ゆいツールブログ:NPO法人ゆいツール開発工房(ラボ)

人と人、人と自然、人と環境などを「結う(ゆう)」ということに関して、団体の活動やスタッフの思いなどを紹介していきます!

スタッフコラム★☆2020年さようなら…ついでに考察。ソーシャル活動を広げるためには?

2020年12月31日 | 11. ≪スタッフコラム≫

◎ ◎ ◎ スタッフコラム ◎ ◎ ◎

2020年も、今日で終わりです。

例年、この時期はいつもロンボク島で活動真っ最中だったのですが…。

(写真は、クリスマスの夜の東京・日比谷の様子)

今年の1月半ばにロンボク島から帰国して、そこからまさか1年も現地に戻れないとは考えもしませんでした。

今年度はたまたま予算も取れなかったため、活動はほぼ休止状態になりました。

しかし、コロナ禍でよかった点もありました。映像編集の腕を磨けたことです。

年が明けたら、ゆいツール10周年記念ビデオ(活動写真のスライドショー)をアップする予定です。(アップしました!こちら

ゆいツールの活動を、従来の「ゆいツールブログ」「Facebook」に加えて「YouTube」で紹介していくことで、ロンボク島のことや環境教育について知ってもらう機会が増えるとよいな、と思っています。

また、次年度以降の活動(マングローブ林環境教育プログラム開発と観光開発プログラム)について、じっくり考えることもできました。

最近、ゆいツールの育てている若者グループ「ドゥルカディ・チーム」(主にキャプテン)と、インドネシアでのソーシャル活動の難しさについて、ミーティングで議論しています。

キャプテンが言うには、キーワードは「人」「資金」「政府(行政)」だそうです。

ソーシャル活動を率先して行う人材、見返りがあれば手伝う人、無頓着な人。いろいろな人がいます。

特にインドネシアでは、余裕のある生活をしている人は多くないため、「金になるか、ならないか」というのは大切な行動指標です。

「人を動かすのは金」だから、「資金」が必要。と言うのは間違いではない、けど。

(写真は、冬の花壇。日比谷にて)

インドネシア政府も、まったく無策なわけではないのです。

問題は、公的な資金が必要な末端に届かない、ということなのです。

ほとんどそれは、インドネシア人ひとりひとりのモラルの問題ではないか、と思うほど、ざるに入れた水のごとくお金はどんどん漏れてしまう。

だから私は、「ソーシャル活動に熱心に取り組む人」がいて、「政府(行政)」が「資金」を準備すれば、ソーシャル活動が活発になる、と単純には考えられません。

だからと言って、人々のモラルに訴える活動をするのがゆいツールやドゥルカディ・チームの活動ではないので、私たちは、公的なお金がきちんと活用されるよい事例を作っていくしかないのかな、と思います。

ディスカッションのポイントは、「政府が資金を準備したら、そこから一緒にやっていけばいい」というキャプテンの意見と、「政府が資金を準備する動機付けとなる活動を先にしておく必要がある」ということと「資金が準備されたときに、一緒にやりましょう、と行政から誘われるためにも実績を作っておく必要がある」という私の意見の相違の確認です。

インドネシア人としては、ゆいツールの活動は「教育」で、多くの人を動かす資金がないことが頼りなく映るわけです。

「ソーシャル活動をする人材」を育てた!でも、運転資金は?(活動する人は)どうやって生活すればいいの?

(写真は、日比谷の空)

考えてみれば、日本での問題も結局同じなのかな、とも思います。

欧米などでは、寄付文化が浸透していて、自分が行えないソーシャル活動を担ってくれている団体に寄付をすることはある意味当たり前のようです。日本では、「お金を払ったら、何か見返りがあるの?」と考える人がまだまだ多いように思います。

見返りというのは、本当の意味では、ソーシャル活動を行う団体が結果を出して、社会が少しでもよくなることだと思うのですが、直接的な見返りがないのにお金を寄付するなんて、どう使われるかもわからないのに嫌だな、と感じる人が圧倒的に多いから、寄付文化が育たないのだろう、と私は考えています。そして、残念なことに、そもそもソーシャル団体の活動の中身に興味を持つ人が少ない・・・。

それでは、お金にならない(儲からない)ソーシャルな活動に、どこからお金が出るのか。

日本では、例えば環境活動に勤しむ民間の団体の活動に、助成金という形で国や企業のお金が使われています。

それはとてもありがたいことです。

企画書を書いて、お金の使途を明らかにして、活動をして、きちんと報告をする。

助成金の場合、だいたいその道の専門家の人たちが委員となる委員会というものが、審査をして申請してきた団体に助成金を出すかどうか判断をします。だから、ばらまきではない。

報告も必ずしなければならないもので、適当なお金の使い方をすれば、そのお金は助成元へ返されなければいけません。

私の知る限り、環境NGO(NPO)は「企画を立てる」「予算書を作る」「活動を実行する」「報告をする」などという点において、とても訓練されていると思います。

でも、助成金はとてもありがたいものですが必ずとれるとは限りません。

そうなると、団体の運転資金はどうなるのか、という話になります。

まず、その団体を支えている会員のみなさんの会費があります。それから、寄付金。(あれば、です)

ベーシックインカム、という考え方があります。国民に対して政府が最低限の生活を送る為に必要な額の現金を定期的に支給する政策、と説明されています。

私は、ソーシャル活動を行う民間の団体にも、そういう類の資金があったらどんなにありがたいか、と思います。

団体によっては、そのお金を「事務所の家賃」や「従業員への手当」に使うところもあるかもしれないし、「活動費(旅費や借用費、資材の購入など)」に使うところもあるでしょう。

あるいは、自分の団体の活動を上手にPRして寄付金を募る、という方法もあります。イベントなどを実施するときには、企業などに対して協賛金をお願いするときもあります。

まあ、結論として、日本でもソーシャル活動をする人はどうやって生活したらいいの?というのは同じかな、と思います。

一般的な言い方をすれば、お金にはならないけど社会のためになる活動をしている団体の認知度が高まり、そういった団体を応援する普通の人たち(と、ある程度豊かな人たちはもちろん)がもっともっともっともっと増えていくことが、ソーシャル活動が広がる下敷きになるのだと思います。

ということで、2020年、さようなら。厳しかったけど、学びもあった1年でした。

(山)

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生き物クイズ第12弾!クモさんクイズ

2020年12月24日 | ⇒生き物クイズ

1か月ぶりの生き物クイズです!今回は、クモ!(苦手な方はご注意ください)

今まで作った生き物クイズ:ゾウさんイノシシにわとりかたつむりおさるさんうしさんセミハチさんカマキリクマさん海の生きもの①

生き物クイズは、東京都内の学童保育で、小学校低学年から中学年くらいの子たちに、生き物や生き物が暮らしている環境に興味を持ってもらいたいと思い作っています。(イラストはボランティアのMさん担当)

実は、私は子供の頃からクモが大の苦手でした。

それは母親がクモが大嫌いだったから。物心ついたときには、クモ嫌いでした。

でも、その後大人になってから少し克服しました。

子供たちに聞いてみると、苦手な子がちらほら。触ったことのある子はひとり、ふたり。

さて、一問目。「クモの足は何本?」

Yui-Tool membuat quiz mengenai laba-laba untuk anak-anak SD kelas 1-4 di Tokyo.

なんか、足は多そう・・・と感じる子供たち。

3年生男子が「8本!8本!」と騒ぐので、それに引っ張られる低学年。

答えは、青。

「じゃあ、アリの足は何本?」と聞くと、首をかしげる子も。

「昆虫は6本!」「習った!」と3年生。

低学年は、虫と昆虫の違いがよくわからないので、クモは虫じゃないのか?と不思議がっていました。

2問目。「英語で、ジャンピング・スパイダーとよばれるのはどのクモ?」

英語がわかる子に意味を聞いてみます。「飛ぶクモ」そうですね。

ぴょんぴょん飛ぶのは、どのクモでしょう?(ちなみに、赤と青はとても小さなクモです)

なんとなく赤を挙げている子が多数。そして答えも赤。

「ハエトリグモ、見たことある?」はっきりと手を上げる子がいる中、半数以上はわからない様子。

ハエトリグモは、とても身近なクモなのにな。「この部屋の中にだって時々出てくるよ。」

だいたい、子供たちが「クモが出た!」と部屋の中で騒いでいるときは、このクモがうろうろしています。

クモが苦手な私も、ハエトリグモは可愛くて触れます。

日本には、100種類以上のハエトリグモが生息しているそうです。

3問目。「クモの糸は、どこからでているの?」

これは、渾身の作だったのですが、子供たちはほとんど全員黄色を挙げていました。

そうです。答えは黄色。スパイダーマンの影響で、指の先からとか間違う子がもっといるかと思ったのですが。

まあでも、それだけクモが身近ということですね。

「クモは獲物を、糸でぐるぐる巻きにしてから食べるんだよー」と教えてくれた、物知り1年生もいました。

全部のクモではありませんが、確かにそうやって食べるクモもいます。

クモの糸はとても丈夫で、1本では簡単に切れても何万本ももし巻けたら、人もぶら下がることができるそうです。

クモは、足が多いため嫌われやすい生きものですが、ゴキブリや作物に害を与える虫などを食べてくれるものもいて、実は人間の役に立っている益虫でもあります。

もしみなさんも、見かけることがあったら、じっと観察してみてください。

(山)

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マングローブ林の中はごみだらけ in Lombok

2020年12月03日 | ★2020年度(ロンボク)

Akhir November 2020, Tim Dulkadi sudah survey ke tempat mangrove..Gili Lawang dan Gili Sulat, Lombok Timur.

先日、ロンボクの若者グループ、ドゥルカディ・チームメンバーが東ロンボクの小さな離れ島ギリ・ラワン島とギリ・スラット島に調査に行ってくれました。

(上の写真は、ギリ・ラワン島のマングローブ林に入り込んだプラスチックごみです)

これは、来年度取り組みたいと考えている、マングローブ林環境教育プログラム及び観光開発プログラムの準備のためです。

ドゥルカディ・チームも、今年の2月の活動を最後に週一のミーティング以外は特に活動もなく、メンバーによっては別のことが忙しくなり、なかなか集まることもできませんでした。

そんな中、東ロンボクのルスくんからマングローブ林に関する情報が入り、チームキャプテンと一緒に、調査に行ってもらうことにしました。

(ギリ・ラワン島。左がルスくん)

ドゥルカディ・チームメンバーは、昨年9月にゆいツールが実施したバリ島でのスタディツアーで、州都デンパサールの近くのマングローブ林を訪れました。その時に、旧マングローブインフォメーションセンター(現「気候変動と森林火災対策センター」)で、スタッフのクトゥット・グデさんにマングローブ林について、種類や生態、機能などを色々と教わりました。

今回、ギリ・ラワン島とギリ・スラット島のあるサンブリア村の役場のスタッフのヒルハムさんに、インタビューすることができました。

これらの島は、3つの機関(観光局、環境森林局、村)によって管理されているそうです。

ただ、プロフェッショナルな観光管理はできていないようで、住民意識も低く、海から流れ着いたプラスチックごみが、マングローブの奥に入り込んでしまっています。(最初の写真)

それでも、きれいな場所もあります。

これらの島は、2004年に地域海洋保護地区に指定されました。

ホームページに公開されている情報によると、自生しているマングローブは8種類にのぼります。

以前、JICAのプロジェクトでマングローブを植林したり、木製トレイルを設置したりしたそうですが、トレイルの木材は住民によって持ち去れました。

その後、コンクリート製のトレイルが設置されたようですが、2年前の大地震で壊れました。(写真下)

調査にでかけたドゥルカディ・チームキャプテン(ゆいツール現地スタッフ)は、ごみだらけのマングローブ林を見て胸が痛くなった、と言っていました。

プラスチックごみの清掃なども、時々行政の声かけで行われることもあるようですが、活動はその時だけで日常的に環境保全に気を配る人たちがいないのが問題ではないか、と彼は言っています。

訪れる人たちの多くはローカルの人々で、彼らは生態系や環境保全には気を配りません。

ゆいツールは、ロンボク島にせっかく自生しているマングローブの有用性や効果などを住民に伝えたいなぁと考えています。

マングローブ林が育む生態系についても。そして、サステイナブルな観光について、提案をしていきたいです。

自然を観光利用するなら、ごみの管理が欠かせません。

先日の、ゆいツールとドゥルカディ・チームのミーティングでは、マングローブ林を守りながら観光利用する組織(団体やグループなど)が必要だね、という話になりました。今でも、「観光チーム」(インドネシアの村にたいていある青年のグループ)はありますが、もっと専門的で環境にも配慮できる人たちが集まらないと状況は改善できなさそうです。

それは、今回行った場所に限らず、ロンボクの他の場所のマングローブ林も状況は同じです。(例えば・・・西ロンボクのマングローブ観光地の様子

ドゥルカディ・チームキャプテンの意見では、結局「(人を動かすためには)お金=予算が必要」と言うことなのですが、私としてはやる気のある人たちを育てて、「サステイナブルな観光」を目指す組織を作り活動を見せていって初めて、行政も予算をつけられるのではないか、と考えています。

ちょうど、ロンボクの「ごみ銀行」(ごみのリサイクルを行う住民運動)が、住民の活動が先にあって行政の支援も行われるようになったように。

来年度、ゆいツールでは「サステイナブルな観光」を目指すために、人づくりと教材作りをしていきたいと考えています。

万が一、私が渡航できなかったとしても、できる範囲でドゥルカディ・チームに動いてもらい、少しでも活動を前に進めたい、と思っています。

(山)

(先日のマングローブ林調査の様子)

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