こ と の 端

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自 業 自 得 ②

2009-07-18 16:47:32 | Weblog
最大の防衛能力を身につけるためには

世界中が

等しく必要とするものの供給権を

逸早くもてば よい


アメリカは戦後

それに成功した国であった

原油を必要とする国は

アメリカの通貨であるドルで決済しなければならない

世界中から掻き集めた富の使い方を

歴代の米政府は誤り続けてきたのだった

そのために

核の拡散を伴う軍事予算の増加(軍拡)と

テロによる破壊活動とを

結果として

同時に生み出す時代を引き寄せたのだ


石油資源を必要とする国では

自国通貨を売って

ドルを為替市場で調達しなければならない

この事情が石油・ドル本位制というものを成り立たせている

ドルを得るために売り渡したその国の通貨は

ドル資本の手によって

当該国の市場で生み出された収益と

もともとそこにあった固有の資産とを

ドルを持つ者の手へと

引き渡すためのビジネスとして使用される


ドルを買った国が等しく貧しくなっていったというのは

必然の帰結であった


中国市場では その経済成長が衰えたときから

13億人以上で成り立っていた消費市場も停滞する

バブル期の日本経済が強い螺旋状の経済成長を遂げていた間

ドル資本は

日本市場へ再投資するという循環作業を果てしなく繰り返していた

ドル資本がやってきていながらも

日本が貧困化していなかったのは

収益の本国への還流がおきずに

日本市場への再投資がおきていたからであった

バブルが潰れた後になってからは

失われた十年を経て

日本の景気は

いざなぎ越えを記録したほど長期間に及んでいたのだったが

国民にその実感は

まったく なかったという事実を思い出すがよい


外資が日本市場で獲得した収益を

すべて持ち去っていったからであった

ドルを調達する金利よりその国の経済成長率が低いとき

当該国の通貨は周期性を帯びた乱高下を繰り返し

株式市場でも予測不能な資本の流出がおきるようになる

このようにして

国外からやってきた流動性は

ローカル市場から逃げ出すのだ

利益を確定したそのあとで

余ったドルを用いたドル安政策で

資本の再流入がおきると

外貨の価値が高められ

資本の回収をより有利に進めることができるようになる


日本の国内市場でカネが回らなくなったというのは

資本の流出を止められなかった政府の無思慮が原因となっておきたこと

労働階級がそのシワ寄せを真っ先に受け

賃金の増加ではなく

その反対である収入の減少を

こぞって甘受せざるを得ないような展開へと陥ってしまった


外資導入を政策として掲げ

実行してきた当時の政府内閣が

日本にワーキングプアを誕生させ

国際金融資本の収益率を昨夏最大化したのだったが

その同じ年の秋には

もう

当のその国際金融組織が

呆気なく破綻してしまったのだった


その後 国際経済は

百年に一度という未曽有の不況へと突入することとなったのである

ドル資産を大量に抱え込んでいた国のうち

経済的に余力の残されていた国が集まって

G20と呼ばれる対策を討議するための会議を開いたのだったが

ドルの過剰流動性を点検せずに

資本の供出だけを参加国に行わせるよう仕向けたアメリカの意向に沿って

資本の増強だけが実施されることとなったのだ


急場を乗り切ろうと謀ったアメリカの意向を知らないすべての参加国は

国際経済の牽引役になるチャンスとこの危機を捉え

率先して資本の供出に応じたのである


国際経済は

ドル安政策の実行を是としたのだったが

産油国がもつドル資産が大きく目減りしてしまったことから

米政府はドル安政策を実施していなかがらも

その一方で

強いドルを望む

というステートメントを発表し続けるようになったのである

見え透いたリップサービスを真に受けなければならないほど

ドル経済圏を構成していた国々は

目減りする一方のドル資産を抱えて

それを処分することもできないという状況に喘いでいる


米国債を保有するという行為は

外貨準備高を増やすという意味をもつ

このため

国際市場で信用力が高まるのだ

だが

ドル安政策の実施でその通貨価値は

目減りする一方となる展開をたどることになる


帳簿上ではドル建ての価値に換算されているので

損失がでていてもそれは数値として確定したものではなく

国民の知るところとはならない

日本の場合

一ドルが360円だった時代に政府日銀が買った米国債は

いまでは90円の値打ちしかなくなっている

270円に相当する価値がドル安政策の結果

アメリカの債務残高から消え去ったということなのである

たとえ利息がついていたとしても

それが売ることができない処分不能の不良資産であるのなら

それは債権保有国にとって

何の意味ももたない


円高状態のときに

ドル資産を円転しようとするのなら

為替差損を同時に引き受けなければならない

その反対であるドル高円安の状態になっている場合にだけ

在外資産を取り戻すことができるのである

資本の流出がおきて困る米政府は

ドルが強くあるべきだと口では言いはするものの

実際には

ドル安政策をこれからも延々と続けていかなければならない立場なのだ


発行し過ぎて市場でダブつくようになったドルは

どこかの貿易黒字国に押し付けてしまうのが 手っとり早い

余ったドルでその国の通貨を買えば

それだけでドル安の状態が簡単に導ける

ドルを売って手に入れたその国のローカル通貨は

国に固有の資産であるところの不動産や農産物

加工品などのビジネスを一時的に活発化するのだが

その国の市場が生み出した収益の悉くが

ドルを提供した者の元へ向かって出てゆくのである

配当を実施する義務を

ドル資本は負っている

これが貧困を生みだしていたメカニズムの正体だったのだ


日本という国では

困ったことに

政府自らが外資を呼び入れ

国内市場を提供しただけでなく

円高となる状況を輸出産業に受け容れるよう強制していたのだった

この外資導入政策によって日本の輸出産業が蒙った損害は

計り知れないものがある

この損害を埋め戻す目的で

財務省と日銀は

為替市場へと率先して介入し

高くなった円を売って

ドルを買い

元の水準へと円の通貨価値を引き下げていたのである

この操作を繰り返した結果として

外貨準備高がどんどん高くなっていったということなのだ

無策以外のなにものでもないだろう


アメリカに従順な政府をもつと

国の産業と労働環境が同時に衰えるだけでなく

出生率までが下がっていくのだ

人口の減少は年金制度を根底から揺るがし

政府の税収全体を大きく引き下げるものとなる

こんなことを与党がこぞってやっていたのだったから

国が繁栄する道理はなかった

このことは 特定の政党だけの責任だけではない

問題点を指摘してこなかったすべての野党にも

同等の責任がある話なのだ

政権が交代したところで

これまでの政策を継続していこうとするのなら

国民の不幸はこれからも更に続く

国内経済はドル資本の跳梁を許し
 
市場を提供してその収益を持ち去るがままに放置した

その結果市場にカネが回らないようになり

低いとはいえ

経済成長が続いていた間を通じで

国民のすべてはその余沢を些かも受けることなく

衰弱を繰り返すのみの循環へと陥っていったのである


国の劣化は

紛れもなく

為政者が政策判断を誤ったことから引き起こしたものなのだ

日本が失った富で

アメリカの金融制度は急成長したのだったが

制御不能の状態へと自ら陥ってしまったのである

その過程で株高と原油高が同時進行するようになり

世界中がインフレの昂進に苦しむようになっていったである


資本の論理を極めたその果てに待っていたのは

金融システムそのものの自己崩壊という実に愚かな結末であった

これを先人たちは 自業自得と呼んで蔑んできた 
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