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京都現地事情 その82 旧有栖川宮邸はどうなる?

2024年06月06日 | 京都現地事情

旧有栖川宮邸が数十億円で森トラストに売却

 

朝日新聞デジタルや読売新聞デジタルには、平安女学院が所有している旧有栖川宮邸が森トラストに数十億円で売却されると言う記事が出ている。他に転用するのは難しいと思われる土地・建物なのに、数十億円にはビックリです。複数の企業が入札したらしいので、欲しい会社が他にもあったようです。

 

平安女学院が国から旧有栖川宮邸を購入した時は数十億円もしなかったはず。数億円くらい(推測です)なので、平安女学院はかなり儲けています。

 

旧有栖川宮邸のある土地は約2150平方メートルあります。しかし、下のGoogleマップを見ればわかるように、敷地のほとんどに木造平屋の屋敷が建っているので、新たに建物を建てる余裕はない。

(注)赤線で区切った範囲は、この敷地を正確に表していません。

 

2015年01月12日の「京都事情その24~京都に貴族(お公家さん)の屋敷は残っている?~」に書いている様に、京都に現存している御公家さんの屋敷跡は、京都御所の中にある閑院宮邸、御所の北側の同志社大に囲まれた冷泉家、そしてこの旧有栖川宮邸しかないので、唯一無二の貴重な建物です。それにしても高額。

 

(有栖川宮の豆知識)

有栖川宮は、皇女和宮の婚約者だった人で、東海道を進んだ官軍の大総督でしたが、大正時代に有栖川家は絶えています。昔、有栖川宮を騙った詐欺事件がありましたが、絶えた宮家の名前を使うとはありえない事件でした。「有栖川」は京都の北西を流れる小川です。

 

東京メトロ広尾駅からしばらく歩いた有栖川宮記念公園は、有栖川宮の邸宅跡で有栖川宮の銅像がありますが、建物は全く残っていません。

 

平安女学院は真如苑にも校舎を売却

平安女学院は、過去にも校舎の一部を「真如苑」に売却している。「真如苑」は今も同じ場所にあります。

 

旧有栖川宮邸の周囲の事情

 

上のGoogleマップにあるように、旧有栖川宮邸の道を挟んだ南側は、日本聖公会の聖アグネス教会と前の所有者の平安女学院がある。日本聖公会のまたの名は英国国教会です。旧有栖川宮邸の北側はホテルでしたが休業しているようです。ホテルは建てられてから(多分)50年くらい経っているので建て替えの時期です。ホテルの北側には日本聖公会京都教区の施設がある。

 

この写真は、烏丸下立売の交差点から見たストリートビューです。左側(南側)に聖アグネス教会と平安女学院の建物、右側に旧有栖川宮邸があります。旧有栖川宮邸の背後の高いビルは休業中のホテルです。この交差点を奥の方に300㍍ほど行くと、京都府庁や警察本部、移転した文化庁があります。

 

烏丸下立売の交差点から、右手(北)に少し移動した写真です。左手奥に聖アグネス教会、左手に旧有栖川宮邸、正面が休業中のホテル、右手が日本聖公会京都教区の施設です。

 

休業中のホテルや日本聖公会京都教区の土地はそれほど大きくないけど、京都御所の周囲でこれだけまとまった土地は無い。

 

河原町のカトリック教会はヒルトンになった

 

2023年6月5日の「京都事情その74 5月の京都と固定資産税と京都朝日会館」では、河原町のカトリック教会の敷地のほとんどはヒルトンのホテルになることを紹介しています。

 

森トラストの構想

 

ここからは、私の妄想というか推測です。森トラストが文化財の旧有栖川宮邸だけを数十億円で買収するとは慈善事業のようですが、そんなことはありえない。私が森トラストの社長なら、旧有栖川宮邸と隣接している休業中のホテルと日本聖公会京都教区の土地を合わせてホテルを立てて、旧有栖川宮邸は日本風の別館にします。もちろん、日本聖公会京都教区の施設は別に作る。森トラストの構想こんな感じじゃないでしょうか。

 

2024年6月6日

 


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