7時に犬の散歩に出掛ける。今日は水曜日。
丘陵の頂越えのコースを歩く。薄曇り。時折、太陽が雲を通して照らして影が薄く地面に落ちる。
参道の黒松並木にはそれぞれ水色の幟が結び付けられている。夏祭りのお知らせなのだろう。その松の幹に小鳥が止まった。そして幹を上っていった。最初、スズメと思ったがその行動と嘴の長さからコゲラと分かった。やがて枝で見えなくなった。
喉が渇いてきた。水筒か硬貨が必要だと思った。一方、すぐに対応を取るのはどうかという考えも出て来た。我慢も必要ではないかと何もない時代を経験した世代として思う。
丘陵の頂を越えハアハア言っていた犬は水溜まりに腹這いになった。息をする度に波紋が腹から広がっていく。かなりの時間、浸っていたが立ち上がった時、腹に泥がまびれ付いているのが見えた。これは困った。
命豊かな川に至った。橋の上に立つと下からウシガエルの低い声が聞こえてきた。川沿いの道を歩く。川は増水していて濁っていた。草の葉のような物がたくさん浮いていた。
犬は坂道になって川に至る道を選んだ。そして水辺に行き水を飲んだ。脚が隠れる位まで入って横に動いた。そして、そこからは坂道がなくなっており犬は川に落ちたが、必死で慌てて戻った。腹を見ると綺麗になっていた。怪我の功名である。
犬は市の施設の敷地に裏門から入った時、腹這いになった。犬が立ち上がった時に、そこは水で濡れていた。
敷地は草が刈られて整備されていた。
円形広場の赤米の稲を見る。犬はそこでも腹這いになった。
家に着いたら水を飲もうと強く思った。単に水ではなく氷水を飲もうと思った。
8時20分に帰着。
昨夕の散歩について
5時5分前に犬の散歩に出掛ける。小倉から来た親戚がリードを持ってくれた。
犬はまだ夕食を取っていないからだろうか軽快に散歩をスタートする。何故そんなに急がねばならないのというのは老人の繰り言であって、犬にしてみればやっと外に出られて早く色々なものに出会いたいのであろう。それだけ若いというより犬の性質なのだろう。
公園からグラウンドへ入る。17歳の犬を連れた人と久し振りに見掛けた。我が犬は丁度、催したようであちこち行ったり来たりを繰り返したがなかなか糞をしない。
そこに若い柴犬を連れた人に出くわした。事情が分かっていないのでいつものようにしっかり可愛がってくれた。
17歳の老犬を連れた人が再びやってきた。それを機に我が犬は芝生の方に行って糞をした。公園、グラウンドの草が綺麗に刈られていた。
それで3匹が集いそれぞれの飼い主の話が始まった。
17歳の犬を飼っている人は19歳の猫も飼っているそうだが、いよいよ弱ってもう葬式を待つばかりと悲しそうに言う。
動物を飼わない理由として死別の悲しさを言う人がいる。確かにそれはそうだろう。が、生きているということは常に死ぬことを伴っている 生は死を含んでいるのだ。直接関わろうと関わらざろうと生が日常であると共に死も日常なのだ。死は特別なことではないと思うようになった。死別も受け入れるしかない日常なのだ。
話は犬の体型に移った。我が犬を筆頭に柴犬も少し太ったという話になった。17歳の犬は極端に痩せている。
こっちの肉をあげたいですねと小倉の親戚が言う。それぞれ気持ちが打ち解けたのか犬から人に体重の話は移った。
自分は痩せたけど犬が太ったのは犬がとってくれたからかもしれないなど。
体重談義が終わったら、この話題の転換の瞬間を捉えることが出来なかったが、今度は高校野球の地方決勝戦になった。
17歳の犬の飼い主の話では下商が西京球場で勝って甲子園に行くことになったそうだ。応援に行って下商に戻ったと言うからにはかなり関係が深そうだ。協賛金としてかなりの貢献をするそうだ。こうやってお金が回るのだ。
お金の流通経路は様々だ。一番単純なのは購買だろう。これは物々交換に端を発していると思う。
あらゆる団体は集金機構だと思ったこともある。家元制度、政治団体、宗教団体、何とか団体。上手い具合になっているものだ。余剰のお金を回す人類の知恵だ。まあ、そこら辺りが限界だろうが。
それぞれにお別れを言って我々は海岸に向かった。
海辺のカフェの駐車場の横から浜に下りる。
犬は波打ち際に行って先ず腹這いになる。定番だなと思う。近くに人がいるからかなとは思う。犬には犬の流儀があるのかも知れない。犬にはなかなか直接的な強制は出来ない。こちらは何だとかの不平は漏らすが。只、時間が解決する。犬もそう辛抱強い方ではない。何も変化がなければ動き出す。
いつものように北に向かう。大きな川に至る。猫の姿が見えない。
突堤に上がり先端に向かう。フナムシが少ないのは結構なことだ。
釣り人が数人いた。何故か知らないが声を掛けると皆、親切に対応してくれた。竿をあげるとアジが2匹釣れていた。小さいので南蛮にして食べるそうだ。これから暗くなって浮きの灯りを点ける頃になるとアジは100匹位、すぐに釣れるそうだ。ボックスの中のクロを見せてくれた。
犬にも注意してくれた。これから浜は裸足で歩くと熱くて堪らなくなる。犬もそうだから休ませる時は少し砂を掘ってやると涼しくなると言う。この人は犬を飼っているか飼っていたのだろうと思った。
突堤から下りて犬は腹這いになった。時間を取るなよと思った。
帰路、犬はさっさと歩いた。まだ夕食をやっていないので早く食べたいからだろうか。
6時10分前に帰着。