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「西の谷緑地公園」を美しく!

「公園都市水戸」の街造りを考える人達と協働したいと思っています。

ガラスの植物学者 エミール・ガレ展

2009年10月12日 15時09分24秒 | 美術展
ガラスの植物学者 エミール・ガレ展  9月26日~11月29日
@茨城県陶芸美術館




1889年のパリ万博の空。
巨大な鉄の塔が聳え立ち、飛行船が飛ぶ。
広大な敷地を埋め尽くしたパビリオン群。
新しい時代に向かって、全てが活気に満ち溢れた博覧会だったであろう。

会場を華やかで華麗に飾ったのが、工芸都市・ナンシーのエミール・ガレ(1846-1904)の作品群。ガレによって始まった工芸活動は、後に、新しい芸術―アール・ヌーボーと呼ばれるようになった。19世紀後半のヨーロッパで隆盛をきわめた異国趣味やジャポニスム、自然主義や象徴主義、また植物学など多くの要素が複雑に絡み合ったものを統合した、デザイナーでありプロジューサーであった。
ガレを頂点とする工房組織・会社組織は専門職の分業により成りたち、ガラスのみならず陶器、家具という生活全般にわたる分野を手掛けた。


《鶴首瓶〈蜻蛉〉》1889年 サントリー美術館


《ランプ〈蓮〉》1902-1904年 北澤美術館



《壺 〈ソテツ〉》 1903-1904年 サントリー美術館(菊地コレクション)


デザインのモチーフは、自然の中に息づく可憐な花々や昆虫など日本の影響が大きい。
特に、高島北海や林忠正の日本美術紹介の力が大きかった、といわれる。

能書きが長くなったが、アールヌーボーの芸術は日本の影響により誕生した要素が多いから、日本人にも馴染みやすく、日本国内に沢山コレクションされている。
今回の展覧会も北澤美術館、サントリー美術館、松江北堀美術館、飛騨高山美術館のコレクションによって構成されている。


《テーブル〈蜻蛉〉》 1897年 飛騨高山美術館



《装飾扇 〈1羽の雌鳥がやって来た、するとほら戦いに火がついた〉》1878年 飛騨高山美術館

アールヌーボーと呼ばれる以前の作品からガレ工房の作品の移り変わりを通観できる展覧会だ。過度の装飾性や叙情性を追及した作品は好き嫌いもあるだろう。
しかし、あらゆる技術と創意を尽くして作られた作品は工芸史上稀な時代であった。
今日の状況では再現する事は出来ない。

あるピークを付けた技術は、その時代背景と共にその時にしか存在しないという事を改めて教えてくれる。


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