重点をおく経済です。生きるために必要な、食料、医療、教育、情報、研究、イノベーション、デジタルなどの産業です。生きるのに本当に必要なものに集中することです。」

利他主義とは

アタリ氏
利他主義は合理的利己主義にほかなりません。自らが感染の脅威にさらされないためには他人の感染を確実に防ぐ必要があります。利他的であることは、ひいては自分の利益となるのです。また、他の国々が感染していないことも自国の利益になります。たとえば日本の場合も世界の国々が栄えていれば、市場が拡大し、長期的にみると国益につながりますよね」

***

引用長くなりました。

今回のコロナ禍の中で、私がずっと感じているのは「これは、今生きている人類にとって初めての経験である」ということです。

かつて、スペイン風邪、と呼ばれたインフルエンザの大流行や、もっと昔のペストなどの伝染病などを、人類は経験してきました。

でも、今を生きている私たちは、こんなに世界規模で広がる感染症を目にするのは、初めてなのです。

おまけに、インターネットの発達のおかげで、現時点の世界の様子が瞬時にわかる、というのも。

「街に出てはいけない。家にいましょう」そんな呼びかけを聞いたのも、これが初めてです。

できればお店を閉じてください。会社に行かないでください。そんなお願いを耳にすることがあるなんて。

「商売をしなければお金が入ってこないよ。生きていけないよ」「働きに出なければ食べるものを買えないじゃない」

本当です。でも、外に出ると感染のリスクが高まって、事態の収束に時間がかかってしまうのです。

政府が補償を速やかに行わないことに批判が集まります。最もです。

私たち国民が、豊かに暮らせなくなるということは、国全体の経済がこの先長い間不況にあえぐようになる兆しです。

いったい、どうすればよいのか、と思います。

ひとつわかっているのは、政府は(おそらく世界中の政府が)パンデミックが起った時のための予算など、用意していない、ということです。(少なくとも、休業することで被害を被った企業や商店やフリーランスやその日暮らしをしている人たちに生活を保障するための十分なお金を)

平時のつもりで予算を組んでいて、そこで思ってもいない支出が発生する、ということに、今びっくりしている状況だと思います。

日本で暮らしている私たちが、この危機を乗り越えるために、今必要なことはなにか。

たくさんの人が声をあげています。

「ここにも人がいるよ」「私たちのような仕事をしている人たちがいます」「私たちも、日本を豊かにするために貢献してきました。助けてください」

声をあげなければ、政治を行っている人たちに声を届けなければ、助けは来ません。

そして、今後、同じような危機がやってきたときに、私たちはどういう社会であったら、今回のように不安に苛まれなくてすむのか。

それを、ひとりひとりが考え始めなければいけないのでは、と思っています。

そのために、上にあげたような世界の知性に触れ、学び、身近にいる人たちと意見を交わしていくことは、コロナ禍のまっただ中にいる私たちに、できることのひとつではないでしょうか。

(山)

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春が来たのに...(新型コロナウイルスとの戦い)

2020年03月29日 | ●コラム:新型コロナ関連

◎ ◎ ◎ スタッフコラム ◎ ◎ ◎

2020年の春がやってきました。桜が咲いています。

Musim semi di Tokyo. berbunga Sakura.

ゆいツールは、2月からずっと新年度の予算がつくかどうか気をもんでいました。

4つの助成金に申請しましたが、今のところ3つは不採用でした。

そして、助成金の結果を待っている間に、世界はたいへんなことになっていきました。

2019年度の活動のフォローをするために、4月にロンボク島へ渡航する予定だったのですが、3月20日からインドネシアでは空港でのVISA発給と30日VISAフリーが一ヶ月間停止されることになり、今までのように気軽に渡航することができなくなってしまいました。

また、3月25日には、日本の外務省から全世界への不要不急の渡航自粛要請が出されました。

現在、日本から出ることも、インドネシアへ入ることもできなくなりました。

原因は、新型コロナウイルスの蔓延防止のためです。

1月中旬に私がロンボク島&バリ島の活動から帰った頃には、すでに中国・武漢での新型コロナウイルスの感染者拡大がニュースになっていました。まだ最初は、人から人へ感染するのかどうかはっきりわからなかったので、遠くの方で起っている出来事だと感じていました。

それが今や、世界中で50万人以上が感染し、日本でも1、680人(3/28 23:00時点、クルーズ船などを除く。厚労省などによる)の感染が確認されています。アメリカの感染者が10万人を超え、イタリア、中国、スペイン、ドイツ、フランス、イラン、イギリス、スイス、韓国、オランダ、オーストラリア、ベルギー、トルコ、カナダ、ポルトガル、ノルウェー、ブラジル、スウェーデン、オーストラリア、イスラエル、デンマーク、マレーシア、アイルランド、チェコ、エクアドル、チリ、ルクセンブルクに次いで、日本となっています。(3月28日時点)

インドネシアも、すでに1、000人以上の感染者がいます。3月の始めに最初の患者が発見されてから、瞬く間に感染が広がりました。

ロンボク島でも、現在学校は閉鎖中、外出自粛要請が出されているようです。

ロンボク島にもバリ島にも、感染者がそれぞれ数人いる模様です。死者も出ています。

呼吸器系の病気のため、重症になると人工呼吸器が欠かせません。

医療設備の整っていないインドネシアでは、重症になったら助かる見込みは(他の先進国に比べて)とても低いでしょう。

ゆいツールのように海外で活動しているNGOにとって、このような事態は活動の休止へと繋がります。

何よりも現地に行くことができない(海外へ渡航できない)のは、本当につらいです。

すでに経済活動にも大きな影響が出ている中、いつ終わるともしれない長い戦いがまだ始まったばかりなのだ、という気がしています。

戦争を知らない私たち世代にとって、「自由に海外へ行けない」「外出はできるだけ控えて」「人と集まらない。イベントは中止」という状況はまさに、戦時中なのだ、と感じます。

「危機をあおるな」「自粛自粛で気が滅入る」「補償はどうなるんだ」色んな声があります。

でも、経済活動も命あってこそ。

スーパーマーケットで、棚が空っぽになってしまうのは、多くの人が買い占めをしたというより、みんなが少しづついつもよりも多く買っただけ。いつもより、ちょっと多く買うことを「買い占め」だと思っている人はいないと思います。

買い占めとは、トイレットペーパーやティッシュペーパーを山のようにカートに乗せている状態のことだ、とみんな思っています。

スーパーもコンビニも、平常時の消費者の購買行動を基に、商品を仕入れ並べています。

突然、多くの人がいつもとは違う買い方をしたら、仕入れも品出しも間に合わずに、結果空っぽの棚が並ぶことになります。

これから心配なのは、スーパーの品不足ではなく、感染者が急増して病院の機能がパンクすることです。

高齢者の多い日本では、イタリアのように、重症化したお年寄りの患者からより若い重症患者へ人工呼吸器を付け替える行為が発生する事態が、起る可能性は否定できません。

老人ホームなどで集団感染が発生しても、受け入れる病院がなくて、治療することを断念する事態になるかもしれないのです。

そして、病院には、他の病気にかかった人たちも入院・通院しているのです。

今回の、新型コロナウイルス蔓延の恐ろしいところは、世界中で発生しているということです。

地震や豪雨災害とは違うのです。災害に遭っていない国から、支援が送られる、といういつものパターンは期待できないのです。

そして、先進国と言われる国を中心に感染が急激に広がっている、ということは、後進国で今後感染が拡大しても、十分な支援を送ることはなお一層困難になるかもしれないのです。

そして、人の行き来がいつまで制限されるのか。

いったいいつまで、「イベントは中止」で、「外出を自粛」しなければいけないのか。

それは、今の時点で誰にもわかりません。

新年度、ゆいツールはロンボク島に行けるのか。助成金のあるなしに関わらず、いつまで活動を休止しなければいけないのか。

わかっているのは、今は非常事態/戦時中(新型コロナウイルスとの戦争中)ということだけです。

この状況を踏まえて、できる範囲で、工夫して、活動を続けていくこと、日々を生きていくこと。

心身を健康に保って、できるだけ長くストレスに耐えること。

過去の戦争を生き延びた人たちも、きっとこのような心理状態だったのだろう、と今は想像できます。

幸い、自然は変わりません。

桜が散れば、新緑の季節がやってきます。

早く状況が収まって、普通のことが普通にできるようになりますように。

(山)

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