大阪での毎日

整形外科の仕事&「職」ではなく「食」へのこだわり

患者と医療者側の溝

2011年12月26日 | 仕事
最近、ちょいちょいある問題が入院期間、あるいは入院適応。

10年前なら 足の付けの骨折(大腿骨頚部骨折)したとしよう、
手術して、リハビリも十分して2か月ほどして退院、てな感じでしたが、
今は、手術して抜糸したと思ったら、リハビリ病院へ転院してください、
と言われる。これ、少し大きめの病院では当たり前になってます。

これって、DPCのためなんですよ~

DPCって医療関係者はほぼ全員知っている単語なんですが、一般の人知ってるんかな?

DPC=診断群分類包括評価、つまり、医療費の定額支払い制度のこと。

今までは入院中に検査したらした分、患者さん負担になってたんですが、このDPC
というのは、たとえば「大腿骨頚部骨折」に対して、
入院中にどんなけレントゲンとっても、どんなけ採血しても、病院としては一定の利益しかなく、
また、入院期間も標準期間、というのが決められているので、入院が長引くほど、
検査が増えるほど、病院としては利益が下がるのです。

一方、患者さんからするといくら検査をされようがされまいが、一つの病気に対して
一定額の支払いになるので、全国どの病院で治療を受けようとも、同じ入院費で済む分
、べらぼうに高い請求はされないことです。

お気づきかと思いますが、
問題点は、検査が少ないほど病院としては利益があがるので、手厚い医療が減るということ。
また、「入院中についでにほかの科をかかりたい」、と言っても、病院としては
入院している病名でしか医療費を請求できないので、ダメダメ!となること。

特に手の患者さんは、歩けるので、標準入院期間が短く、一人暮らしの老人が患者さんの場合、
包帯が取れるまで入院したい!となっても、病院の利益を考えたらダメなんです。

患者さんからすると、病院が利益を追求するなんて・・・という考えがあるようですが、
病院も赤字ではつぶれてしまう時代なんで、「あきんど」、とまではいかんでも、地域の病院として
末永くやっていくためには、経営をしっかりしていかないとだめなんですよね~

5年前と比べても厳しくなっていく医療サービス。
今後、どんな病気になってもまず、長期入院は無理、と思うと、入院保険を解約したのは
正解やったなとひしひしと感じるのであった。