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大阪での毎日

整形外科の仕事&「職」ではなく「食」へのこだわり

患者さんからのたより

2014年01月07日 | 仕事
私が医者になってまだすぐの頃、85歳のおじいちゃんが股関節に
人工関節をいれてほしい、と九州より来られました。

今やったら85歳の人工股関節置換術も患者によっては「あり」な手術かな?
と思う時代になりましたが、10年以上前の話なんで

私:「その年齢で人工股関節ですか?手術せずに様子みるのはどうですか?」

私の「その年齢」という言葉がおじいさんにとってよほど
ショックだったらしく、その後、何回も「あのときはショックでした~」
と言われてしまいました・・・

結局、手術をしたんですが、その後もずっと年賀状をくださり
「まだお元気にしてるんや~」と思ってたところ、
今年は年賀状のかわりに「もなか」が送られてきました。
さっそくお礼の電話

まだ、なんとか一人暮らしをしていること、今年はかぞえで99歳になること、
足の調子はまあまあであること・・・

今、この患者さんから学ぶことはあの当時の「手術をしない」という私の判断は間違っていて
患者さんの「手術をする」という選択肢が、結果的には正解やってんな~。

というのも、あのまま手術をせずに、痛いながら家の中での生活をしていたら、
足腰も弱り、認知症なっていた可能性があったのでは?
人工関節をいれたあと、いつもの公園まで歩いて鳥にえさをあげるという
趣味が継続できたことが、今の患者さんの自立を助けたんではないかな

耳は遠くなってますが、認知症もなく、はきはきしゃべるおじいちゃんに
電話をきったあとはなんとも言えない喜びが。
いつまでもお元気でいてください


聴太郎(ちょうたろう)の威力

2013年12月17日 | 仕事
日本の高齢化は世界一。今や人口の1/4が65歳以上なんで、病院も混みこみ
その上、平均寿命も長いので、来院される患者さんがお年寄りだらけなんですが、
耳が聞こえてないのがほんと、苦労します

家族が一緒についてきてくれた場合は、家族に説明すればいいんですが、
やっぱり本人さんにもわかってもらっとかんとあかんし・・・

でも、補聴器すすめても、ほぼ100%買ってくれへんし

そこで役立つのが「聴太郎」

   

これは、補聴器とはちょっと違って、耳にあててスイッチを入れると
集音マイクが音を拾ってくれる集音機です

患者さんがこれを使って聞こえるようになると、今まで大声をはりあげてたことが
こんなに疲れることやったんや~と実感、自分に「お疲れ様」
とねぎらってあげたいぐらい

でもでも、はじめは耳にあててくれてても、患者さんがしゃべりだすと
だんだん耳から「聴太郎」が離れていって、ついには聞くときにも「聴太郎」を当てる
ことを忘れるんですね~ 年いくと・・・

新型うつ病

2013年12月10日 | 仕事
最近になって「新型うつ病」という言葉を新聞などでよくみるようになりましたよね~

従来のうつ病が「自分を責める」「いつでもうつ状態」「食欲不振」に対し
新型うつ病は「他人のせいにする」「休みになると元気」「過食、過眠」「まじめで
プライドが高い」などの症状だそうです。

それって・・・「わがまま」じゃ?!ないらしいです。
ストレスの多い現代社会で、精神を安定させて生きていくって言うのは
本当に難しい世の中になったようです

今年だけでも、親交を深めている友人や仕事仲間の3人
うつ状態となったんですよね~ こんなに身近に「え?この人が?!」
と思うような、本来は明るく仕事もよくできる人たちばかりなんがまたびっくり

人それぞれストレスの解消法はさまざまですが、
何かしら解消法の手段をもっとくことが大事なんかな~
と思う1年でした

奇跡的なカップル

2013年11月27日 | 仕事
先日、手術をした85歳のおばあちゃん。
手術当日は旦那さんと一緒に来られたとのこと。

85歳の奥さんの日帰り手術に、旦那さんが付き添ってくるって超レアケース

だって本人さんが85歳ってことは「え?旦那さん、何歳ですか?」
妻:「91歳です」

手術終わって診察室に旦那さん、入ってくるなり開口一番
夫:「私、いくつに見えますか
(患者はあんたじゃなくて奥さんやで~)と心でつっこみながら
私:「91歳でしょ、さきほど奥さんに聞きましたよ」

おじいさん、「・・・」としゅん太郎になっていたので
「それにしてもお若くみえますね~」と言った途端、
ようしゃべるわ~ ものすごく元気

四捨五入90歳のカップルで、認知症もなく、自力で病院にこれる
夫婦って、1000組に1組ぐらい?いや、もっと確率低いかな~
こういうのは理想的な老後っていうんかな?

おじいちゃんのごきげんロングトークの中に
「私は戦争に行ったので、体力はあるんですよ~」

70年前の体力が現在進行形ではないのは、職業柄わかってるんですが
最近、百田尚樹の「永遠のゼロ」に感動した私は
戦争経験者とあえてなんだか感慨深かった1日でした


足元軽く

2013年10月24日 | 仕事
「おしゃれは足元から」って誰かの言葉やったかな?

職場から院内履きが支給されたので、前回よりさらにパワーアップしました!

   

今流行のご当地キャラ靴

   

   

   

北摂エリアで固めてるかと思いきや、ふなっし~(千葉県)

   

このコンセプトがブレてる感がまたいいね、
ちなみに、作品は私専用画家さん(私が勝手にそう呼んでいる)の
医療秘書さんです。毎度サンキュー


神頼み

2013年08月28日 | 仕事
先日、とあるおじいちゃんのばね指(腱鞘炎)の手術で。

この手術、傷も1cmぐらいやし、手術時間も15分以内に終わる
患者さんにとっても気軽に受けやすい手術やと思ってました、
このおじいさんの前の人までは。

「先生、わし、昨日、神社行ってお参りしてきたから」

え~ ばね指の手術で神社!!!!まで行くんや。

でもそのご利益があったらしく数日後
「手術のあとも全く痛くなかった」と大喜び

元々そない術後痛くない手術ですよ、って術前説明しててんけどな・・・

私にとって慣れたいつも手術でも、患者さんにとっては
「一大事」ってこともあるんやな~と改めて患者さんの
気持ちに気づかされました。

こむら返り

2013年08月24日 | 仕事
先日、お盆で旦那さまの親戚と同席したときのこと。
アラセブ(around 70)のおじさまたちが
「最近、こむら返りによくなるんだよ、どうして?」

「年やからや、最近頻繁なんやで」と自分の親やったら一言ですますところやけど・・・

こむら返りは筋肉の収縮で起きるもんで、年と共に回数は増えていきます。
なぜならその原因にあり

原因にはいろいろあって、筋肉の使い過ぎ、足の冷やし過ぎ、脱水や血流不足、
電解質のバランス、などなど。
さらに糖尿病、腎臓病、甲状腺機能低下や足に負担のかかりやすい脊椎の病気
とか膝や足の変形など。年行くと、ここまでの病気にはなってないにしろ、
体の機能が全体的に衰えていきます。あと、薬の副作用とかでなることもありますよ。

なってしまったら即座に治す方法はなく、ならないための予防として
漢方の芍薬甘草湯がいいようです、ただ、飲むのはちょっと~と思ってる人は
寝る前に湿布をふくらはぎに貼ると、予防になったりするそうです(ある整形外科医
の経験談)

ちなみに、腓(こむら、こぶら) = ふくらはぎ であって
こむら=コブラ ではありませんからね~


サプリメントについて聞かれたら?

2013年08月17日 | 仕事
先日、内科の女医さんに
「整形やったら、患者さんにヒアルロン酸のサプリとかよく聞かれません
先生、なんて答えてるんですか?私は効果ないからそのお金でおいしいものでも
食べたらどうですか?って答えてるんです~」

そもそもヒアルロン酸って何?

「ヒアルロン酸、コンドロイチン」
人間の体の細胞と細胞の間に存在するムコ多糖と呼ばれるもので、
人体の水分保持に貢献しています。
特に、関節、目、皮膚、脳にたくさん存在して
皮膚の保湿を保ったり、関節の動きをスムーズにしたり。

整形外科の分野では、関節内にヒアルロン酸の注射をうつという治療は標準的治療

ところが、ヒアルロン酸を飲んだら皮膚、あるいは関節にまで
ヒアルロン酸の状態で届くか、と言われるとそこらへんの
データはまだまだ不十分らしく、飲むヒアルロン酸が効果があるかどうかは
まだよくわかってないようです

なので、患者さんがサプリを飲むのが半信半疑の人には
「やめといたら~」と答えるし
サプリを肯定してほしそうな人には
「効くと思って飲んでるなら効くかも。病は気からやから。
でも、医薬品ではないので、私にはわからん」
と答えてます。

昔、自分のおしっこを飲む健康法がはやってました。
おしっこは感染してなければ飲んでも害がないもんですが、
残念ながら健康にはなりません
でも、飲むと元気になったというあげあげなテンションが重要なんですよ

そりゃ無理やわ

2013年08月15日 | 仕事
医療保険、加入してない人を探す方が大変なぐらいみんな入ってます
ちなみに、私、入ってませんが。

整形外科は手術件数も多いし、交通事故、労災など、書類作成が何かと
多い科、であることは仕方ない。

でも、

「この病気の診断日を3年前じゃなく、今年にしてほしい」

 そんな詐欺行為、絶対無理って冷静になったらわかると思うねんけど

それ以外にも
苦労して粉砕骨折を、自分も放射線浴びながら手術して、それなりの機能回復して
よかったねって喜んでるのは私だけなんかして
「あの、関節の動きがこんなによかったら後遺症もらえないんで、
書き直してもらえませんか?」

・・・

保険制度が悪いのか、はたまた、お金が人を悪くするのか

いずれにせよやる気なくすわ

本音

2013年07月25日 | 仕事
先日、80歳なかばのお年寄りが紹介されて外来にやってきました
指先のしびれが気になるらしく、手根管症候群という診断には
違いないんですが、症状が軽いんです。

ただ、この病気はゆっくり進行していくことが多いので、
若い人なら予防的意味も含めて手術をすすめるんですが、
80歳なかばともなれば、正直、その人にとって日常生活に
支障きたすまで生きてるかな~
しかも、今、あんま困ってなさそうやし~

ところがその患者さん、私の心を読めるのかして
「先生、私、まだまだ生きると思うんです!ぜひ手術してください!」
お~!!すごい積極的というか前向きやな~
80歳なかばでまだまで生きるっていったい何歳なんやろ?!

でも、どうせ生きてるんやったら、この人みたいに生きた
方が楽しいやろね