”きんさん・ぎんさん”は、記録的な長寿で話題となった双子姉妹・成田 きんさんと、蟹江 ぎんの愛称であるが、今日・2月28日は、その双子の姉の妹・蟹江ぎん <108歳>の2001年の忌日である。
“きんさん・ぎんさん”は、1892(明治25)年8月1日、愛知県愛知郡鳴海村(現在の愛知県名古屋市緑区)で矢野家の長女・次女として生まれた。Wikipediaには、“きんとぎんの二人が一卵性双生児であることも検査で確認されているが、なぜか血液型は異なっている”・・・とあった。何でも、血液型はきんさんがO型、ぎんさんがA型だという。
双生児とは、多胎児の1つであり、同じ母親の胎内で同時期に発育して生まれた2人の子供を指す。いわゆる双子(ふたご)のことであり、母体が受胎した時の受精卵(卵子)の数により一卵性双生児と二卵性双生児に大別されている。
一卵性は、卵子1つと精子1つで、本来なら一人の赤ちゃんになるはずの1つの受精卵が、受精後何らかの理由で偶然に2つの個体に分裂(多胚化)したものであり、二卵性は2組の別々の卵子と精子が受精したものである。従って、一卵性双生児の場合は血液型や遺伝子も全く同じはずであり、当然、二卵性とは異なり性別も一緒だし、顔も良く似ているはずであるが・・・・。しかし、”きんさん・ぎんさん”の血液型が異なるというのはどうしてなのだろう?。又、この2人は、双子だから顔も良く似ているものの、何かちょっと、違った顔立ちをしている(一目で見て区別できる)ような気もするのだが、それは、年輪や2人の生活環境の違いなどによるものからだろうか・・・・?
1991(平成3)年、敬老の日を前にした9月13日、鈴木礼治愛知県知事らが名古屋市に住む数え年100歳の双子の姉妹成田 きん・蟹江 ぎんを訪問し長寿を祝った。2人揃って長寿の祝いを受けたことが地元の中日新聞等に紹介される。
その後、日本中を元気づけてくれた100歳の双子のお婆さん、きんさん・ぎんさんがCMに登場したきっかけは、ダスキンのCM。ダスキンの問い合わせ電話番号が「0120-100-100 」であったことから。双子の100歳の姉妹に白羽の矢が当たった。
向かい合う2人が「きんさんは100歳、100歳」「ぎんは100歳、100歳」「うれしいような、かなしいような」と掛け合い、「ダスキン呼ぶなら100番、100番」とユーモラスな会話で語呂合わせの宣伝をした。この語呂合わせの面白CMで全国的に有名になったが人気の秘密はなによりも2人の老婆の天真爛漫さにあった。
このCMは1992(平成4)年正月用に制作されて、2人は翌年にはCMのスターにのし上がった。2人は、1991(平成3)年12月6日に愛知県庁を訪問し、それぞれ200万円づつを「福祉基金に」と寄付したそうだが、これは、テレビコマーシャルの出演料全額を寄付したものだという。
冒頭の画像は、百歳の双子姉妹を報じる9月8日付け朝日新聞(朝日クロニクル『週間20世紀』より)。
この記事には、1992(平成4)年成田市のデパートである写真展「百年の旅」のテープカットをしたあと成田山新勝寺へお参りする予定のぎんさんは、出発する前に「旅行は楽しみですか」の質問に「いまはどこも同じようなビルが建っていて、いっしょ。やっぱり、立派なお城がある名古屋がいい」と。又、「これからも、今と同じようにのんきに暮らしたい。みんなに心配かけないようにね」と笑ったという。
同時期、通信販売情報誌「通販生活」のCMやAMラジオ局・ニッポン放送のAMステレオ放送開始宣伝にも出演している。
そして”きんさん、ぎんさん”の呼び名は、1992(平成4)年12月1日に発表された新語・流行語大賞の年間大賞に選ばれた。また、この年同時に「うれしいような、かなしいような」「はだかのおつきあい」で[語録賞]も受賞しているが、「はだかのおつきあい」は、まだ関脇であった貴花田(貴乃花)と宮沢りえの当時国民的な人気を誇っていた2人の若者の電撃的な婚約発表を受けての感想。まだ17歳とも18歳ともいう人気絶頂の人気女優であった宮沢りえは、前年末(1991年11月)に篠山紀信撮影によるヌード写真集『Santa Fe』を出し世間を驚かせ、話題を呼んでいたが、この感想を聞いた取材陣は、驚き、笑い、呆然とするばかりであったという。翌1993(平成5)年にはNHK紅白歌合戦に応援ゲストとして出場した。兎に角この2人の絶妙な会話が面白い。以下YouYubeにアクセスすると、北九州市の「年長者相談コーナー」のCMや”通販生活 CM“なども見れる。
YouTube-きんさん・ぎんさん 「困った事はなにもありません」
http://www.youtube.com/watch?v=oLX-FmjPd5E
困った事は「年長者相談コーナー」へ”というCMで、ぎんさんの「何か困っとるかね、君」の質問にきんさんが「こまっとらんよ」「な~んにも」と応じて笑っているシーンなど、きんさんぎんさんの元気で明るい性格が相俟って本当に微笑ましくって良い。よくCMでは、なまじっかな芸しかないタレントなど、愛くるしい幼い子供や、可愛い動物にはかなわない・・と言われるが、こんな可愛いおばあちゃんには誰もかなわないな~。
きんさんぎんさんは1992(平成4)年、1998(平成10)年の2度『徹子の部屋』にゲスト出演し、1993(平成5)年にはNHK紅白歌合戦にも応援ゲストとして出場。地元テレビにも出演するほか、敬老の日スペシャルゲストとして『笑っていいとも!』にも登場するなど数多くのTVに出演している。
1995(平成7)年には「金銀婆婆」と呼ばれ人気を得ていた台湾へ招かれ、103歳で初めての海外旅行をした。このとき、ぎんさんは「(名古屋弁が)通じればええけどね」と語っていたという。2人は、全国各地のイベントに参加するなど、亡くなる直前まで芸能活動や慰問を続けたが、100歳になってメディアに出演するようになって大金が入った際、「お金を何に使いますか?」という問いに対して、2人揃って「老後の蓄えにします」とユーモアたっぷりに答えた。また、100歳を超えて初めての確定申告を経験をすることにもなった。
2000(平成12)年1月23日、姉の成田きんさんが心不全にて死去(享年107歳)。 後を追うように、翌・2001(平成13)年2月28日に妹の蟹江ぎんさんも老衰で死去した。享年108歳だった。
双子で100歳を超える長寿というまれな例であることからぎんさんの遺体は「長寿の研究をしたい」という南医療生協南生協病院の主治医の希望でこの日、病理解剖されたという。
90年代初めに、揃って100歳を迎えた双子の姉妹、きんさん・ぎんさんが年を取っても元気で明るくユーモアあふれた笑顔で語る姿は、「理想の老後像」として、バブル終焉を迎えようとしていた日本の人々の気持ちを和ませてくれた。反面、きんさん・ぎんさんの存在は、急速に進む高齢化社会の到来を象徴していたともいえる。
厚生省(現厚生労働省の前身)が、きんさんぎんさんが100歳を迎えた1991(平成3)年の9月10日、9月15日の敬老の日を前に発表した長寿名簿によると100歳以上は全国で3, 625人(男749人、女2,876人)であった。
その厚生労働省が2009(平成21)年9月11日に発表した「厚生労働省PressRelease」(以下参考の※2参照)によると、100歳以上の高齢者の数は、年々急増しており、老人福祉法が制定された1963(昭和38)年には全国で153人(男20人、女133人)であったが、1981 (昭和56)年には1千人(男202人、女870人計1,72人)、平成10年には1万人(男1,812人、女8,346人計10,158人)を超え、2009(平成21)年は4万人を突破し、40,399人(前年比+4,123人)となっており、又、100歳以上の高齢者の内女性は、34,952人となっており全体の約86,5%を占めている。そして、表彰対象者は21,603人、前年度比+1,835人で、男女国内最高齢者は、男性は112歳、女性114歳だという。
つまり、きんさんぎんさんが100歳を迎えた1991(平成3)年には、100歳以上の老人が3, 625人であったわけであるから、この時点で、100歳以上の老人の数は福祉法が制定された1963(昭和38)年の23,7倍になっており、きんさんに続いてぎんさんが亡くなった2001(平成13)年は15,475人(男2.541人、女12,934人)となっており、、きんさん・ぎんさんが100歳を迎えた1991(平成3)年より、銀さんが亡くなるまで10年間に、4,27倍にも増加しているのである。それが、2009(平成21)年は40,399人となり、銀さんが亡くなった年から8年で更に2,6倍になったというのだから驚異的な増加率である。
又、これを、厚生労働省が2010(平成22)年7月26日に発表した「平成21年簡易生命表概況」(以下参考に記載の※3参照)により平均寿命でみてみると、1963(昭和38)年、男67、21歳、女72,34歳が、1991(平成3)年には、男76,11歳、女82,11歳に、2001(平成13)年には男78.07歳、女 84.93歳に、そして、2009(平成21)年には、男79.59歳 女86.44歳と更新を続けており、日本人の平均寿命が延びている要因として、医療技術の発展により3大死因(がん・心疾患・脳血管障害)及び肺炎による死亡率が減少傾向にあるため、と説明されている。
その結果、日本人の平均寿命は男女ともに4年連続で過去最高の記録を更新し、男子は、カタール(81.0歳)、アイスランド(79.7歳)、スイス(79.7歳)、香港(79.8歳)に続き4位であるが、女子は、2位フランス(84,.5歳)を1.94歳も上回り、女子は世界一となっている。これは、25年連続で長寿世界一となるのだそうだ(以下参考の※4参照)。
このように日本人の寿命が延び、きんさん・ぎんさんのように健康で明るく元気に長生きをできるのであれば大変喜ばしいことではあるのだが・・・、昨・2010(平成22)年7月以降、100歳以上高齢者の所在不明実態が次々に明らかになってきて、一部諸外国から日本の長寿世界一に対して疑問の声も上がっているようだ(以下参考の※5、※6参照)。
その後、東京都内で最高齢とされる113歳の女性の所在不明問題から悪質事例が発覚したことなどから、厚生労働省が100歳以上全員の身元確認を支持したところ、中には各地で超高齢者に関する年金詐欺事件(家族による年金の不正受給が疑われる事例)も発覚する事態となった。
一部諸外国からの日本の長寿世界一に対して疑問の声があることに対して、以下参考に記載の※7:「年金情報サイト:厚生年金・国民年金情報通」をみると、色々と平均寿命算出根拠となっている資料を分析をした上で“100歳以上高齢者に限って言えば、いくら長寿国とはいえ日本人総人口に対する100歳以上高齢者の割合は小さなものであり、『平均寿命』に与えるインパクトは微々たるものである”・・・として、日本が長寿国であることには間違いがないことしているのだが・・・。
それは、さておき、これらの所在不明問題の発覚により、役所などの怠慢のほか、長寿社会の日本で、隣人との関係が希薄な都会などにおいてはお年寄りが行方不明になっても誰も気づく者がおらず、通報することさえもないなど、核家族化や地域コミュニティーの崩壊など、高齢者をとりまく哀しい現実が浮き彫りになったといえるだろう。
このことは、先日(2月20日日曜)のTV「たかじんのそこまで言って委員会」で,宮崎 哲弥氏が「高齢者の人口の伸びをはるかに超える高齢者の犯罪が増えている」ことを報道した新聞記事をもとに、「どうして高齢者犯罪が増えるか」をテーマーに取り上げていた(以下参考に記載の※8参照)。
2009年以降「切れる老人」「憤怒に任せての老人の犯罪」つまり、高齢者による殺人などの凶悪犯罪が年々増えいるという。そのような凶悪犯罪でなく万引きなどの軽犯罪も増えており、そこには、貧困の問題もあるが、むしろ、単身による、「独居」「無縁」「孤独」つまり孤立化した高齢者が増えており、改めて、家族の重要性が必要になっていることを指摘いる。
それと、長寿社会において最も重要なことは、日本の老人がきんさん・ぎんさんのように本当に”健康で元気に明るく”過ごしているかということであろう。
健康の概念は、1948(昭和23)年の設立におけるWHO(世界保健機関)憲章の前文にある定義が有名であるが、これを、さらに、1999(平成11)年の総会では健康の定義として以下のように定義を提案している(太字部分が強調されている)。
「健康とは身体的・精神的・霊的・社会的に完全に良好な動的状態であり、たんに病気あるいは虚弱でないことではない。」(何が健康かについて詳しくは、ここ⇒健康を参照)
しかし残念ながら、長寿世界一と言われる日本は、他の長寿国と比較して、生活習慣病などの病気にかかり、病院の世話になり、対処療法などを受けながら、ただ生かされている人が多い。つまり、世界の長寿者には寝たきりの人が少ないが、日本の高齢者は、病気がちで、医者と薬を頼りに生きている人が多いといわれている。
そして、最近では、医療費の自己負担が増えたこともあり、病院での受診を我慢し、病院受診をするまでに、辛い症状に悩む期間が長い・・・つまり、病悩(びょうのう)期間の長い人も多くなってきていると聴く。
2000(平成12)年4月から、介護保険制度がスタートし、いわゆる“寝たきり老人”、“老人痴呆”(認知症)を始めとする要介護者に対して公的保障がなされるようになったが、それは、同時に、日本にはそのような状況にある老人が非常に多くいたことが社会の表面に登場することになったといえる。
この公的保障としての介護も国家財政上の限界から、十分な施設や介護者の確保もされておらず、寝たきり老人など、あちこちの病院をたらい回しされていたり、60歳を超えた、もう老人ともいえる年代になった子供たち親族が要介護者である親などの介護をしなくてはならない状況も多々あり、要介護者を介護している年老いた介護者の方が先に参ってしまって、ついには、要介護者を道ずれに自殺してしまうとか殺害にまで及ぶといった悲惨なことも見られるようになっているのである。そのようなことから、私自身もそうだが、今の日本においては、多くの人達が、これから先の自分の老後がどうなるのかへの不安を抱いて生活している。いや、老いることへの恐怖感さえ感じて生活しているのが実情ではないだろうか。
それは、昨・2010(平成22)年4月、内閣府発表の、「高齢者の地域におけるライフスタイルに関する調査」の結果を見ても判る。同調査によると、誰にも看取られずに死後発見される「孤独死」を身近に感じている高齢者は、全体の42.9%にも上る。また、健康状態が良くないとの回答も18.8%あり、このうち52.0%が孤独死を身近に感じている。そして、健康状態が良くない人の24.7%が、何らかの手助けやサービスを受けている一方、12.2%が必要と感じるものの手助けやサービスを受けていなかったとある(以下参考に記載の※9参照)。
日本は、平均寿命、高齢者数、高齢化のスピードという3点において、世界一の高齢化社会であることには間違いがない。日本の少子高齢化の原因は、出生数が減り、一方で、平均寿命が延びて高齢者が増えているためであるが、この日本の平均寿命・・・本当に信用できるのだろうか・・・・?
そのことについては、今回言及しないが、以下参考の※10:「【驚愕】日本人女性の平均寿命は60歳前後?」など、興味のある人は読んでみては・・・。
100歳を超えた双子の姉妹、きんさん・ぎんさんが年を取っても元気で明るくユーモアあふれた笑顔で語る姿は、「理想の老後像」として私たちの気持ちを和ませてくれたが、100歳を超えた人が4万人を超えるまでになった今では“しあわせに老いる”為の人生はどうあるべきかを若い年代から真剣に考えておかなければいけないようだ。いずれにしても、普段から病気にならないための健康管理をしっかりしておかないと、年をとって本当に悲惨な目に会うかも知れないよ。
(冒頭の画像は、百歳の双子姉妹を報じる9月8日付け朝日新聞。朝日クロニクル『週間20世紀』No089号より借用)
参考:
※1:「きんさんぎんさん」など“名作CM”MovieWalker
http://news.walkerplus.com/2009/0919/7/
※2:厚生労働省PressRelease
http://www.mhlw.go.jp/houdou/2009/09/dl/h0911-3g.pdf
※3:平成21年簡易生命表の概況について(平成22年7月26日。厚生労働省)
http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/life/life09/index.html
※4:平均寿命 日本人女性86.44歳、25年連続世界一 男性は5位転落
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/living/health/420542/
※5:[MSN産経ニュース]名ばかり高齢者続出…日本の平均寿命、実はインチキ!?
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/110129/crm11012917400014-n1.htm
※6:【特集・高齢者所在不明】法務省通知、戸籍120歳以上「死亡」扱いに
http://www.47news.jp/47topics/e/169138.php
※7:厚生金情報サイト:厚生年金・国民年金情報通
http://www.office-onoduka.com/nenkinblog/2010/08/100_1.html
※8:高齢者の殺人が大幅増加 22年、認知件数は戦後最少 (産経新聞 )
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/natnews/topics/484125/
※9:「高齢者の地域におけるライフスタイルに関する調査」結果(PDF)
http://www8.cao.go.jp/kourei/ishiki/h21/kenkyu/gaiyo/pdf/kekka1-1.pdf#search='内閣府調査 孤独死'
※10:【驚愕】日本人女性の平均寿命は60歳前後?
http://tadanoaho.blog11.fc2.com/blog-entry-5.html
高齢者の所在不明問題 - Yahoo!ニュース
http://dailynews.yahoo.co.jp/fc/domestic/whereabouts_old_people/
ユーキャン新語・流行語大賞
http://singo.jiyu.co.jp/
日刊スポーツ・訃報・蟹江ぎんさん
http://www.nikkansports.com/jinji/2001/seikyo010301.html
きんさんぎんさん - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%81%8D%E3%82%93%E3%81%95%E3%82%93%E3%81%8E%E3%82%93%E3%81%95%E3%82%93
“きんさん・ぎんさん”は、1892(明治25)年8月1日、愛知県愛知郡鳴海村(現在の愛知県名古屋市緑区)で矢野家の長女・次女として生まれた。Wikipediaには、“きんとぎんの二人が一卵性双生児であることも検査で確認されているが、なぜか血液型は異なっている”・・・とあった。何でも、血液型はきんさんがO型、ぎんさんがA型だという。
双生児とは、多胎児の1つであり、同じ母親の胎内で同時期に発育して生まれた2人の子供を指す。いわゆる双子(ふたご)のことであり、母体が受胎した時の受精卵(卵子)の数により一卵性双生児と二卵性双生児に大別されている。
一卵性は、卵子1つと精子1つで、本来なら一人の赤ちゃんになるはずの1つの受精卵が、受精後何らかの理由で偶然に2つの個体に分裂(多胚化)したものであり、二卵性は2組の別々の卵子と精子が受精したものである。従って、一卵性双生児の場合は血液型や遺伝子も全く同じはずであり、当然、二卵性とは異なり性別も一緒だし、顔も良く似ているはずであるが・・・・。しかし、”きんさん・ぎんさん”の血液型が異なるというのはどうしてなのだろう?。又、この2人は、双子だから顔も良く似ているものの、何かちょっと、違った顔立ちをしている(一目で見て区別できる)ような気もするのだが、それは、年輪や2人の生活環境の違いなどによるものからだろうか・・・・?
1991(平成3)年、敬老の日を前にした9月13日、鈴木礼治愛知県知事らが名古屋市に住む数え年100歳の双子の姉妹成田 きん・蟹江 ぎんを訪問し長寿を祝った。2人揃って長寿の祝いを受けたことが地元の中日新聞等に紹介される。
その後、日本中を元気づけてくれた100歳の双子のお婆さん、きんさん・ぎんさんがCMに登場したきっかけは、ダスキンのCM。ダスキンの問い合わせ電話番号が「0120-100-100 」であったことから。双子の100歳の姉妹に白羽の矢が当たった。
向かい合う2人が「きんさんは100歳、100歳」「ぎんは100歳、100歳」「うれしいような、かなしいような」と掛け合い、「ダスキン呼ぶなら100番、100番」とユーモラスな会話で語呂合わせの宣伝をした。この語呂合わせの面白CMで全国的に有名になったが人気の秘密はなによりも2人の老婆の天真爛漫さにあった。
このCMは1992(平成4)年正月用に制作されて、2人は翌年にはCMのスターにのし上がった。2人は、1991(平成3)年12月6日に愛知県庁を訪問し、それぞれ200万円づつを「福祉基金に」と寄付したそうだが、これは、テレビコマーシャルの出演料全額を寄付したものだという。
冒頭の画像は、百歳の双子姉妹を報じる9月8日付け朝日新聞(朝日クロニクル『週間20世紀』より)。
この記事には、1992(平成4)年成田市のデパートである写真展「百年の旅」のテープカットをしたあと成田山新勝寺へお参りする予定のぎんさんは、出発する前に「旅行は楽しみですか」の質問に「いまはどこも同じようなビルが建っていて、いっしょ。やっぱり、立派なお城がある名古屋がいい」と。又、「これからも、今と同じようにのんきに暮らしたい。みんなに心配かけないようにね」と笑ったという。
同時期、通信販売情報誌「通販生活」のCMやAMラジオ局・ニッポン放送のAMステレオ放送開始宣伝にも出演している。
そして”きんさん、ぎんさん”の呼び名は、1992(平成4)年12月1日に発表された新語・流行語大賞の年間大賞に選ばれた。また、この年同時に「うれしいような、かなしいような」「はだかのおつきあい」で[語録賞]も受賞しているが、「はだかのおつきあい」は、まだ関脇であった貴花田(貴乃花)と宮沢りえの当時国民的な人気を誇っていた2人の若者の電撃的な婚約発表を受けての感想。まだ17歳とも18歳ともいう人気絶頂の人気女優であった宮沢りえは、前年末(1991年11月)に篠山紀信撮影によるヌード写真集『Santa Fe』を出し世間を驚かせ、話題を呼んでいたが、この感想を聞いた取材陣は、驚き、笑い、呆然とするばかりであったという。翌1993(平成5)年にはNHK紅白歌合戦に応援ゲストとして出場した。兎に角この2人の絶妙な会話が面白い。以下YouYubeにアクセスすると、北九州市の「年長者相談コーナー」のCMや”通販生活 CM“なども見れる。
YouTube-きんさん・ぎんさん 「困った事はなにもありません」
http://www.youtube.com/watch?v=oLX-FmjPd5E
困った事は「年長者相談コーナー」へ”というCMで、ぎんさんの「何か困っとるかね、君」の質問にきんさんが「こまっとらんよ」「な~んにも」と応じて笑っているシーンなど、きんさんぎんさんの元気で明るい性格が相俟って本当に微笑ましくって良い。よくCMでは、なまじっかな芸しかないタレントなど、愛くるしい幼い子供や、可愛い動物にはかなわない・・と言われるが、こんな可愛いおばあちゃんには誰もかなわないな~。
きんさんぎんさんは1992(平成4)年、1998(平成10)年の2度『徹子の部屋』にゲスト出演し、1993(平成5)年にはNHK紅白歌合戦にも応援ゲストとして出場。地元テレビにも出演するほか、敬老の日スペシャルゲストとして『笑っていいとも!』にも登場するなど数多くのTVに出演している。
1995(平成7)年には「金銀婆婆」と呼ばれ人気を得ていた台湾へ招かれ、103歳で初めての海外旅行をした。このとき、ぎんさんは「(名古屋弁が)通じればええけどね」と語っていたという。2人は、全国各地のイベントに参加するなど、亡くなる直前まで芸能活動や慰問を続けたが、100歳になってメディアに出演するようになって大金が入った際、「お金を何に使いますか?」という問いに対して、2人揃って「老後の蓄えにします」とユーモアたっぷりに答えた。また、100歳を超えて初めての確定申告を経験をすることにもなった。
2000(平成12)年1月23日、姉の成田きんさんが心不全にて死去(享年107歳)。 後を追うように、翌・2001(平成13)年2月28日に妹の蟹江ぎんさんも老衰で死去した。享年108歳だった。
双子で100歳を超える長寿というまれな例であることからぎんさんの遺体は「長寿の研究をしたい」という南医療生協南生協病院の主治医の希望でこの日、病理解剖されたという。
90年代初めに、揃って100歳を迎えた双子の姉妹、きんさん・ぎんさんが年を取っても元気で明るくユーモアあふれた笑顔で語る姿は、「理想の老後像」として、バブル終焉を迎えようとしていた日本の人々の気持ちを和ませてくれた。反面、きんさん・ぎんさんの存在は、急速に進む高齢化社会の到来を象徴していたともいえる。
厚生省(現厚生労働省の前身)が、きんさんぎんさんが100歳を迎えた1991(平成3)年の9月10日、9月15日の敬老の日を前に発表した長寿名簿によると100歳以上は全国で3, 625人(男749人、女2,876人)であった。
その厚生労働省が2009(平成21)年9月11日に発表した「厚生労働省PressRelease」(以下参考の※2参照)によると、100歳以上の高齢者の数は、年々急増しており、老人福祉法が制定された1963(昭和38)年には全国で153人(男20人、女133人)であったが、1981 (昭和56)年には1千人(男202人、女870人計1,72人)、平成10年には1万人(男1,812人、女8,346人計10,158人)を超え、2009(平成21)年は4万人を突破し、40,399人(前年比+4,123人)となっており、又、100歳以上の高齢者の内女性は、34,952人となっており全体の約86,5%を占めている。そして、表彰対象者は21,603人、前年度比+1,835人で、男女国内最高齢者は、男性は112歳、女性114歳だという。
つまり、きんさんぎんさんが100歳を迎えた1991(平成3)年には、100歳以上の老人が3, 625人であったわけであるから、この時点で、100歳以上の老人の数は福祉法が制定された1963(昭和38)年の23,7倍になっており、きんさんに続いてぎんさんが亡くなった2001(平成13)年は15,475人(男2.541人、女12,934人)となっており、、きんさん・ぎんさんが100歳を迎えた1991(平成3)年より、銀さんが亡くなるまで10年間に、4,27倍にも増加しているのである。それが、2009(平成21)年は40,399人となり、銀さんが亡くなった年から8年で更に2,6倍になったというのだから驚異的な増加率である。
又、これを、厚生労働省が2010(平成22)年7月26日に発表した「平成21年簡易生命表概況」(以下参考に記載の※3参照)により平均寿命でみてみると、1963(昭和38)年、男67、21歳、女72,34歳が、1991(平成3)年には、男76,11歳、女82,11歳に、2001(平成13)年には男78.07歳、女 84.93歳に、そして、2009(平成21)年には、男79.59歳 女86.44歳と更新を続けており、日本人の平均寿命が延びている要因として、医療技術の発展により3大死因(がん・心疾患・脳血管障害)及び肺炎による死亡率が減少傾向にあるため、と説明されている。
その結果、日本人の平均寿命は男女ともに4年連続で過去最高の記録を更新し、男子は、カタール(81.0歳)、アイスランド(79.7歳)、スイス(79.7歳)、香港(79.8歳)に続き4位であるが、女子は、2位フランス(84,.5歳)を1.94歳も上回り、女子は世界一となっている。これは、25年連続で長寿世界一となるのだそうだ(以下参考の※4参照)。
このように日本人の寿命が延び、きんさん・ぎんさんのように健康で明るく元気に長生きをできるのであれば大変喜ばしいことではあるのだが・・・、昨・2010(平成22)年7月以降、100歳以上高齢者の所在不明実態が次々に明らかになってきて、一部諸外国から日本の長寿世界一に対して疑問の声も上がっているようだ(以下参考の※5、※6参照)。
その後、東京都内で最高齢とされる113歳の女性の所在不明問題から悪質事例が発覚したことなどから、厚生労働省が100歳以上全員の身元確認を支持したところ、中には各地で超高齢者に関する年金詐欺事件(家族による年金の不正受給が疑われる事例)も発覚する事態となった。
一部諸外国からの日本の長寿世界一に対して疑問の声があることに対して、以下参考に記載の※7:「年金情報サイト:厚生年金・国民年金情報通」をみると、色々と平均寿命算出根拠となっている資料を分析をした上で“100歳以上高齢者に限って言えば、いくら長寿国とはいえ日本人総人口に対する100歳以上高齢者の割合は小さなものであり、『平均寿命』に与えるインパクトは微々たるものである”・・・として、日本が長寿国であることには間違いがないことしているのだが・・・。
それは、さておき、これらの所在不明問題の発覚により、役所などの怠慢のほか、長寿社会の日本で、隣人との関係が希薄な都会などにおいてはお年寄りが行方不明になっても誰も気づく者がおらず、通報することさえもないなど、核家族化や地域コミュニティーの崩壊など、高齢者をとりまく哀しい現実が浮き彫りになったといえるだろう。
このことは、先日(2月20日日曜)のTV「たかじんのそこまで言って委員会」で,宮崎 哲弥氏が「高齢者の人口の伸びをはるかに超える高齢者の犯罪が増えている」ことを報道した新聞記事をもとに、「どうして高齢者犯罪が増えるか」をテーマーに取り上げていた(以下参考に記載の※8参照)。
2009年以降「切れる老人」「憤怒に任せての老人の犯罪」つまり、高齢者による殺人などの凶悪犯罪が年々増えいるという。そのような凶悪犯罪でなく万引きなどの軽犯罪も増えており、そこには、貧困の問題もあるが、むしろ、単身による、「独居」「無縁」「孤独」つまり孤立化した高齢者が増えており、改めて、家族の重要性が必要になっていることを指摘いる。
それと、長寿社会において最も重要なことは、日本の老人がきんさん・ぎんさんのように本当に”健康で元気に明るく”過ごしているかということであろう。
健康の概念は、1948(昭和23)年の設立におけるWHO(世界保健機関)憲章の前文にある定義が有名であるが、これを、さらに、1999(平成11)年の総会では健康の定義として以下のように定義を提案している(太字部分が強調されている)。
「健康とは身体的・精神的・霊的・社会的に完全に良好な動的状態であり、たんに病気あるいは虚弱でないことではない。」(何が健康かについて詳しくは、ここ⇒健康を参照)
しかし残念ながら、長寿世界一と言われる日本は、他の長寿国と比較して、生活習慣病などの病気にかかり、病院の世話になり、対処療法などを受けながら、ただ生かされている人が多い。つまり、世界の長寿者には寝たきりの人が少ないが、日本の高齢者は、病気がちで、医者と薬を頼りに生きている人が多いといわれている。
そして、最近では、医療費の自己負担が増えたこともあり、病院での受診を我慢し、病院受診をするまでに、辛い症状に悩む期間が長い・・・つまり、病悩(びょうのう)期間の長い人も多くなってきていると聴く。
2000(平成12)年4月から、介護保険制度がスタートし、いわゆる“寝たきり老人”、“老人痴呆”(認知症)を始めとする要介護者に対して公的保障がなされるようになったが、それは、同時に、日本にはそのような状況にある老人が非常に多くいたことが社会の表面に登場することになったといえる。
この公的保障としての介護も国家財政上の限界から、十分な施設や介護者の確保もされておらず、寝たきり老人など、あちこちの病院をたらい回しされていたり、60歳を超えた、もう老人ともいえる年代になった子供たち親族が要介護者である親などの介護をしなくてはならない状況も多々あり、要介護者を介護している年老いた介護者の方が先に参ってしまって、ついには、要介護者を道ずれに自殺してしまうとか殺害にまで及ぶといった悲惨なことも見られるようになっているのである。そのようなことから、私自身もそうだが、今の日本においては、多くの人達が、これから先の自分の老後がどうなるのかへの不安を抱いて生活している。いや、老いることへの恐怖感さえ感じて生活しているのが実情ではないだろうか。
それは、昨・2010(平成22)年4月、内閣府発表の、「高齢者の地域におけるライフスタイルに関する調査」の結果を見ても判る。同調査によると、誰にも看取られずに死後発見される「孤独死」を身近に感じている高齢者は、全体の42.9%にも上る。また、健康状態が良くないとの回答も18.8%あり、このうち52.0%が孤独死を身近に感じている。そして、健康状態が良くない人の24.7%が、何らかの手助けやサービスを受けている一方、12.2%が必要と感じるものの手助けやサービスを受けていなかったとある(以下参考に記載の※9参照)。
日本は、平均寿命、高齢者数、高齢化のスピードという3点において、世界一の高齢化社会であることには間違いがない。日本の少子高齢化の原因は、出生数が減り、一方で、平均寿命が延びて高齢者が増えているためであるが、この日本の平均寿命・・・本当に信用できるのだろうか・・・・?
そのことについては、今回言及しないが、以下参考の※10:「【驚愕】日本人女性の平均寿命は60歳前後?」など、興味のある人は読んでみては・・・。
100歳を超えた双子の姉妹、きんさん・ぎんさんが年を取っても元気で明るくユーモアあふれた笑顔で語る姿は、「理想の老後像」として私たちの気持ちを和ませてくれたが、100歳を超えた人が4万人を超えるまでになった今では“しあわせに老いる”為の人生はどうあるべきかを若い年代から真剣に考えておかなければいけないようだ。いずれにしても、普段から病気にならないための健康管理をしっかりしておかないと、年をとって本当に悲惨な目に会うかも知れないよ。
(冒頭の画像は、百歳の双子姉妹を報じる9月8日付け朝日新聞。朝日クロニクル『週間20世紀』No089号より借用)
参考:
※1:「きんさんぎんさん」など“名作CM”MovieWalker
http://news.walkerplus.com/2009/0919/7/
※2:厚生労働省PressRelease
http://www.mhlw.go.jp/houdou/2009/09/dl/h0911-3g.pdf
※3:平成21年簡易生命表の概況について(平成22年7月26日。厚生労働省)
http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/life/life09/index.html
※4:平均寿命 日本人女性86.44歳、25年連続世界一 男性は5位転落
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/living/health/420542/
※5:[MSN産経ニュース]名ばかり高齢者続出…日本の平均寿命、実はインチキ!?
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/110129/crm11012917400014-n1.htm
※6:【特集・高齢者所在不明】法務省通知、戸籍120歳以上「死亡」扱いに
http://www.47news.jp/47topics/e/169138.php
※7:厚生金情報サイト:厚生年金・国民年金情報通
http://www.office-onoduka.com/nenkinblog/2010/08/100_1.html
※8:高齢者の殺人が大幅増加 22年、認知件数は戦後最少 (産経新聞 )
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/natnews/topics/484125/
※9:「高齢者の地域におけるライフスタイルに関する調査」結果(PDF)
http://www8.cao.go.jp/kourei/ishiki/h21/kenkyu/gaiyo/pdf/kekka1-1.pdf#search='内閣府調査 孤独死'
※10:【驚愕】日本人女性の平均寿命は60歳前後?
http://tadanoaho.blog11.fc2.com/blog-entry-5.html
高齢者の所在不明問題 - Yahoo!ニュース
http://dailynews.yahoo.co.jp/fc/domestic/whereabouts_old_people/
ユーキャン新語・流行語大賞
http://singo.jiyu.co.jp/
日刊スポーツ・訃報・蟹江ぎんさん
http://www.nikkansports.com/jinji/2001/seikyo010301.html
きんさんぎんさん - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%81%8D%E3%82%93%E3%81%95%E3%82%93%E3%81%8E%E3%82%93%E3%81%95%E3%82%93