甲府市職員の自殺、遺族が公務災害申請 残業月180時間超「労働環境見直しを」 毎日新聞 2020/12/10 11:36 https://t.co/idZCqwPpwM
— 佐野 直哉 (@pxbrqnaZJT1917W) December 10, 2020
甲府市職員の向山敦治(あつじ)さん(当時42歳)が今年1月に自殺したのは長時間労働による過労が原因だったとして、遺族が9日、民間の労働災害に当たる「公務災害」の認定を地方公務員災害補償基金山梨県支部に申請した。遺族への取材で判明した。自殺前の2019年12月の残業時間は180時間以上と推定され、遺族は市に対し「労働環境を見直してほしい」と訴えている。【金子昇太】
向山さんは1月17日午前5時25分ごろ、甲府市丸の内1の市役所本庁舎の北西側出入り口付近に倒れているのを警備員に発見された。病院に搬送されたが、死亡が確認された。関係者によると、残業のため庁舎に残っていた向山さんは同日未明に6階から飛び降りたとみられる。
遺族が市に向山さんの勤務状況について開示を求めたところ、正規の勤務時間以外で向山さんのパソコンが起動していた時間は、19年9月=80時間超▽同10月=80時間超▽同11月=120時間超▽同12月=180時間超▽20年1月(1~16日)=80時間超――だった。このことから、「過労死ライン」とされる月80時間を超える時間外・休日労働が続いていたとみられる。
行政管理室事務効率課(現・業務管理課)の係長だった向山さんは亡くなる直前、嘱託職員の削減などを担当していた。遺族によると、再就職先を探さなければならない嘱託職員や人手が減る職場の心配をしていたという。遺族は「仕事以外で悩んでいる様子はなかった。長時間労働が続き、異常をきたしたのだと思う」と話す。遺族が最後に向山さんと会った今年の元日も4~5時間だけ実家に滞在した後、翌日以降の仕事に備えて帰宅したという。
甲府市では19年11月にも別の男性職員が自殺している。遺族は「立て続けに自殺者が出ているのに市の態勢は改善されていない。労働環境を見直してほしい」と話している。
市は毎日新聞の取材に対し、「二度とこのような事態が起こらないよう職員の労務管理や職場環境の整備に努めていきたい」としている。
5割以上が未申告 組合調査
甲府市職員組合が今年2月に職員に勤務実態を尋ねるアンケートを実施したところ、回答者の5割以上が正しい残業時間を申告していなかったほか、残業の理由として多くの回答者が業務量の多さを挙げていた。
同組合によると、アンケートは職員1347人に配布し、763人から回答を得た。
(市に申告する)「超過勤務命令簿」に記入した今年1月分の時間外勤務の時間を尋ねたところ、(時間外勤務の上限である)「45時間以下」が555人▽「0時間」が143人▽「45時間超え」が16人――などだった。しかし、記入分以外の時間外勤務を尋ねると、423人が未申告分を回答。全体の5割以上が正しい時間外勤務時間を申告していなかったことが分かった。
その理由を尋ねると、203人が「記入しづらい雰囲気があるため」、147人が「自分の責任であるため」、70人が「時間外勤務の上限時間を超えてしまうため」との回答を選んだ。
また、時間外勤務の要因を尋ねると、「所定勤務時間内では片付かない業務量であるため」=419人▽「人員削減により人手不足であるため」=266人▽「業務の性質上、時間外勤務を必要とするため」=216人――などだった。
意見・要望の欄には、「自殺者が2人も出る職場なんてひどい。労働条件が変わらなければ犠牲者が続いて出てしまう」「職員2人の自殺の原因究明と対策をお願いします」「第三者委員会を入れ徹底的に追及することを望みます」などの記述があった。【金子昇太】
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