窓を開ければ、ちっちゃな紅葉が見える
♪ 窓をあければ 港が見える メリケン波止場の 灯が見える
夜風汐風恋風のせて 明日の出船は どこへやら ・・・ ♬
なんと古いね~。昭和12年に淡谷のり子さんが歌って大ヒットした「別れのブルース」がふと頭に浮かぶとは。
起きがけに二階の寝室のカーテンを開ければ、四季折々の景色が目に飛び込んでくる。
窓を開けなくても、ガラス越しに、遠くは瀬戸の海が、眼下には今は黄色や赤く染まった色んな木々が挨拶してくれる。
まだあまり寒くもないこの季節、つい窓を開けてみたくなる。そうして窓を開けるとこんな古い歌が浮かんでくる・・・という寸法。
こんな歌詞を見てすぐに口ずさんでみたくなるご同輩は、戦前・戦中・戦後にわたる激動の昭和を歌とともに生き抜いた方々であろう。そして、同じ昭和でも、戦後の復興とそれに続く右肩上がりの成長経済の恩恵も受けて来られたのであろう。
小生などは第二次世界大戦勃発1カ月後に生まれたので、戦前、戦中の記憶はないが、敗戦後の厳しい日々の記憶は確かなものが胸の奥にある。
そんなお陰と云おうか、その体験あってこそというか、「足るを知る」気持ちは持ち続けていると自負する。この気持ちは佳くも悪くも、生涯ついて回る感覚なのかもね。
紅葉の名所に出かけて素晴らしい景色を見せてもらえば、心底「ええね~」「素敵じゃね~」と感嘆する。
一方で、窓を開ければ朝に晩に目にする景色にも、四季の移ろいがあることをしっかり感じる。決して紅葉の名所ではない、いろはモミジがあるわけでもないけど、つつましくも黄色や赤に色付いて見せてくれる名もない木々に「いい色だね~」と囁く感慨は持っている。
こんなことを考えさせるのも、晩秋という季節のなせる技なのかもしれないね~。