こ と の 端

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崩 壊 過 程 ②

2011-08-28 08:06:50 | Weblog
ドル経済圏は自壊を目指す

道の最後にあるのが

断崖であることを感じ取った者は

リスクを避けようとして

より安全な道へと乗り換えようとしはじめた

最も安全で確実な資産は

金の地金や金貨

またはその加工品

なのだが

円を緊急避難場所とする割合も増えている

金はたびたび下落しているが

円は一進一退しながらも

一貫してその通貨価値を高めてきた

価値のポテンシャルの高さが

投資判断の決め手


ソ連が90年暮れに自己崩壊したように

あらゆる体制は

内部から

勝手に崩れていく



ソ連型の共産主義が自滅したのは

消費者である国民のこころを

計画経済で統御できる

と思い込んでいたその点に原因がある

増長した指導部は

その段階で既に劣化していた


自由主義諸国の急峻な経済発展ぶりが

計画経済圏の連邦国家を相対化したことにより

後れを取ったことが明白となった

ソ連国民は長時間行列しなければ

買い物すら満足にできない立場を受け入れていたのだったが

その身分に既に飽き飽きするようになっていた

そこに政治腐敗が加わったことによって

次第に不満を募らせていったのだった

共産主義体制を支えている民心を懐柔して

再び忠誠心に火を灯すために

ペレストロイカ(再構築=リストラクション)

の実施へと方針を大転換させたのだった

それに伴って情報公開(グラースノスチ)も進めることとなり

タガを外された共産主義体制は

実施されていた情報の厳格な統制が不可能になった


連邦国家の一員であった

ポーランドの自主管理労組「連帯」の存続強化を機に

ベルリンの壁を崩壊させるまで

さして多くの時間はかからなかった

80年9月から89年11月にかけて

エネルギーを貯め込んでいた民主化の嵐は

決して揺るがない

と思われていた共産主義体制を

最終的に自己崩壊させる道を選ばせたといえる


85年のペレストロイカの実施が

盤石だと思われていた連邦国家を

消滅させる起爆剤として機能した

歴史の尺度からみれば

極めて短い間に大きな変化が

一気呵成に産み落とされた


自由主義諸国の総帥的な立場にあったアメリカと

それを成り立たせているドル経済圏の拡大に伴う繁栄は

皮肉なことに

先進諸国の財政状態をおしなべて赤字にしただけでなく

ドルを買ったすべての国から

富を持ち去らせるという経過を残し

貧困状態へと自ら陥る展開を

平等かつ公平に与えていた


ドル経済圏とは

アメリカの力の下での平和

という状態の実現を目的に

世界中から富を集積させながら

最先端の兵器を開発し

古くなった旧式の兵器を輸出して

収益の確保をアメリカに図らせた

エネルギー資源と兵器を必要とする国は

必然的に

ドルを買わざるを得なくなっていく


ドルの流通エリアを拡大させていくことで

基軸通貨の勢力範囲を広げ

エネルギー資源の決済通貨をドルとする枠組みを

確固たるものにしていった

また最強の軍事力を独自にアメリカが保持し続けることで

世界の安寧を維持することに寄与する

というドグマをアメリカが使える情勢を生み出した


発行しすぎたドルは速やかに回収しなければならない

市場で余っているドルは

その通貨価値を勝手に貶める

過剰流動性を経済力のある国に押し付けると

ドルの追加発行が可能となり

原油相場を高値へと誘導することで

ドルの需要レベル全体を引き上げることが

簡単にできるようになる


ドルを供給した組織は

獲得したローカル通貨で収益を計上し

それを投資家へと還元しなければならない

ローカル市場が生み出したその利益は

ドルの供給者へと戻される

基軸通貨に手を出した国のすべては

富を失って

最終的に貧しくなる

止まらない温暖化

と貧困化のサイクルは

このようにして産み落とされた負の資産


過剰流動性の一部を吸収させていた欧州地域で

経済不安が顕在化していったことから

ドルはその国に滞留することができなくなり

よりマシな国の通貨へとなだれ込んでいった

円高は日本の経済力が評価されて起きたものなどでは決してない

人民元もまた同じ

両国の通貨は

ドルの過剰流動性を吸収させることにより

基軸通貨を洗浄し

ドルの通貨価値を再生するための

洗濯工場へと変えただけだった

再投資ができる環境にある中国は経済発展し

それができない状況に苦しんでいた日本は劣化した

資本の循環は経済を成長させるが

一時的な資本の滞在は

流動性の厚みを失い

貧困化を急がせる


ドルを安売りして円を買えば

円高になる

高くなった円でドルを買い戻せば

少ない円でより多くのドルが手に入る


円ドル相場はこのような展開を繰り返し

今では1ドル75円という水準にまで達したのだった

日本には円の供給者がいないため

国際金融資本は通貨価値の移動を

効率よく制御することができるようになっている

円を売って手に入れたドルの使い道は

米国債を買う以外に有効な手段がない

ドル安政策はドルの通貨価値を引き下げるものであるため

目減りする一方のドルを買おうとする投資家は

生き残れない

日本では中央銀行だけがそれをやっている


止まらない円高

増え続ける二酸化炭素

膨らむ財政赤字

などが同時進行するようになったのは

ドル経済圏を拡大させていったことが

日本に与えるようになったその影響の結果であった


基軸通貨に対する信任が失われたとき

ドル経済圏は自ら崩壊する

内圧は既に十分高まっている

きっかけが与えられた時

大きな変化が

この水の惑星を揺るがすことになるだろう


健全なシステムが登場するのは

その後

問題が見えていない間は

有効な対策を導くことはできない

悪化し続ける問題点の数々は

最悪の結末を経ることによって

その本来の意味を

人類に悟らせる


英知は

不幸を未然に回避するために人類に与えられたもの

どう使うかによって

文明の行き先がその場で決まる
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