1983年の今日（11月12日）は、 NHK朝のテレビドラマ「おしん」が瞬間最高視聴率62.9%を記録した日。（歴史）
ＮＨＫの平日の朝8時15分からの15分間のドラマ、俗に「朝ドラ」は、女性の大人気番組である。今、「風のはるか」が放送されているが、家人もこの「朝ドラ」の時間になると、家事も一時中止し、テレビの前にかじりついている。
このＮＨＫの「朝ドラ」の第一作が始まったのは、1961（昭和36）年4月からだそうだが、男の私が、テレビの「朝ドラ」を真剣に見始めたのは、第6作の「おはなはん」からであろう。新人女優・樫山文枝のかわいらしさと大正時代のモダニズムが溶け合い本当に明るく楽しく面白いドラマだった。この後に続くドラマもそれなりに力作であり、この「朝ドラ」がお茶の間を独占するようになった。私も「おはなはん」以来、時間があれば、「朝ドラ」を見るようになった。その後、この人気番組の朝ドラへの出演は新人女優の登竜門とさえなった。そして、最高にピークを迎えたのが1983（昭和58）年4月から始まった「おしん」である。東北の貧しい小作農の三女に生まれた「おしん」が奉公先でいじめられ、かわいがられ、いろんな人との出会いや別れを繰り返し、明治、大正、昭和の3代にわたって戦争や大震災を乗り越えて今ここに穏やかな老後を迎える・・・といった内容のドラマであった 。子役の小林綾子が大根めしで空腹を満たし、奉公先でのイジメにひたすら辛抱するけなげさは涙をさそい、視聴者を釘づけにした。子役おしんの人気は、ベテラン女優の田中裕子、乙羽信子へとそのまま引き継がれ、11月12日、その視聴率はついに62.9％のピークにも達したという。健気な主人公の努力・辛抱・幸せの物語を古い映画のあざとい手法で描いた原作・脚本 橋田壽賀子のこのドラマは、日本中の人をこのテレビに巻き込み、平均視聴率52.6％を記録したという。
この「おしん」誕生のきっかけは原作者・橋田壽賀子の元に寄せられた一通の匿名の手紙、それは、ある明治生まれの女性が、「子守り奉公したり、“女郎屋”に売られたり・・人に言えない苦労をした過去を病床で綴ったもの」であったという。そして、明治の人の苦労を伝えるのは、自分たちの世代の義務だと感じたからだというのだ。
「おしん」のドラマがこの時代これほど熱狂的に支持された裏には、貧しい生活の中から、数々の試練に耐え、持ち前の明るさと努力でやがてスーパーの経営者となるおしんの生き様を見て、戦後の日本人が高度経済成長の過程で、ほとんど忘れかけていた、わずか数十年前の日本人の姿、貧しさ、貧しさの中のけなげさ、モラルといったものが、人々の心を捉えたからであろう。それは、日本の古き良き文化・歴史の再発見であったとも言うべきか。このドラマの主人公はスーパーマーケット「ヤオハン」を興した和田カツをモデルにしたという説もあるが、このテレビドラマの筋立ては必ずしもヤオハンの創業過程をなぞったものではないらしい。
このドラマに登場した「大根めし」がレシピの雑誌にのるほどであったが、このブームに乗ろうと、当時中曽根康弘首相が「いま辛抱強いのは”おしん、康弘、隆の里”だ」などと悦に入ったが受けなかったなどというエピソードもある。この「おしん」のドラマは、日本だけでなく、この後、シンガポールを皮切りに、中国など海外の特に発展途上国などで放送され熱狂的な人気を呼んでいる。
おしんの奉公地に設定されていた山形県酒田周辺ではおしんよりもっと苦難を強いられた女性が沢山いたとも言われており、日本はわずか１世紀余の短期間に世界屈指の豊かな国に成り上がった。ほんの100年で、子どもも働かなければ生きていけないような貧困とは無縁の時代となり、敗戦後自信をなくした日本の男性からは、厳しい父親像というものも消滅した。子どもたちも働かなければ生きていけないような貧困とは無縁であり、教育面では、自由だ、平和だ、子供の権利だと権利ばかりを教えられ、どうして？、誰のおかげで？、これだけ、平和で自由な国で好き勝手な生活ができるようになったのかを全く学んではいないようだ。今どれだけ、恵まれた環境にいるかも忘れて、不満ばかりを言って、ちょっとしたことにも我慢できずすぐ切れてしまう子供たちが多くなった。そして、遊ぶ金のためには春を売る中学生さえいるという。今一度、このような、ドラマでも見て、今の生活が、どれだけ豊かなものかを知り、そんな日本を築いてきた親など先人の努力に感謝をする気持ちが大切ではないだろうか。
（画像は、週刊20世紀・朝日クロニクルより借用）
参考：
日本放送協会(NHK)
http://www.nhk.or.jp/
おしん - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%81%8A%E3%81%97%E3%82%93
おしん 詳細ロケ地情報
http://loca.ash.jp/info/1994/a1983_osin.htm
ＮＨＫの平日の朝8時15分からの15分間のドラマ、俗に「朝ドラ」は、女性の大人気番組である。今、「風のはるか」が放送されているが、家人もこの「朝ドラ」の時間になると、家事も一時中止し、テレビの前にかじりついている。
このＮＨＫの「朝ドラ」の第一作が始まったのは、1961（昭和36）年4月からだそうだが、男の私が、テレビの「朝ドラ」を真剣に見始めたのは、第6作の「おはなはん」からであろう。新人女優・樫山文枝のかわいらしさと大正時代のモダニズムが溶け合い本当に明るく楽しく面白いドラマだった。この後に続くドラマもそれなりに力作であり、この「朝ドラ」がお茶の間を独占するようになった。私も「おはなはん」以来、時間があれば、「朝ドラ」を見るようになった。その後、この人気番組の朝ドラへの出演は新人女優の登竜門とさえなった。そして、最高にピークを迎えたのが1983（昭和58）年4月から始まった「おしん」である。東北の貧しい小作農の三女に生まれた「おしん」が奉公先でいじめられ、かわいがられ、いろんな人との出会いや別れを繰り返し、明治、大正、昭和の3代にわたって戦争や大震災を乗り越えて今ここに穏やかな老後を迎える・・・といった内容のドラマであった 。子役の小林綾子が大根めしで空腹を満たし、奉公先でのイジメにひたすら辛抱するけなげさは涙をさそい、視聴者を釘づけにした。子役おしんの人気は、ベテラン女優の田中裕子、乙羽信子へとそのまま引き継がれ、11月12日、その視聴率はついに62.9％のピークにも達したという。健気な主人公の努力・辛抱・幸せの物語を古い映画のあざとい手法で描いた原作・脚本 橋田壽賀子のこのドラマは、日本中の人をこのテレビに巻き込み、平均視聴率52.6％を記録したという。
この「おしん」誕生のきっかけは原作者・橋田壽賀子の元に寄せられた一通の匿名の手紙、それは、ある明治生まれの女性が、「子守り奉公したり、“女郎屋”に売られたり・・人に言えない苦労をした過去を病床で綴ったもの」であったという。そして、明治の人の苦労を伝えるのは、自分たちの世代の義務だと感じたからだというのだ。
「おしん」のドラマがこの時代これほど熱狂的に支持された裏には、貧しい生活の中から、数々の試練に耐え、持ち前の明るさと努力でやがてスーパーの経営者となるおしんの生き様を見て、戦後の日本人が高度経済成長の過程で、ほとんど忘れかけていた、わずか数十年前の日本人の姿、貧しさ、貧しさの中のけなげさ、モラルといったものが、人々の心を捉えたからであろう。それは、日本の古き良き文化・歴史の再発見であったとも言うべきか。このドラマの主人公はスーパーマーケット「ヤオハン」を興した和田カツをモデルにしたという説もあるが、このテレビドラマの筋立ては必ずしもヤオハンの創業過程をなぞったものではないらしい。
このドラマに登場した「大根めし」がレシピの雑誌にのるほどであったが、このブームに乗ろうと、当時中曽根康弘首相が「いま辛抱強いのは”おしん、康弘、隆の里”だ」などと悦に入ったが受けなかったなどというエピソードもある。この「おしん」のドラマは、日本だけでなく、この後、シンガポールを皮切りに、中国など海外の特に発展途上国などで放送され熱狂的な人気を呼んでいる。
おしんの奉公地に設定されていた山形県酒田周辺ではおしんよりもっと苦難を強いられた女性が沢山いたとも言われており、日本はわずか１世紀余の短期間に世界屈指の豊かな国に成り上がった。ほんの100年で、子どもも働かなければ生きていけないような貧困とは無縁の時代となり、敗戦後自信をなくした日本の男性からは、厳しい父親像というものも消滅した。子どもたちも働かなければ生きていけないような貧困とは無縁であり、教育面では、自由だ、平和だ、子供の権利だと権利ばかりを教えられ、どうして？、誰のおかげで？、これだけ、平和で自由な国で好き勝手な生活ができるようになったのかを全く学んではいないようだ。今どれだけ、恵まれた環境にいるかも忘れて、不満ばかりを言って、ちょっとしたことにも我慢できずすぐ切れてしまう子供たちが多くなった。そして、遊ぶ金のためには春を売る中学生さえいるという。今一度、このような、ドラマでも見て、今の生活が、どれだけ豊かなものかを知り、そんな日本を築いてきた親など先人の努力に感謝をする気持ちが大切ではないだろうか。
（画像は、週刊20世紀・朝日クロニクルより借用）
参考：
日本放送協会(NHK)
http://www.nhk.or.jp/
おしん - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%81%8A%E3%81%97%E3%82%93
おしん 詳細ロケ地情報
http://loca.ash.jp/info/1994/a1983_osin.htm