森友学園開示文書 欠落部分は“政治と接点あった時期” NHK 2025年4月22日 19時28分
今月、財務省が新たに開示した森友学園に関する文書には、ほぼ時系列で通し番号が振られていますが、この番号が連続して欠落している部分が複数あることがわかりました。NHKが分析したところ、こうした番号の文書が作成されたとみられる時期は、安倍元総理大臣の妻・昭恵氏や国会議員の秘書など、政治と接点があった時期と重なっていました。
情報公開制度に詳しい専門家は「財務省はなぜ欠落している部分があるのか、きちんと説明すべきだ」と指摘しています。
森友学園に関する財務省の決裁文書の改ざんに関与させられ自殺した近畿財務局の職員、赤木俊夫さん(当時54)の妻の雅子さんは、財務省が検察に任意で提出した関連文書の開示を求め、今月4日、国有地の売却をめぐる学園側との交渉記録など、2200ページ余りの文書が開示されました。
開示された文書には、右上の部分に1番から380番までの通し番号がほぼ時系列で振られていましたが、NHKが調べたところ、このうち75個の番号が欠落していました。
そして、番号が3つ以上連続して欠落している部分が複数あり、こうした番号の文書が作成されたとみられる時期を、前後の文書などをもとに分析したところ、政治と接点があった時期と重なっていることが新たにわかりました。
2014年4月28日には、森友学園の籠池泰典前理事長が安倍元総理大臣の妻・昭恵氏とともに撮影した写真を近畿財務局の職員に提示していたことが明らかになっていますが、この時期の前後に作成されたとみられる46番から49番までの4つの番号が抜け落ちています。
また、学園側の陳情を受けて鳩山邦夫元総務大臣の秘書が近畿財務局に相談した2015年2月17日ごろや、昭恵氏付きだった職員が財務省理財局に問い合わせを行った2015年11月10日ごろに作成されたとみられる文書の番号も、連続して抜け落ちていました。
注目
欠落部分の詳細は
今回の開示文書のうち、番号が連続で欠落している部分の詳しい内容です。
【46番~49番】
欠落している46番から49番までの文書が作成されたのは前後の文書から、2014年4月18日から5月12日ごろとみられます。この時期は、森友学園の籠池前理事長が安倍元総理大臣の妻・昭恵氏とともに撮影した写真を近畿財務局の職員に提示し「夫人からは『いい土地ですから前に進めてください』とのお言葉をいただいた」と伝えた2014年4月28日の前後と重なっています。
【168番~171番】
168番から171番までの文書が作成されたのは2015年2月17日から3月3日ごろとみられます。この時期は、鳩山邦夫 元総務大臣の秘書が近畿財務局を訪れ、森友学園に示された国有地の貸付料について「できることがあれば検討してほしい」と相談した2015年2月17日ごろと重なっています。
【292番~295番・297番~299番】
292番から295番、297番から299番までの文書が作成されたのは2015年9月4日から10月20日ごろとみられます。この時期は、当時、国土交通副大臣だった北川イッセイ元参議院議員の秘書に対し、学園側が「国有地の整備のために国に代わって立て替えた費用を早く支払ってほしい」と申し出たことが近畿財務局内で共有された、2015年10月8日の前後と重なっています。
【303番~305番】
303番から305番までの文書が作成されたのは2015年11月2日から16日ごろとみられます。この時期は、昭恵氏付きの職員だった女性が、国有地の貸付料について「優遇を受けられないかと総理夫人に照会があり、当方からお問い合わせさせていただいた」などと財務省理財局に問い合わせた2015年11月10日、財務省側が折り返しの連絡をした11月12日の前後と重なっています。
財務省「検察に提出した資料から意図的に隠していることはない」
財務省はNHKの取材に対し「今回開示した文書は、情報公開法に基づき、そのままの形式で開示したものであり、検察に提出した資料から意図的に隠していることはない。国会では、廃棄をしたために欠落が生じている部分もあると考えられると答弁している。開示文書で欠落していると指摘を受けているものについては、現在、確認を行っているところで、引き続き真摯(しんし)に対応していく」とコメントしています。
専門家はどう見る?【Q&A】
新たに開示された文書に番号が欠落している部分があることについて情報公開制度に詳しいNPO法人「情報公開クリアリングハウス」の三木由希子理事長に話を聞きました。
Q.開示された文書には、通し番号が1番から380番までほぼ時系列で振られていたが、このうち75個の番号が欠落していた。これをどう見るか。
今回、開示の対象になっている文書は、森友学園への国有地の売却をめぐるすべての交渉記録ではなく、あくまでも一連の捜査の過程で財務省が検察に任意で提出したものです。検察が強制的に捜査をしたわけではないため、財務省の選択によって提出する文書が選ばれている可能性があり、その場合は、開示文書に欠番が生じることになります。
Q.番号が3つ以上連続して欠落している部分の文書が作成されたとみられる時期は、政治との接点があった時期と重なっていた。
仮に番号が連続して欠落している文書が検察に任意提出したものの中に含まれていないということになると、政治との接点があった時期の財務省内の対応について、十分な検証に足りる資料を検察に提出していなかったのではないかという疑問が出てきます。財務省はなぜ欠落している部分があるのかをきちんと説明すべきです。
Q.財務省は開示文書の欠番について「廃棄したために欠落が生じている部分もあると考えられ、現在確認を行っている」などとしている。この説明をどう見るか。
財務省はこの問題で学園側などとの交渉記録を廃棄していたことを認めています。2018年5月に交渉記録の一部を公表した際には、職員の手控えとして残していたものや、サーバー上に残されていたものを集めたという説明をしていて、全体像としてどのような記録を作成していたのかわからないという立場をとっています。結局、どの範囲まで交渉記録を集められたのか、集めたものをすべて明らかにしているのかを、まずは説明すべきです。
Q.今回の開示は、近畿財務局の職員だった赤木俊夫さんの妻の雅子さんが夫の死の真相を知りたいと4年前に訴えを起こし、ようやく実現した。
財務省が情報公開をしっかりしてこなかったことがこれだけ問題を長引かせ、みずからの信頼を落としていることをよく考えるべきです。もしみずからに問題がないという立場なら、情報公開を徹底することがそれを証明することになるし、問題を長引かせることにもならない。そのことを考えて対応すべきだと思います。
今月、財務省が新たに開示した森友学園に関する文書には、ほぼ時系列で通し番号が振られていますが、この番号が連続して欠落している部分が複数あることがわかりました。NHKが分析したところ、こうした番号の文書が作成されたとみられる時期は、安倍元総理大臣の妻・昭恵氏や国会議員の秘書など、政治と接点があった時期と重なっていました。
情報公開制度に詳しい専門家は「財務省はなぜ欠落している部分があるのか、きちんと説明すべきだ」と指摘しています。
森友学園に関する財務省の決裁文書の改ざんに関与させられ自殺した近畿財務局の職員、赤木俊夫さん(当時54)の妻の雅子さんは、財務省が検察に任意で提出した関連文書の開示を求め、今月4日、国有地の売却をめぐる学園側との交渉記録など、2200ページ余りの文書が開示されました。
開示された文書には、右上の部分に1番から380番までの通し番号がほぼ時系列で振られていましたが、NHKが調べたところ、このうち75個の番号が欠落していました。
そして、番号が3つ以上連続して欠落している部分が複数あり、こうした番号の文書が作成されたとみられる時期を、前後の文書などをもとに分析したところ、政治と接点があった時期と重なっていることが新たにわかりました。
2014年4月28日には、森友学園の籠池泰典前理事長が安倍元総理大臣の妻・昭恵氏とともに撮影した写真を近畿財務局の職員に提示していたことが明らかになっていますが、この時期の前後に作成されたとみられる46番から49番までの4つの番号が抜け落ちています。
また、学園側の陳情を受けて鳩山邦夫元総務大臣の秘書が近畿財務局に相談した2015年2月17日ごろや、昭恵氏付きだった職員が財務省理財局に問い合わせを行った2015年11月10日ごろに作成されたとみられる文書の番号も、連続して抜け落ちていました。
注目
欠落部分の詳細は
今回の開示文書のうち、番号が連続で欠落している部分の詳しい内容です。
【46番~49番】
欠落している46番から49番までの文書が作成されたのは前後の文書から、2014年4月18日から5月12日ごろとみられます。この時期は、森友学園の籠池前理事長が安倍元総理大臣の妻・昭恵氏とともに撮影した写真を近畿財務局の職員に提示し「夫人からは『いい土地ですから前に進めてください』とのお言葉をいただいた」と伝えた2014年4月28日の前後と重なっています。
【168番~171番】
168番から171番までの文書が作成されたのは2015年2月17日から3月3日ごろとみられます。この時期は、鳩山邦夫 元総務大臣の秘書が近畿財務局を訪れ、森友学園に示された国有地の貸付料について「できることがあれば検討してほしい」と相談した2015年2月17日ごろと重なっています。
【292番~295番・297番~299番】
292番から295番、297番から299番までの文書が作成されたのは2015年9月4日から10月20日ごろとみられます。この時期は、当時、国土交通副大臣だった北川イッセイ元参議院議員の秘書に対し、学園側が「国有地の整備のために国に代わって立て替えた費用を早く支払ってほしい」と申し出たことが近畿財務局内で共有された、2015年10月8日の前後と重なっています。
【303番~305番】
303番から305番までの文書が作成されたのは2015年11月2日から16日ごろとみられます。この時期は、昭恵氏付きの職員だった女性が、国有地の貸付料について「優遇を受けられないかと総理夫人に照会があり、当方からお問い合わせさせていただいた」などと財務省理財局に問い合わせた2015年11月10日、財務省側が折り返しの連絡をした11月12日の前後と重なっています。
財務省「検察に提出した資料から意図的に隠していることはない」
財務省はNHKの取材に対し「今回開示した文書は、情報公開法に基づき、そのままの形式で開示したものであり、検察に提出した資料から意図的に隠していることはない。国会では、廃棄をしたために欠落が生じている部分もあると考えられると答弁している。開示文書で欠落していると指摘を受けているものについては、現在、確認を行っているところで、引き続き真摯(しんし)に対応していく」とコメントしています。
専門家はどう見る?【Q&A】
新たに開示された文書に番号が欠落している部分があることについて情報公開制度に詳しいNPO法人「情報公開クリアリングハウス」の三木由希子理事長に話を聞きました。
Q.開示された文書には、通し番号が1番から380番までほぼ時系列で振られていたが、このうち75個の番号が欠落していた。これをどう見るか。
今回、開示の対象になっている文書は、森友学園への国有地の売却をめぐるすべての交渉記録ではなく、あくまでも一連の捜査の過程で財務省が検察に任意で提出したものです。検察が強制的に捜査をしたわけではないため、財務省の選択によって提出する文書が選ばれている可能性があり、その場合は、開示文書に欠番が生じることになります。
Q.番号が3つ以上連続して欠落している部分の文書が作成されたとみられる時期は、政治との接点があった時期と重なっていた。
仮に番号が連続して欠落している文書が検察に任意提出したものの中に含まれていないということになると、政治との接点があった時期の財務省内の対応について、十分な検証に足りる資料を検察に提出していなかったのではないかという疑問が出てきます。財務省はなぜ欠落している部分があるのかをきちんと説明すべきです。
Q.財務省は開示文書の欠番について「廃棄したために欠落が生じている部分もあると考えられ、現在確認を行っている」などとしている。この説明をどう見るか。
財務省はこの問題で学園側などとの交渉記録を廃棄していたことを認めています。2018年5月に交渉記録の一部を公表した際には、職員の手控えとして残していたものや、サーバー上に残されていたものを集めたという説明をしていて、全体像としてどのような記録を作成していたのかわからないという立場をとっています。結局、どの範囲まで交渉記録を集められたのか、集めたものをすべて明らかにしているのかを、まずは説明すべきです。
Q.今回の開示は、近畿財務局の職員だった赤木俊夫さんの妻の雅子さんが夫の死の真相を知りたいと4年前に訴えを起こし、ようやく実現した。
財務省が情報公開をしっかりしてこなかったことがこれだけ問題を長引かせ、みずからの信頼を落としていることをよく考えるべきです。もしみずからに問題がないという立場なら、情報公開を徹底することがそれを証明することになるし、問題を長引かせることにもならない。そのことを考えて対応すべきだと思います。