読書感想170 極北ラプソディ
著者 海堂尊
生年 1961年
出身地 千葉県
職業 外科医、作家
出版年月 2013年10月
出版社 朝日新聞出版
★感想☆☆☆☆
財政破綻した極北市。今中良夫は母校極北大学の医局に戻るようにという要請に応じず、極北市民病院に残った。以前は時給のアルバイトの外科部長だったが、今は常勤の外科部長兼副院長に納まっている。新しく来た院長の世良雅志と医師二人体制である。極北市民病院の再建を図る世良院長は、病院に大鉈を振るった。1つ目は救急患者を受け付けず、隣にある雪見市の極北救急救命センターに全面委託すること。2つ目は入院病棟を閉鎖して常勤スタッフを削減すること。三つ目は出来るだけ投薬せずに薬剤費を徹底的に抑制すること。
4つ目は残っている看護師に訪問看護させること。5つ目は診療費をとること。
救急患者の診療をしないという方針に非難が集まる中、世良院長は今中良夫医師をドクターヘリを備えた極北救急救命センターに出向させることを決めた。
前作「極北クレイマー」の続編が本書である。過疎の地域での広域医療について、ドクターヘリ運行上の問題など、啓発されることが多い。医療関係者が一癖も二癖もある変人ぞろいだが、医療については献身的で真面目だ。そしてここでは医者の恋愛する対象が看護師だ。医療に真面目に取り組んでいればそうした職場結婚が当然なのだろう。医者と看護師の身分違いの恋は出てこない。それが爽やかでもある。