こ と の 端

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適 者 生 存

2008-12-07 16:46:30 | Weblog
あらゆるシステムには 欠陥がある


ソ連型の共産主義体制を自己崩壊させたのは

その内部に潜んでいた要因の一つである

人の心がもつ繊細な綾模様というものを 

党指導部が要素化してこなかったからだった


唯物論は 心の成分を扱わないものなのだ


ひとの思いというものは 目に見えないため

数値化することができない

物として扱うことができる項目だけを根拠として

科学的と認定される方法で

それを積み上げていったのが

共産主義体制と呼ばれるものになったのである


権威を蔑にすると 修正主義として指弾されてしまうほど

共産主義の根本思想は絶対的な教義になっていた

絶大な力を見せつけていたコムニズムは

資本主義社会が急速に発展していったことにより相対化され

後れをとった共産圏諸国の国民生活のレベルに

取り返しがつかないほどの

大きな差がつくようになっていたのだった


ソ連が自己崩壊したのは

米ソ間の経済格差が

どうしようもないほどまでに拡大してしまったからだった


だが、勝ち残ったかにみえた資本主義体制は

いま

自らの生み出したその仕組みによって

内部崩壊しようとする直前の 重大な危機に晒されている


ドル経済圏の一翼を担い 

自由主義経済の波に乗って発展してきた世界の自動車産業は

経済環境が変化したその煽りをうけて 

かつて経験したことがないほどの窮地に 

立たされるようになってしまったのだった


米国では

潤沢なドルでマネーゲームをおおいに楽しんでいた金融資本の経営者や

ビッグスリーなどのCEOたちが

企業の利益よりも 己の過分な取り分を優先させていたことから

企業の経営自体が成りたたないようになっていた

これらの経営者たちは 

膨大な負債を抱えた企業を維持することができず 

首を竦めて北風がやむのをただ待っている


一方 日本の自動車産業はというと

円高の再来で輸出すること自体が困難な状態へと陥ったのである

国内の産業を扶育するべき役割を担っていた銀行が

当初の円高を演出したドル資本に対して

世界最低金利となっていた円を大量に供給していたからだった


担保の価値が下がれば 銀行は一瞬で与信過剰の状態となる

株価の下落と円高が同時に起きるようになったのは

担保価値の低下が

邦銀の与信能力を超えてしまっていたからだった


キャリートレードで国外へでていった大量の円を召喚する必要に迫られて

銀行自らが円高を招き寄せる役割を演じるようになったのである

その結果 自動車産業全体を追い詰めただけでは済まず

輸出で稼いでいたその他の産業にまで

円高という避けがたい打撃を与えることとなり

窒息寸前の状態へと日本経済を追い詰めるこの現状を生み出した


銀行みずからが 

輸出で成り立ってきた日本経済の根幹を圧迫するようになったため

国民の生活はより一層不安定なものになろうとしている


ものには 節度と分別とが必要なのだ


健全だった企業の生存を危うくしているのは

目先の利益に走った金融業界そのものであった


不適切なシステムは 

自ら崩壊することによって 

より良いものをそこに残そうとする

あたらしいシステムを生み出す原動力となるのは

滅ぶべき定めの劣化した古いシステムである

新陳代謝を促してやると 長生きができるようになるという教訓
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