昨実、つまり、2009(平成21)年8月30日 第45回衆議院議員総選挙の投票が行なわれた。結果は民主党が単独過半数(241議席)を大幅に上回る308議席を獲得。前回( 第44回総選挙)の52議席の獲得に留まった小選挙区(小選挙区制参照)では、221議席を獲得。比例近畿ブロックは全国最多の9議席を10党が争い民主は得票数で13議席を獲得するはずだったが、重複立候補議員の大半が小選挙区で当選を果たし、候補者が2人不足する事態となり、自民党・公明党等に議席を譲る等の圧勝劇であり、これにより、民主党が政権交代を確実にした。自民党は公示前勢力の3分の1余に激減。保守合同)以来初めて第1党の座を失い、野党(細川政権以来15年ぶり)に転落した。
祇園精舎(ぎおんしょうじゃ)の鐘の聲(こえ)、 諸行無常の響きあり。
沙羅双樹(しゃらそうじゅ)の花の色、 盛者必衰(じょうじゃひっすい)の理(ことわり)をあらはす。
奢(おご)れる人も久しからず。 ただ春の夜の夢のごとし。
猛(たけ)き者も遂(つひ)には亡(ほろ)びぬ。 偏(ひとえ)に風の前の塵におなじ。
(平家物語序文・抄。冒頭部分より)
今回選挙で自民・公明連立政権が敗北したのをみて、有名な平家物語のこの1節を思い起した人も多いだろう。
この序文では、「盛者必滅」(栄えたものは必ず滅びる)、「奢れる者久しからず」(おごりたかぶる者は、長くは繁栄できない)といったことを表している(以下参考の「平家物語全文現代語訳」参照)。
今回の選挙では、各党がマニフェストを掲げて戦った選挙ではあるが、国民は、国民の人気取り的なことばかり掲げたマニフェストの中身がどうのこうのと言うよりも、もっと醒めた目で、投票に臨んだと思う。
そして、今回の総選挙では、民主党が信頼できるから、民主党政権を望んだというよりも、55年体制が成立以来政権の座を独占してきた自民党に「政権」の交代を迫ったものであっただろう。
冒頭の画像は、2009(平成21)年8月30日、選挙当日、朝日新聞朝刊に掲載されていた民主党の掲載広告である。
民主党代表鳩山由紀夫の写真と「本日、政権交代」」と題した広告記事には以下のように書かれている。
「あなたはいう。どうせ変られないよという。政治には裏切られてきたという。
しかし、あなたはこうもいう。こんな暮らしはうんざりだと。
私は言う。貴方以外の誰が、この状況をかえられるのか。あなたの未来は貴方が決める。
そう気づいたとき、つぶやきと舌打は、声と行動に変わる。
そして、貴方は知る。あなたの力で、世の中を変えた時の達成感を。」・・・と・。
今回の選挙は、若い世代にとりわけ大きな意味をもつ選挙であっただろう。
ここ十数年間国政選挙での20代の投票率は3割台で低迷していた。以下参照。
(財)明るい選挙推進協会・年齢別投票率の推移
http://www.akaruisenkyo.or.jp/070various/sg_nenrei.html
当時自民党総裁小泉純一郎が政治生命をかけた『郵政解散』をして、「 郵政民営化 賛成か?反対か?を問うた」選挙(小泉劇場といわれた2005年の第44回週銀選挙)こそ40%を超えたが、年代別で見るとやはり最低の投票率であった。
若者人口が減少しており、投票総数に占める若者票の割合が一層減っているのに、投票率が低いのでは、年々多くなる高齢者とその層の高い投票率がある以上、政治家は、高齢者の顔を見ながら政治をせざるを得なかったであろう。
そうして、若者が「選挙などしてもどうせ何も変わらない」・・として、政治に背を向けている間に、雇用の流動化で、急増した非正規社員の多くは若い世代だった。そして、世界同時不況で若者の多くが職を失った。
少子化の中高齢者が増えることによって、高齢者等への社会保障負担も若者の背中にずっしりと重くのしかかってくる。真面目に一生懸命働き定年を迎えてもまともな年金が受け取れるかどうかも分らなくなってきた。“55年体制のもと今まで、続いてきた、自民党族議員と霞ヶ関の官僚、財界との癒着と言わないまでも馴れ合いの中で行なわれてきた政治構造を変革し、国民に目を向けた政治、特に、これから先の長い若ものの明るい未来を構築するためには、政権を交代させ、新政権に今のあらゆる出来上がったシステムの改革を委ねざるを得なかったであろう。
そういう意味で、この時代を覆う閉塞間の中で、結婚や出産をためらう人達や、いままでの政治無関心層といわれる人達、特に若者層に「貴方以外の誰が、この状況をかえられるのか。あなたの未来は貴方が決める」・・・という、民主党のこの呼びかけが、今までの政治の継続を断ち切り、変化に賭ける想いで投票行動を起させた結果が民主党の圧倒的勝利に結びついたものであろう。
しかし、これから、政権についた時に、どれだけ、その期待に応えられる政治が実行できるかが問われる。
マニフェストを見てもかなり、バラマキ的なものがあり、財源面での心配がされている。日本経済の状況も今だ不安定である。兎に角、政権に付いたことの無い政党に政治を委ねたのである。暫くは、暖かい目で見守るしかないだろうが、その行動は、厳しい目で見て行かねばいけないだろう。
だが、今回の選挙は、有権者の意思で初めて政治を変えたという意味で、日本の国政選挙史上で記念すべき日となったといえる。
(画像は2009年8月30日、選挙当日、朝日新聞朝刊に掲載されていた民主党の掲載広告)
参考:
第45回衆議院議員総選挙 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%AC%AC45%E5%9B%9E%E8%A1%86%E8%AD%B0%E9%99%A2%E8%AD%B0%E5%93%A1%E7%B7%8F%E9%81%B8%E6%8C%99
平家物語- Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B9%B3%E5%AE%B6%E7%89%A9%E8%AA%9E
平家物語全文現代語訳
http://kazeoto.com/heike-yaku001.html
(財)明るい選挙推進協会
http://www.akaruisenkyo.or.jp/
民主党 web-site
http://www.dpj.or.jp/special/manifesto2007/
マニフェスト - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9E%E3%83%8B%E3%83%95%E3%82%A7%E3%82%B9%E3%83%88
改革 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%94%B9%E9%9D%A9
マニフェスト-Yahoo!百科事典
http://100.yahoo.co.jp/detail/%E3%83%9E%E3%83%8B%E3%83%95%E3%82%A7%E3%82%B9%E3%83%88/
衆議院選挙 - Yahoo!ニュース
http://dailynews.yahoo.co.jp/fc/domestic/house_of_representatives_election/?1247287354
asahi.com - 2009総選挙
http://www2.asahi.com/senkyo2009/
新聞・雑誌コラム執筆/無党派層の出現防止
http://www2s.biglobe.ne.jp/~hiro_ino/seiron-jaron/report-politics-philosophy.htm
祇園精舎(ぎおんしょうじゃ)の鐘の聲(こえ)、 諸行無常の響きあり。
沙羅双樹(しゃらそうじゅ)の花の色、 盛者必衰(じょうじゃひっすい)の理(ことわり)をあらはす。
奢(おご)れる人も久しからず。 ただ春の夜の夢のごとし。
猛(たけ)き者も遂(つひ)には亡(ほろ)びぬ。 偏(ひとえ)に風の前の塵におなじ。
(平家物語序文・抄。冒頭部分より)
今回選挙で自民・公明連立政権が敗北したのをみて、有名な平家物語のこの1節を思い起した人も多いだろう。
この序文では、「盛者必滅」(栄えたものは必ず滅びる)、「奢れる者久しからず」(おごりたかぶる者は、長くは繁栄できない)といったことを表している(以下参考の「平家物語全文現代語訳」参照)。
今回の選挙では、各党がマニフェストを掲げて戦った選挙ではあるが、国民は、国民の人気取り的なことばかり掲げたマニフェストの中身がどうのこうのと言うよりも、もっと醒めた目で、投票に臨んだと思う。
そして、今回の総選挙では、民主党が信頼できるから、民主党政権を望んだというよりも、55年体制が成立以来政権の座を独占してきた自民党に「政権」の交代を迫ったものであっただろう。
冒頭の画像は、2009(平成21)年8月30日、選挙当日、朝日新聞朝刊に掲載されていた民主党の掲載広告である。
民主党代表鳩山由紀夫の写真と「本日、政権交代」」と題した広告記事には以下のように書かれている。
「あなたはいう。どうせ変られないよという。政治には裏切られてきたという。
しかし、あなたはこうもいう。こんな暮らしはうんざりだと。
私は言う。貴方以外の誰が、この状況をかえられるのか。あなたの未来は貴方が決める。
そう気づいたとき、つぶやきと舌打は、声と行動に変わる。
そして、貴方は知る。あなたの力で、世の中を変えた時の達成感を。」・・・と・。
今回の選挙は、若い世代にとりわけ大きな意味をもつ選挙であっただろう。
ここ十数年間国政選挙での20代の投票率は3割台で低迷していた。以下参照。
(財)明るい選挙推進協会・年齢別投票率の推移
http://www.akaruisenkyo.or.jp/070various/sg_nenrei.html
当時自民党総裁小泉純一郎が政治生命をかけた『郵政解散』をして、「 郵政民営化 賛成か?反対か?を問うた」選挙(小泉劇場といわれた2005年の第44回週銀選挙)こそ40%を超えたが、年代別で見るとやはり最低の投票率であった。
若者人口が減少しており、投票総数に占める若者票の割合が一層減っているのに、投票率が低いのでは、年々多くなる高齢者とその層の高い投票率がある以上、政治家は、高齢者の顔を見ながら政治をせざるを得なかったであろう。
そうして、若者が「選挙などしてもどうせ何も変わらない」・・として、政治に背を向けている間に、雇用の流動化で、急増した非正規社員の多くは若い世代だった。そして、世界同時不況で若者の多くが職を失った。
少子化の中高齢者が増えることによって、高齢者等への社会保障負担も若者の背中にずっしりと重くのしかかってくる。真面目に一生懸命働き定年を迎えてもまともな年金が受け取れるかどうかも分らなくなってきた。“55年体制のもと今まで、続いてきた、自民党族議員と霞ヶ関の官僚、財界との癒着と言わないまでも馴れ合いの中で行なわれてきた政治構造を変革し、国民に目を向けた政治、特に、これから先の長い若ものの明るい未来を構築するためには、政権を交代させ、新政権に今のあらゆる出来上がったシステムの改革を委ねざるを得なかったであろう。
そういう意味で、この時代を覆う閉塞間の中で、結婚や出産をためらう人達や、いままでの政治無関心層といわれる人達、特に若者層に「貴方以外の誰が、この状況をかえられるのか。あなたの未来は貴方が決める」・・・という、民主党のこの呼びかけが、今までの政治の継続を断ち切り、変化に賭ける想いで投票行動を起させた結果が民主党の圧倒的勝利に結びついたものであろう。
しかし、これから、政権についた時に、どれだけ、その期待に応えられる政治が実行できるかが問われる。
マニフェストを見てもかなり、バラマキ的なものがあり、財源面での心配がされている。日本経済の状況も今だ不安定である。兎に角、政権に付いたことの無い政党に政治を委ねたのである。暫くは、暖かい目で見守るしかないだろうが、その行動は、厳しい目で見て行かねばいけないだろう。
だが、今回の選挙は、有権者の意思で初めて政治を変えたという意味で、日本の国政選挙史上で記念すべき日となったといえる。
(画像は2009年8月30日、選挙当日、朝日新聞朝刊に掲載されていた民主党の掲載広告)
参考:
第45回衆議院議員総選挙 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%AC%AC45%E5%9B%9E%E8%A1%86%E8%AD%B0%E9%99%A2%E8%AD%B0%E5%93%A1%E7%B7%8F%E9%81%B8%E6%8C%99
平家物語- Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B9%B3%E5%AE%B6%E7%89%A9%E8%AA%9E
平家物語全文現代語訳
http://kazeoto.com/heike-yaku001.html
(財)明るい選挙推進協会
http://www.akaruisenkyo.or.jp/
民主党 web-site
http://www.dpj.or.jp/special/manifesto2007/
マニフェスト - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9E%E3%83%8B%E3%83%95%E3%82%A7%E3%82%B9%E3%83%88
改革 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%94%B9%E9%9D%A9
マニフェスト-Yahoo!百科事典
http://100.yahoo.co.jp/detail/%E3%83%9E%E3%83%8B%E3%83%95%E3%82%A7%E3%82%B9%E3%83%88/
衆議院選挙 - Yahoo!ニュース
http://dailynews.yahoo.co.jp/fc/domestic/house_of_representatives_election/?1247287354
asahi.com - 2009総選挙
http://www2.asahi.com/senkyo2009/
新聞・雑誌コラム執筆/無党派層の出現防止
http://www2s.biglobe.ne.jp/~hiro_ino/seiron-jaron/report-politics-philosophy.htm