ほぼ週二 横浜の山の中通信

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大津と京都の微妙な関係~京都事情51~

2018年08月05日 | 京都現地事情

京都市の東隣は滋賀県大津市。京都市の北と南と西は京都府の市・町なので、大津市だけが直接他県と接していることになる。歴史的に大津市と京都の関係は微妙です。

 

  • 比叡山延暦寺は大津市

 

比叡山延暦寺は京都と関係が深いけれど、行政的には大津市です。まあ、寺域が尾根より東側で大津側ですけどね。延暦寺が京都の行政からの干渉を嫌ったと聞いた記憶がある。いつから大津市側に移ったのか、歴史的経緯を調べてみると面白いかも知れませんが、今は適当な資料が手元にない。

 

  • 琵琶湖疏水

 

明治時代に琵琶湖の水を京都に引く工事が行われた。この水路は「疏水(そすい)」と呼ばれて、京都の水道や発電に現在も使われている。今でも京都の水道の原水は、100%この疏水に頼っている。

 

琵琶湖に注ぐ河川は多いが、流れ出す河川は瀬田川(下流は宇治川と名前を変える)だけとよく言われるが、正確には瀬田川と疏水である。

 

昔昔、琵琶湖の水質が悪化した時、疏水の水をもっと沖合、もしくはもっと北から取水する計画が持ち上がった。当時、京都の水は不味いという評判がたっていた。当然滋賀県側といろいろ揉めて、結局従来から滋賀県側に払っていた感謝金を増額することと従来の取水口を維持することで決着した。

 

その後、浄水技術の向上したのか、琵琶湖の水質が改善したのか、沖合から取水する計画は無くなった。

 

昔、滋賀県の全国コマーシャルで「琵琶湖を預かっている滋賀県」というのがあったが、「預かっている間にしゃぶりつくした」んじゃないかと私は思ったものです。

 

  • こんな山奥に住宅地とは! 比叡平

 

比叡山と大文字山の間の鞍部に山中越という京都と大津市を結ぶ片側1車線の山道が通っている。その中ほどに比叡山延暦寺に向かうドライブウェイ(有料)の入り口と料金所があり、その近くに比叡平という本当に山の中の住宅地がある。下に比叡平の位置が分かるようなGoogleマップを添付しています。

 

比叡平は山の中

 

ここは、比叡山から続く尾根の上にあるが、行政的にはギリギリ大津市です。(点線が京都市と大津市の境界) というか、大津市の部分だけを住宅地に造成したということ。今から50年くらい前に、実質的に京都の住宅地(別荘地と言う資料もあるけど、どうだか)として民間が造成したところで、ようこんな山奥に作ったな?と思うような立地です。当初、下水が京都側に流れて来るので、京都市と大津市で大きな問題になった。

(現在は比叡平から大津市の市街地にある処理場に向けて山岳部を抜けるトンネルがあり、そこを下水が流れている)

 

比叡平の全体図を下に載せます。どのようなところか興味のある人はストリートビューで見てください。普通の平坦な住宅地です。

 

比叡平の全景

 

わたしゃ、大津市がこんなところに住宅地を造成するのをよく許可したなと思った。京都より大津市の規制が緩かったのでこういう造成が出来たと思う。この比叡平の問題は、山道(先ほどの山中越)を車かバスで通るしか交通手段が無いこと。バス便は大津側へも京都側へも1時間に1本程度。比叡平にある大津市役所の支所も廃止予定とかで、住民と揉めているようです。こんな山の中の住宅地は維持コストが高くつくはずで、大津市もこんなところに住宅地の造成を許可したのを後悔していると思う。

 

2018.08.05

 

 


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