こ と の 端

散文でロジックを
環境 経済 エネルギー 電気 教育 などの "E" に関するちょっと気になったこと

同 時 同 量

2010-10-03 07:47:18 | Weblog
電力の需要



電力の供給

とが

時間的に一致しているだけでなく

量的にも一致している

という状態の

こと


発電と消費が一致していないことは

深夜の電力需要が15%も過剰になっている

という事実が

かねてからよく伝えていた

電力会社では

一日を単位とする負荷の平準化を図るために

当初から腐心しつづけていた

これ一つだけをみても

受給バランスがとれていない

ということを示す明瞭な証拠になっている

同時同量など絶対にありえない絵空事

その概念が罷り通っている

温暖化対策から実効を取り去っていたものの正体

が これ


電力の輸送を担当する系は二種類


大電流を消費地へと導くために

ゼロボルトという状態を必要とする接地系と呼ばれる部分



負荷の発生で電流を導く非接地系と呼ばれる部分

この両者で世界中の送電網が成り立っている


電気製品のスイッチが入ると

非接地系では

その製品が要求する消費電力だけが

電気回路に誘導される

必要以上の電流がそこに発生する

などということはない

電力需要が電気回路に発生すると

直ちに

所定の電流がそこに誘導されるようになっている

この仕組みは

電磁誘導の法則に基づいたもの


接地系では

大電流を長距離に亘って輸送する必要があることから

電路の終端に

負荷を置くことができない仕組みになっていた

遠隔地の電源が生み出した電流を効率よく輸送するには

その電圧を高めて

電流損失を減らしてやらなければならなかったからである

それには

最も低い電位であるゼロボルトの地点を設けて

高圧化した電流をそこへ導くための接地技術が欠かせない

これが接地系と呼ばれている部分の存在理由になっていた

 
高圧の送電系統が接地で成り立っている一方通行の電路になっているのに対し

低圧の配電系統では

負荷の発生が電流を誘導する回路になっていなければならない

鉄塔とむき出しの電線で構成されている高圧送電の部分は

接地系になっていなければ

大量の電力輸送を

安定的に

効率よく

維持することは

できない

 
電信柱と被覆された電線で成り立っている低圧の部分では

電気製品のスイッチのオンオフで

発生する誘導電流の量が決まる

これを

非接地系という

アース端子が設けられていないという意味ではない

柱上トランスの中性点接地は

負荷の消失で生じた逆機電力を系外へと逃がす安全確保のための技術

住宅内部の回路にも接地するための工夫が至る所に設けられている


消費者が誘導電流の量を自ら決める系と

電気事業者が誘導電流の量を予め定める系とでは

その性質はおのずから異なっている


同時同量をあたかも可能であるかのようにみせているのは

50ヘルツの地域で6600ボルト

60ヘルツの地域で7700ボルト



柱上トランスが関与する配電系統に限られる

接地系では

最大100万ボルトの高圧トランスが

円滑な電力移転の中継を行っている

電流は電位の差に従って流れる先を自分で決める

つまり

低圧側から高圧側へ電流が流れるなどということは

通常の使い方では

ありえない


川の水が逆流することがあるように

電流が地下へ落ちずに遡上することがある

これはきわめて危険な状態であるため

非常時には

電流を遮断する措置が機敏にとられる

節電が無効であったその訳は 

ここにあった


変圧プロセスでは高圧側一次コイルを経て

総ての電流が地の底へと落ちていく

低圧側二次コイルには

ほぼ同量の

変圧された電流が同時に誘導されるため

損失は無視できる範囲に収まっている

これを繰り返しながら

円滑な電力輸送を行っている

交流送電にはこの他電気抵抗によるとても大きな無駄がある

送電を必要としない独立分散型の電源系では

このようなことはおきない


発電所が生み出した最初の電流は

そのままコイルをへて接地される運命にある

変電所でも同じプロセスで

電流の移転を行っている

地球が吸わされている電流は

発電量より何倍も多い


省エネ努力などが温暖化対策として無効であり続けていたのは

交流送電のもつこの仕組みを

当事者が誰ひとり公開しようとしなかったから

電力会社には不利な情報を発信することに意義はなく

国と監督官庁には

原発推進を業界に強要してきたという

歴史的なしがらみがあった


実効のない環境対策費を

国に延々と投じさせてきたこれら当事者たちの罪は

きわめて重い

国の財政を劣悪化させていた理由の一つは

業界 官界 政界 

がもつ利益共同体という体質とそれが生みだした構造にある


節電は消費者が電気製品のスイッチを切る行為

トランスではこれにより

二次コイルに誘導されていた電流を直ちに消し去る

これが同量という形容をなさしめていた

しかしながら

一時コイルを経て地中へ落ちていく

励磁するための高圧側電流に変化がおきる訳ではない

場合によっては

逆に流れようとする電流さえ生み出すことがある

トランスの爆発事故は

異なった向きをもつ電流同士の

相互誘導による衝突が原因なのだ


発電と消費の間に同時同量は成り立たない

非接地系に限ってのみ

給配電と消費の間に

その関係が成立しているだけのこと

この違いを弁別することができていれば

温暖化が止まらずにいたその理由を

文明は早い段階で察知していたことだろう

国に多大な損失を負わせている原因者たちは

この現実を

謙虚に

率先して

正しく認識しなければならない

コメント
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