40年ほど前に
金本位制から一方的に離脱していたアメリカは
独自の通貨であるドルを
石油の代金を決済するための通貨と定めたことにより
ドルの通貨価値を裏付けるための担保となる根拠を
金から石油へと切り替えることに
もののみごとに
成功した
同時に為替市場を固定相場制から
変動相場制へと変更させたことにより
産油国との関係をもたないすべての石油消費国は
地下資源を輸入するために
ドルを買って代金を決裁しなければならなくなった
自国通貨を売ってドルを買うのだから
ドル高ローカル通貨安になったのは
当然の帰結
ドルの価値がこの変更をきっかけにして
高まっていったことにより
アメリカはドルを主軸とする資本主義体制
即ち
ドル経済圏を確立させ
更にそれを大きく拡大させたことにより
国際経済の姿を
現在のような磐石なものへと仕上げていった
産油国は獲得したドルの価値が高まり
石油の売却益と
為替差益との二種類の恩恵を
市場から
十分に受けとる身分となったのだった
金本位制からの一方的離脱は1971夏のこと
だがその直後ともいえる73年秋に
第一次石油ショックが発生し
原油相場が急騰する事態へと陥った
石油消費国には
地下資源を確保するという義務があった
それにはアメリカの通貨であるドルを買って
石油を輸入してこなければならない
ドルの需要が高まれば高まるほど
その通貨価値は急速に上昇する
ローカル通貨の価値が下がり
ドルの価値が上がるのだから
石油消費国の経済は縮む
並行してアメリカ製の武器を買っていた南側に位置する
アフリカ大陸にある独裁国家の一群は
財政状態を急速に悪化させることとなった
その結果として
南北問題が70年代半ば頃から
国際社会の関心をひきつけるようになっている
二度目のオイルショックが79年冬におき
石油の価格は更に高騰することとなった
ドルの需要は一層膨らみ
市場にはアメリカが発行したドルが
行き場を求めて流出圧力を強めていた
その後
ドルの価値が上がりすぎてしまったことから
アメリカはG5を召集して
ドル売りの強調介入を実施した
この決定を下した場所の名前をとって
プラザ合意とその後呼ばれるようになっている
1985年秋のことである
この時からドル安政策が闊歩するようになり
ドルを過剰流動性と呼ぶ機会が次第に増えていった
アメリカが発行しすぎて余らせたドルは
速やかに市場から回収しておかなければならない
ダブついた紙幣はドルの通貨価値を希釈させる原因となる
FRBは公定歩合を引き上げて
回収したドルを米銀へと集約させた
これにより過剰発行に伴うインフレを回避したのだったが
過剰に供給したドルの活用法を結果として誤った
米銀は回収したドルを海外投資へと向けさせ
高められた金利以上の収益を確保するよう
市場から迫られた
そこで脚光を浴びるようになったのがドル資本
組織的な投資行為を連綿と行うことを通じて
ドルの過剰流動性を世界市場へと分散させ
獲得したドルの運用益で
高いリターンを投資家に保証することで
一般からの資本を引き出すことに成功し
それを組織的に
効率よく運用することにより
多大な利益を獲得する
という現在の経済基盤が
アメリカの戦略により作られた
その投資先として
当時最初に指定されたのが
他ならぬ日本市場だったのである
土地神話に基づくバブル経済は
アメリカが過剰発行したドルを市場から消しながら
ドルの更なる追加発行を可能ならしめただけでなく
ドル経済圏そのものを拡大させる
絶大な効果を発揮するものとなったのだった
過剰に流通している余った大量のドルを
速やかに回収して
有利な運用ができる日本市場を狙って
ドル資本が大挙して押し寄せてきた
ドルで円を買うのだから
ドル安円高になったのは当然の経過
ドル資本は有力議員を通じて
邦銀にノンバンクを設立させ
ドルを還流させる枠組みを日本国内に作り出した
日本の不動産取引で獲得した収益を
ドルへと戻して投資家へとそれを還元するとき
円が高くなっている方が為替差益を獲得できる
少ない円で
値の下がったドルを
より多く取り戻すことが
効率よくできたからである
円高が生まれている状況を
国内の経済人は
このとき 誰一人理解しようとしなかった
理由のない円高として
訝しむことしかできなかった時代が
今もなお続いている
国会が誤った判断を下したことによって
アメリカ全土を買うほどの勢いのあった日本経済は
バブルを潰して
失われた20年という
不名誉な時代を
更に長びかせることを今
強いられている
経済メカニズムに関心のなかったすべての経済通が
同じ陥穽へと一斉にはまり込んでいた
バブル崩壊後も執拗につづく円高は
日本市場が
ドルの捨て場になったことを告げていた
バブルの崩壊は90年4月
それ以降
過剰流動性の大部分は中国市場へと向かい
中国人を世界一豊かな民へと仕立て上げたのだった
それには2001年の9.11を基点とする
アメリカによる報復を名目とする
イラクの独裁体制打破と
それによる地下資源の利権確保とが
主な目的となっていた
イラク戦争が続いていた間
ドルのマネーサプライさえ公表できないほどのドルを
遍く素早く供給し
高騰させておいた原油相場を
世界全体に受け入れさせた
ドルの発行益があったからこそ
増税抜きで長期化したイラク戦争に
大量の米軍を展開させることができていた
それを可能ならしめたのは
原油相場を決める市場であるWTIを
国内に擁するアメリカの意思が反映されていたからだった
ドルの過剰流動性を
自国の経済発展のために活用することになった中国は
大量のドルを吸収するために
人民元の価値を高めざるを得なかった
高くなりすぎた元は
中国経済にとって輸出を困難なものにする
人民銀行は元の通貨価値を引き下げる必要に迫られ
ドルの価値を
自らの通貨で高める道を選びとらざるを得なかった
このとき中国が買ったドルの巨大さというものが
中国をして世界最大の債権国へと押し上げさせた
ドル建ての公債を大量に買うということは
敵に塩を送る行為に等しい
中国を仮想敵と日本に思わせてきたのは
他ならぬそのアメリカだった
この現実の拙さに漸く気づいた中国政府は
元売りドル買いで獲得したドルを
米国債を買うことにではなく
自国の軍事力増強へと振り向けたのだ
劣っていた海軍力の充実を急ぐようになり
空母の建設を最優先にし
防衛線の拡大強化を図っている
このことが米軍の太平洋に於ける配置割合を
50%から60%へと変更させた
これら一連の変化は
もともと
アメリカが金本位制から離脱した時に胚胎させた原因が
巡り巡って
いま
双葉から巨木を育て
日当たりのよい部分を
アメリカから中国へと
独り占めさせることを促すように働いている
まことに皮肉な経過であろう
アメリカの判断が健全なものであったのなら
サブプライムローンの債務不履行による金融危機は起きておらず
またユーロ危機へとそれが発展することもなかったのだし
ギリシャ危機が
イタリアからスペインへと飛び火することもなかった
アフリカの南北問題もおきていなければ
温暖化現象もより緩やかなものになっていた
日本経済がバブル化することもなければ
円高に苦しむようなことにもなってはいなかった
経済ダイナミックスとそのメカズムの実態を
誰も調査してこなかったということが
環境危機と経済危機とを
いま
同時に生み出させている
日本の貧困化は
紛れもなく国会の不明が導いたもの
その事実にさえ一向に気づかない
停止していた原発の一部再稼働は
判断が適切であれば
決して起き得なかった経過なのだ
この国の不幸は
不健全な循環から
抜け出そうとしなかった政治の現場が
判断を誤り続けてきたその果てに
生み出したもの
原発が100%停止していても
電力危機など一度も起きていなかった
その理由とメカニズムを調べた事実さえ
皆無
交流送電を成り立たせているその方法を調査すれば
電力業界が秘密主義を貫かざるを得なかったその理由が
わかる
国が劣化したのは当然の帰結
思考力を養わない教育制度のあり方が
盲目的に従順な国民を作り上げるようになっていた
もの分りのよい指導者の一群は
国を却ってダメにする
利益を得ていたはずのアメリカは
行き詰まった資本の論理の行く末に
既にオノノイテいる
不利益を得たものだけが
残される
今日17日(日本時間の明日)に予定されている
ギリシャの再選挙の結果をみれば
経過のもつ意味の行方が見えてくる
真実を知ったものは
行動を躊躇わない
その方法は多様であってよい
だが
思考力を失った者は
変化の渦にただ巻き込まれてゆくのみとなる
金本位制から一方的に離脱していたアメリカは
独自の通貨であるドルを
石油の代金を決済するための通貨と定めたことにより
ドルの通貨価値を裏付けるための担保となる根拠を
金から石油へと切り替えることに
もののみごとに
成功した
同時に為替市場を固定相場制から
変動相場制へと変更させたことにより
産油国との関係をもたないすべての石油消費国は
地下資源を輸入するために
ドルを買って代金を決裁しなければならなくなった
自国通貨を売ってドルを買うのだから
ドル高ローカル通貨安になったのは
当然の帰結
ドルの価値がこの変更をきっかけにして
高まっていったことにより
アメリカはドルを主軸とする資本主義体制
即ち
ドル経済圏を確立させ
更にそれを大きく拡大させたことにより
国際経済の姿を
現在のような磐石なものへと仕上げていった
産油国は獲得したドルの価値が高まり
石油の売却益と
為替差益との二種類の恩恵を
市場から
十分に受けとる身分となったのだった
金本位制からの一方的離脱は1971夏のこと
だがその直後ともいえる73年秋に
第一次石油ショックが発生し
原油相場が急騰する事態へと陥った
石油消費国には
地下資源を確保するという義務があった
それにはアメリカの通貨であるドルを買って
石油を輸入してこなければならない
ドルの需要が高まれば高まるほど
その通貨価値は急速に上昇する
ローカル通貨の価値が下がり
ドルの価値が上がるのだから
石油消費国の経済は縮む
並行してアメリカ製の武器を買っていた南側に位置する
アフリカ大陸にある独裁国家の一群は
財政状態を急速に悪化させることとなった
その結果として
南北問題が70年代半ば頃から
国際社会の関心をひきつけるようになっている
二度目のオイルショックが79年冬におき
石油の価格は更に高騰することとなった
ドルの需要は一層膨らみ
市場にはアメリカが発行したドルが
行き場を求めて流出圧力を強めていた
その後
ドルの価値が上がりすぎてしまったことから
アメリカはG5を召集して
ドル売りの強調介入を実施した
この決定を下した場所の名前をとって
プラザ合意とその後呼ばれるようになっている
1985年秋のことである
この時からドル安政策が闊歩するようになり
ドルを過剰流動性と呼ぶ機会が次第に増えていった
アメリカが発行しすぎて余らせたドルは
速やかに市場から回収しておかなければならない
ダブついた紙幣はドルの通貨価値を希釈させる原因となる
FRBは公定歩合を引き上げて
回収したドルを米銀へと集約させた
これにより過剰発行に伴うインフレを回避したのだったが
過剰に供給したドルの活用法を結果として誤った
米銀は回収したドルを海外投資へと向けさせ
高められた金利以上の収益を確保するよう
市場から迫られた
そこで脚光を浴びるようになったのがドル資本
組織的な投資行為を連綿と行うことを通じて
ドルの過剰流動性を世界市場へと分散させ
獲得したドルの運用益で
高いリターンを投資家に保証することで
一般からの資本を引き出すことに成功し
それを組織的に
効率よく運用することにより
多大な利益を獲得する
という現在の経済基盤が
アメリカの戦略により作られた
その投資先として
当時最初に指定されたのが
他ならぬ日本市場だったのである
土地神話に基づくバブル経済は
アメリカが過剰発行したドルを市場から消しながら
ドルの更なる追加発行を可能ならしめただけでなく
ドル経済圏そのものを拡大させる
絶大な効果を発揮するものとなったのだった
過剰に流通している余った大量のドルを
速やかに回収して
有利な運用ができる日本市場を狙って
ドル資本が大挙して押し寄せてきた
ドルで円を買うのだから
ドル安円高になったのは当然の経過
ドル資本は有力議員を通じて
邦銀にノンバンクを設立させ
ドルを還流させる枠組みを日本国内に作り出した
日本の不動産取引で獲得した収益を
ドルへと戻して投資家へとそれを還元するとき
円が高くなっている方が為替差益を獲得できる
少ない円で
値の下がったドルを
より多く取り戻すことが
効率よくできたからである
円高が生まれている状況を
国内の経済人は
このとき 誰一人理解しようとしなかった
理由のない円高として
訝しむことしかできなかった時代が
今もなお続いている
国会が誤った判断を下したことによって
アメリカ全土を買うほどの勢いのあった日本経済は
バブルを潰して
失われた20年という
不名誉な時代を
更に長びかせることを今
強いられている
経済メカニズムに関心のなかったすべての経済通が
同じ陥穽へと一斉にはまり込んでいた
バブル崩壊後も執拗につづく円高は
日本市場が
ドルの捨て場になったことを告げていた
バブルの崩壊は90年4月
それ以降
過剰流動性の大部分は中国市場へと向かい
中国人を世界一豊かな民へと仕立て上げたのだった
それには2001年の9.11を基点とする
アメリカによる報復を名目とする
イラクの独裁体制打破と
それによる地下資源の利権確保とが
主な目的となっていた
イラク戦争が続いていた間
ドルのマネーサプライさえ公表できないほどのドルを
遍く素早く供給し
高騰させておいた原油相場を
世界全体に受け入れさせた
ドルの発行益があったからこそ
増税抜きで長期化したイラク戦争に
大量の米軍を展開させることができていた
それを可能ならしめたのは
原油相場を決める市場であるWTIを
国内に擁するアメリカの意思が反映されていたからだった
ドルの過剰流動性を
自国の経済発展のために活用することになった中国は
大量のドルを吸収するために
人民元の価値を高めざるを得なかった
高くなりすぎた元は
中国経済にとって輸出を困難なものにする
人民銀行は元の通貨価値を引き下げる必要に迫られ
ドルの価値を
自らの通貨で高める道を選びとらざるを得なかった
このとき中国が買ったドルの巨大さというものが
中国をして世界最大の債権国へと押し上げさせた
ドル建ての公債を大量に買うということは
敵に塩を送る行為に等しい
中国を仮想敵と日本に思わせてきたのは
他ならぬそのアメリカだった
この現実の拙さに漸く気づいた中国政府は
元売りドル買いで獲得したドルを
米国債を買うことにではなく
自国の軍事力増強へと振り向けたのだ
劣っていた海軍力の充実を急ぐようになり
空母の建設を最優先にし
防衛線の拡大強化を図っている
このことが米軍の太平洋に於ける配置割合を
50%から60%へと変更させた
これら一連の変化は
もともと
アメリカが金本位制から離脱した時に胚胎させた原因が
巡り巡って
いま
双葉から巨木を育て
日当たりのよい部分を
アメリカから中国へと
独り占めさせることを促すように働いている
まことに皮肉な経過であろう
アメリカの判断が健全なものであったのなら
サブプライムローンの債務不履行による金融危機は起きておらず
またユーロ危機へとそれが発展することもなかったのだし
ギリシャ危機が
イタリアからスペインへと飛び火することもなかった
アフリカの南北問題もおきていなければ
温暖化現象もより緩やかなものになっていた
日本経済がバブル化することもなければ
円高に苦しむようなことにもなってはいなかった
経済ダイナミックスとそのメカズムの実態を
誰も調査してこなかったということが
環境危機と経済危機とを
いま
同時に生み出させている
日本の貧困化は
紛れもなく国会の不明が導いたもの
その事実にさえ一向に気づかない
停止していた原発の一部再稼働は
判断が適切であれば
決して起き得なかった経過なのだ
この国の不幸は
不健全な循環から
抜け出そうとしなかった政治の現場が
判断を誤り続けてきたその果てに
生み出したもの
原発が100%停止していても
電力危機など一度も起きていなかった
その理由とメカニズムを調べた事実さえ
皆無
交流送電を成り立たせているその方法を調査すれば
電力業界が秘密主義を貫かざるを得なかったその理由が
わかる
国が劣化したのは当然の帰結
思考力を養わない教育制度のあり方が
盲目的に従順な国民を作り上げるようになっていた
もの分りのよい指導者の一群は
国を却ってダメにする
利益を得ていたはずのアメリカは
行き詰まった資本の論理の行く末に
既にオノノイテいる
不利益を得たものだけが
残される
今日17日(日本時間の明日)に予定されている
ギリシャの再選挙の結果をみれば
経過のもつ意味の行方が見えてくる
真実を知ったものは
行動を躊躇わない
その方法は多様であってよい
だが
思考力を失った者は
変化の渦にただ巻き込まれてゆくのみとなる