--いま、なぜこの悪質な組織の欺瞞性を問題にするか--
創価学会・池田大作をブッた斬る
藤原弘達 1988=昭和63年 (日新報道/¥1,000)
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▼ 自民党に媚びる学会・公明党の事情
昭和六十三年七月の「財務の日」--今年は十七日だったが、大橋議員の池田告発、公明党の大橋除名、藤原都議の池田打倒宣言、若手造反者の決起と、久しぶりに波風立った創価学会で、全国的に例年とはムードが違ったらしい。
地域によっては、集金日を一週間延期したところもあるという。
二年前に、元学会副会長の一人、福島源次郎が池田大作に「誠諫之書」と題する一文をつきつけ脱会した。“ゴマスリ源次郎”と呼ばれたこの元副会長は、仇名の如く、池田側近中でも名うての“忠犬ハチ公”ともいわれた。それが、「誠諫之書」と、これまた大時代のタイトルをつけたものだが、その中で学会員最大の疑問と苦しみは財務だと衝いたのだ。
福島の「誠諫之書」は昭和六十一年に雑誌に載り(「週刊現代」)、六十三年七月二十八日号の「週刊新潮」が再録している。
福島が指摘した財務の貪欲さは--
「一、地区幹部は少くとも十万円をすべきである。そうしない幹部は個人指導せよ。
一、現在もっている預貯金全部を出すのは当り前だ。それにどれ程上乗せするかが信者の戦だ。
一、各支部で十万円以上出す人を三十人以上作れ。
一、支部内で百万円以上の大口を何人作るかが、支部長、婦人部長の戦いだ」
福島が指摘したのは、昭和六十一年現在の財務指導。最近数年間をみても五十七年=三〇〇億、五十八年=四五〇億、五十九年、六十年は一五〇〇億、その後も一〇〇〇億以上と続き、今年の目標額設定は二〇〇〇億になった。
貧と病から救ってやる、ご利益をやるといって社会の底辺層を取り込んだ学会が、一年に二〇〇〇億円を吸い上げるとは、ただただ唖然とする。池田は、「学会に入ったお陰で、みんな、五万だ十万だと出せる身になったのだ」と嘯くだろうが、実態は組織的ユスリ、タカリと変わりない。福島の指摘がそれを語っている。
支部長、婦人部長はじめ、地区幹部たちは、いわばマフィア組織内の、宗教という“阿片”バイ人だ。財務の日、即ち納金日が迫ってくると、各組織で票読みならぬカネ(金額)読みをする。
「集金額予測を行い、最後の上積み作戦を協議する姿もあちこちに展開され、どこかの政党の票読みに似て、何という醜状でしょうか」と福島はいうのだが、醜状よりむしろ陰惨とよぶべきである。
このユスリ、タカリを不可能ならしめる方途は何か。それは、創価学会に寄生する“忠犬ハチ公”的側近幹部、学会“官僚”の改心を待っても全く意味がない。徒労である。
「週刊ポスト」(63・7・8号)の溝ロレポート中、税法学者・北野弘久日大教授はいう。
「創価学会は信徒だけがおり、お坊さんがいない。なおかつ公明党だけを支持する宗教団体、つまり実体は政治団体だといってもいい。アメリカでは宗教団体が政治団体とか営利団体の性格を強めたと認められれば、非課税優遇措置を取り除かれます。日本ではそういうことがない。私は宗教法人優遇税制を見直すベきと思います」
北野教授は、巨大宗教法人が政治団体化している下では、税法上の保護は「公認会計士の監査を経た財務情報を一般国民に開示する」ことを条件にすベきだという。(「法律時報」61・8号)
昭和三十一年に立正佼成会に関する人権問題を調査した衆院法務委員会の「不正なる宗教活動に対する決議」には、--
① 布教活動で人権侵害や犯罪を構成するものは摘発する、
② 宗教法人の解散権を発動すべきかどうか徹底調査する、
③ 発動の前提となる「調査権の整備」など検討する、
④ 検察庁は適切な措置をとるべきだ、--とある。
こういうものがあるから、野党第二党,公明党がデンと控えているのだ。法務委員会の決議など、今では古証文も同然である。公明党は、国会で自民党など欲しがらない法務委員会のポストを欲しがる。利権絡みでなく、コトある時ににらみを利かすためである。
学会に、というより池田大作に何かコトある時は必ず野党色にかげりが出てくる公明党を、世間も知っている。対政府、対自民党でバ力にモノ分かりがよくなり、条件闘争などといって、コロリとひっくり返るのだ。
昭和六十三年の“税制国会”においては、年初から勇ましかった公明党野党色が、お家の事情でにわかに腰くだけとなり、しばし自民党を安堵させた。お家の事情とは、もちろん大橋問題や造反続出であり、宗教法人税見直し論がチラついたりすると、もはやマッチポンプ的ケン力などしてはいられない。それに、今や解散も怖い。
結局、七月下旬、臨時国会召集日の時点では入口の見えなかった税制法案の審議入りに、民社党と手をつないで応じた。民社も、リクルート疑惑に委員長、塚本の名が絡んだりするから、公明党と組む。宗教法人税の問題も新宗連の票を考えれば、他人事ではないのだ。
既に消費税問題では、池田大作と自民党の渡辺美智雄との間に池田の国会喚問阻止を巡って取引があったとも報じられている(山本七平の「池田大作問題と異端」文芸春秋63・11号参照)。その真相は、いずれ判明するだろう。私は渡辺に真相を直接ただしてみたが、彼はハッキリと否定していた。大作の「使い」に当たったのが秋谷栄之助という噂だが、公明党の矢野ではないらしい。またまた、政教の使い分けである。こうして性こりもなく、税制改革問題でもリクルート・コスモスの讓渡問題がからんで、自民党とつるんだり、反発したりのべテン作戦は相も変わらずハレンチに続くのだ。
かくの如く、公明党は、学会、それも池田の事情が即、党の事情となる。学会がゆれる時、公明党の出番が多くなる。一種の僧兵的ガードマンとして池田大作を守護し奉らねばならないワケだ。
創価学会汚染というか、池田シンドロームはこうしてますます深まっていく。それは今や「亡国」に導く前駆症状といっても決して過言ではない。
----------(つづく)---------82