ゆいツールブログ:NPO法人ゆいツール開発工房(ラボ)

人と人、人と自然、人と環境などを「結う(ゆう)」ということに関して、団体の活動やスタッフの思いなどを紹介していきます!

住民に寄り添う活動を意識して in Sumatera

2014年09月27日 | 8. スマトラでの活動

9月にゆいツールは、スマトラで活動しました。
(スマトラでよく見る風景。右側はアブラヤシプランテーション。これがどこまでも続く・・・)

 

今回は、6月に農業(ゴム園管理)訓練を行った住民が住むレマン村(ブキッ・ティガプル国立公園:TNBT内の際の村)で立ち上がった農業グループと話し合いを行いました。

農業訓練に参加したときに、村で品種改良されたゴムの木を将来にわたって植えられるように、親木園を作ろうという話になりました。
通常は、農業省などから一時的に苗を支援されることがあっても、支援を待たなければ自分たちでは質のいいゴムの木の苗を買うことができません。そのため、ゆいツールの支援で、親木園を作るための苗木を購入し、それが成長したら森で通常手に入るゴムの種から育てた苗木に親木園の"芽"を植え付けて、それを植えられるようにしたいと思っています。
村の人たちは、将来の計画を立てるのが苦手です。今準備をすれば、数年後には確実に収入を増やすことができるのに、今努力することを嫌います。
親木園は、そんな村の人たちの考え方を変えるひとつのきっかけになるかもしれません。
同時に、品種改良されたゴムの木を種から育てることにしました。種は苗木よりも安いため、21人いるメンバー全員に行き渡らせることができます。しかし住民は種をポリベットで育てた経験がありません。8ヶ月待たないと植えることもできません。おそらく半分くらいの村人は脱落して行くだろうと思います。少なくとも訓練に参加した5人の村人は、真剣に取り組んでくれるはず、と期待しています。


(右側が、農業グループのリーダーマルディウスさん。ゆいツールの山本とは10年以上のつきあいです)

 

TNBT周辺の村人は、従来森の中で狩りをしたり、売れる木の実を探したりすることを好み、ゴム園も焼畑後に種を植えてほったらかし、ヤギを飼っても放し飼い(餌の草を刈って与えるのが面倒)、畑などの野菜を甲斐甲斐しく世話をしたりすることができません。
そういう住民の性格を十分に分かった上で、彼らと一緒に森を守るためにどうやって生活を向上させて行くか、来年以降もゆいツールは活動を続けて行く予定です。
(山)

 

(↓その他いくつかのNGOと打ち合わせも行いました)

 

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ごみ銀行に参加している学校訪問など~ロンボクのNGOスタッフと in Indonesia

2014年09月24日 | 9. インドネシアでの活動

6月に引き続いて、9月上旬にプカンバル(スマトラ島リアウ州)でごみ銀行に参加している学校を訪問しました。
今回は、ロンボクで商品づくりを中心に活動している「NTBマンディリごみ銀行」のアイシャさん(mbak Aisyah)と一緒でした。


(高校のごみ置き場を見学。右から2番目がアイシャさん)

ロンボクでは、ごみ銀行に参加している学校はほとんどなく、プカンバルではどんな風なシステムで運営されているか、先生たちの意識はどれくらいか、アイシャさんと共に学んできました。
今回訪れたのは、プカンバルの高校(SMA1)と前回も見学した小学校(SDN88)でした。
高校では3人の先生が対応してくれました。どの先生も熱心で、ごみの管理はチームで行っていると言っていました。
生徒たちは例えば体育の時間に(担当の先生のひとりが体育の先生なので)、外に出る前に家から持ってきたゴミを先生に見せてからゴミ置き場へ寄って分別して捨てるということでした。
早速、その様子を見学させてもらいました。

生徒たちが持っているごみの量、ごみ捨て場で適当にほおりこんでいる様子から、活動が弱冠形骸化しているのが伺えましたが、それでも先生たちは熱心で、生徒が適当に捨てたごみを分別し直し、学校の用務で出たごみ(梱包用の箱など)も先生が捨てに来ていて、システムとしては完成していると感じました。
また、ごみを使った工芸品づくりやコンポストづくりも行っていました。

アイシャさんは先生たちが熱心なことに感心していました。「ロンボクとは全然違うわ」
ロンボクでは、熱心な先生がいても一つの学校にせいぜいひとりで、その先生が異動してしまうと活動がストップしてしまう可能性があります。先生たちがチームになっているというのはいいヒントでした。

アイシャさんとは、プカンバルのごみ銀行の支部のひとつである、ブネルさん(ibu Bunel)のごみ銀行も訪れました。お互いの知識や経験を共有することが目的でした。

会ってみて、それぞれの商品を見比べると、アイシャさんが作ったもののほうがデザイン性が高く、質が高いのがわかりました。
何故なら、ロンボクは観光地で、アイシャさんは普段外国人相手に商品を売っているので、必然的に質の高いものが要求されるからです。
一方プカンバルでは、市場はほとんどなく、作ったものは地方環境局などが学校の子供達に教育の一環で支給したり、展示会で販売したり、たまに注文が入ったらまとめて作ったりしているということです。
ブネルさんのところでは、途中からアイシャさんのミニ講座が始まり、柄を合わせて手際良くプラスチックを編んでいく方法が共有されました。


(ブネルさんのごみ銀行の看板の前で)


アイシャさんとは、意見交換もいろいろとして、「本当は学校でのゴミ銀行は、生徒たちの意識が上がれば上がるほど、ゴミの量は減っていくことが望ましい」とアイシャさんが考えているのに対し、「でも私が生徒だったら、意識が上がれば上がるほど、家のゴミを熱心に持ってくるだろうから、量が減っていくというのはもっともっと先の目標ではないか」と私が言って、「もちろんそうだけど、ごみ銀行の本当の目的はゴミを減らすことにある」というアイシャさんの意見に、深くうなづきました。

今後ロンボクでは、アイシャさんを含めたNGOスタッフやJICAの隊員が、学校を訪れて環境教育を行い、ごみ銀行への参加を呼びかけていく予定です。
(山)

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西バリ国立公園へスタディツアー in Indonesia

2014年09月18日 | 9. インドネシアでの活動
9月上旬、4月に訪問した西バリ国立公園(TNBB)を、スマトラのNGOスタッフ、ブキッ・ティガプル国立公園(TNBT)のスタッフと共に再訪しました。
(4月のブログはこちら)
↑ブキッ・ティガプル国立公園(TNBT)のスタッフのアンディさん
 
今回は、TNBBのスタッフと意見交換すること、住民グループと交流することが主な目的でした。スマトラ(リアウ州)から参加したのは、ゆいツールの活動のパートナーであるSERAI(スライ)のリキさん(Pak Riki)、TNBTのスタッフ アンディさん(Pak Andi)、そしてTNBTの森でスマトラトラを守る活動をしているPKHS(ペーカーハーエス)のマネージャー ラフマッドさん(Pak Rahmad)。
 
TNBBスタッフとの意見交換は、朝9:45から始まり、ノンストップで2時間半続きました。
アルナヤさん(Pak IB.Arnaya)、スランガラさん(Pak Suranggara)、スギアルトさん(Pak Sugiarto)、ユディさん(Pak Wahyudi)の4名が対応してくれました。
ユディさん以外とは、昨年の10月に横浜であった一般社団法人あいあいネットのセミナーで会っていました。スランガラさんとスギアルトさんには、4月の訪問時もお世話になりました。
今回は、リアウから連れて行った仲間たちに、彼らと会ってもらい、活動のヒントをもらうことが目的でした。
なによりインドネシア人同士で直接意見交換をして、情報を吸収して欲しいと思っていました。
 
TNBBでは、国立公園ができてから地域住民と長く対立した歴史を持っていますが、2008年からあいあいネットの研修を受けたことで、スタッフの考え方が変わり、地域住民との関係も変わっていったこと、そしてスンブルクランポック村(Desa sumberklampok)の場合、住民の中に外から移り住んできて村興しに熱心に取り組む人(イスムさん:Pak Ismu)がいたおかげで、今の村の活動がある、ということを聞きました。
 
TNBTの場合、国立公園管理事務所は国立公園からはるか離れたところにあり(国立公園の際の村まで車で2時間程度。国立公園内の村へはスピードボートで3~5時間)、TNBBのように気軽にスタッフが訪問する、ということがそもそも難しいのですが、それでも住民との間に信頼関係を築くことの大切さを学びました。
PKHSのラフマッドさんは、森を守るために国立公園スタッフに代わって違法者(違法伐採をしている住民等)を捕まえることがありますが、守れ守れと言うだけでは問題が解決しないこと、住民に寄り添って生活向上を目指す取り組みが必要なことを実感したようでした。
 
TNBTのアンディさんは、今後TNBT周辺の村で住民主体でムライ・バトゥ(鳥)を繁殖させる取り組みをゆいツールと共に始めるために、スンブルクランポック村の活動を参考にしていくでしょう。アンディさんは同時に、あいあいネットの研修にも興味を持っていました。
 
スタディツアーに参加したメンバーとはこのあとスマトラで、ツアーで得たインスピレーションを共有し、今後の活動について意見交換を行いました。
 
一番の学びは、「支援したあと、住民をほったらかさない。住民が自立できるまで寄り添うこと」「住民が望んでいることはなんなのか。そこを聞き出して、限られた予算でどんな支援ができるか一緒に検討すること。」「住民自身が決めること。支援を待っている姿勢を変えること」などでした。
 
ゆいツールとしては、2年半前にスマトラで活動を始めたときからその視点でプログラムを練ってきましたが、今ここにきて、現地のNGOやTNBTのスタッフが本当にそのことが大切なことだ、と学べたことが、第一歩かもしれないと思いました。
自分で気づくこと。
この活動全体が、ESD(持続可能な開発のための教育)なんだ、ということを今回NGOスタッフに伝えることができました。
私たちは、住民相手にESDをやっているだけではなくて、本当は私たち自身もESDの中で学んでいるんだ、ということ。
 
それでも、まだPKHSのラフマッドさんは、「ゆいツールの目的はなんなの?アウトプットはなに?」と聞いてきます。
彼らの場合は、森でカメラトラップをしかけて、何頭スマトラトラが撮影できたか?ということがたとえば目に見えるアウトプットですが、ゆいツールの場合「住民が自発的に考え、未来を選び取ること」を目指していても、それがどんな形でアウトプットされるかは私にもまだわかりません。
ましてや少ない予算で、短い時間で、本当にそれが達成されるかわからないし、むしろ今歩き出したところなのかもしれません。
 
大きなお金を持ってきて、住民を組織して、なにか施設を建設して、一気に住民の生活が向上したらいいのかもしれません。
でも、やっぱり根底になければいけないのは、「住民自身が決める」という姿勢だと思います。
支援や援助に慣れている住民たちは、「次はなにをくれるの?」という待ちの姿勢が一般的です。
そこを変えていかなければ、森も守れないと、私は考えています。(山)
 
↓西バリ国立公園付近の観光地「バリタワー」にて。スタディツアーのメンバー、TNBBスタッフとともに。

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