ヤマトタケルの夢 

―三代目市川猿之助丈の創る世界との邂逅―
★歌舞伎・スーパー歌舞伎・その他の舞台★

三響会『二人三番叟』

2005-10-30 01:07:33 | 三響會
二人三番叟の感想を二葉さんより頂きました!!

記憶違いもあるかと思います・・・
ご覧になった方、訂正・フォローのほどお願い致します。^^;

ちょっと変わった作りの舞台で、床に黒い布かな?が敷いてあったようで、
左右に板で作られた舞台スペースが浮かび上がるようにありました。
左・下手は真四角で丁度能舞台の大きさでしょうか。
右・上手はそれに三味線・長唄さん達がいらして、
ちょぼ床のある所まで板が敷いてありました。
中央奥に二つの舞台を繋げるようにお囃子の方達。

司会の方が言ってたけど、狂言(と言った)と歌舞伎の
橋渡しの意味合いも込められているとか。
それより手前、舞台の真ん中辺も繋がっていて、
鈴之段で使う鈴が載っている三方が二つ置いてありました。
そして二つの舞台から奥にそれぞれずーっと板が伸びていて、
その先に上手・染五郎さん、下手・萬斎さんが黒紋付に袴で座してます。

最初のお囃子だけの時に、萬斎さんが座ったまま動いたので
舞い始めるかと思ったらまた元に戻ったのだけど、
能で翁か千歳の舞の時に橋掛りでそのような動きをしてた記憶があって、
それを表したのかな?と思いました。

まず萬斎さんが前に出て、揉之段を舞いました。
能の衣裳じゃないので袖を巻き上げる所作はできないけれど、
さすがに力強くて美しいです。
声もいいんですよね~。
「おおさえ おおさえ 喜びありや 」と謡いながら舞います。
(歌舞伎では長唄ですね)
舞い終わって舞台上に座すと染五郎さんが出てきて、
長唄と三味線で舞い始めます。

萬斎さんの力強く直線的な動きに対して、
柔らかく(力強くもあったけど)曲線的に感じました。
能の「翁」は天下泰平、国土安全、五穀豊穣を祈願する儀式的なものですが、
歌舞伎になると儀式から離れて自由になり、視覚的な美しさも加味されますね。

烏跳びもやったのですが、三番叟物って色々あるけど(あまり見てないが)
これはかなり能に近い踊りなんでしょうか。
二人の跳ぶリズムも違っていて、対比が面白かったです。
両人ともとても高さがあって綺麗でした。

染五郎さんが終わると、二人中央の三方に寄って行って鈴を取り上げ、
それぞれの舞台に戻って染五郎さんは座り、萬斎さんが鈴之段を舞い始めました。
このまま交互にやるのかな?と思ったら、
途中で染五郎さんも舞い始め、二人が左右でそれぞれ舞っている状態。
席は3階でしたが、ここはもうオペラグラスなど使わずに、
両方を視界に捉えて楽しみました。

だんだん力強くなってクライマックス!で終わるかと思いきや、
萬斎さんが座り、染五郎さん一人の踊りに。
(う~ん、この辺記憶が曖昧。^^;)
最後また二人一緒に(振りは違いますが)舞って、
決めのポーズも萬斎さんは片膝ついて、染五郎さんはたしか立ってと、
これがまたカッコ良かった。o(^-^)o
いや~、とにかく迫力ありました。他のもですが、
一回だけの公演は勿体ないですね。

萬斎さんの三番叟は2度見てるけど、むちゃカッコイイです。
機会があったらぜひ見ていただきたいです。

三響会

2005-10-30 01:02:18 | 三響會
この画像はパンフレット(有料)ではなくチラシ(無料配布)です~
(終演後パンフレット購入しようと思ったけど完売だった!)
今気づいたのですが、この「三響会」の題字は玉三郎さんの書です。

10月28日(金) 新橋演舞場

午後二時開演が「囃子の会」で、亀井忠雄さん、田中佐太郎さん主催。
鼓の家を見て以来、佐太郎さんの生の演奏を拝聴したい!!と
強く願っていたのですが、現況、平日休暇を取るというのがほぼ困難・・・で
「囃子の会」は断念。

プログラムのみ掲載します。ご出演の皆さんの顔ぶれも興味深いですよね―。

【囃子の会】

八 島:野村萬斎
賤機帯:中村富十郎、中村勘太郎
井 筒:梅若六郎
君が代松竹梅:坂東玉三郎
石 橋:観世清和、観世銕之丞

宝生欣哉/一噌幸弘・幸清次郎・大倉源次郎・三島元太郎/
浅井文義・梅若晋矢・観世喜正/杵屋勝国・杵屋直吉/福原寛/
亀井広忠・田中傅左衛門・田中傳次郎


当ブログの、今夏の亀治郎の会の記事でもご紹介させて頂いたのですが、
以下その抜粋です。

>傳左衛門社中の皆様には、いろいろな舞台でお目にというか
>お耳にかかっておりますが、今年一月、
>お母様の田中佐太郎氏のドキュメント「鼓の家」を拝見し、
>非常に感銘を受けました。長く厳しい訓練を受け芸を継承し、
>そして、また自身の中に受け継いだものを
>余すところなく子供たちへ、次代へと繋いでいく。
>女性であるがゆえ、歌舞伎や能の舞台の前面に立つこともなく、
>ある意味無償で伝統に奉仕するその生き様に、心を打たれました。
>佐太郎氏の生の演奏を是非拝聴したいと、以来、願っています。


【三響会】

こちらは午後七時開演で、主催が亀井広忠・田中傅左衛門・田中傳次郎さん。

一、(狂言・歌舞伎)『二人三番叟』三番叟:野村萬斎、三番叟:市川染五郎
二、(舞踊)『島の千歳』立方:藤間勘十郎
三、(能と長唄による)『船弁慶』知盛の霊:観世喜正
四、(歌舞伎)『保名』:保名:市川亀治郎
五、(能と歌舞伎による)『石橋』:獅子の精:梅若晋矢、獅子の精:中村勘太郎

一噌幸弘/山崎正道・角当直隆・梅若会/福原寛
清元清栄太夫・清元菊輔/杵屋利光・今藤長龍郎
亀井広忠・田中傅左衛門・田中傳次郎

こちらも楽しみにしていた萬斎さんと染五郎さんのコラボ(?)
案の定残業で間に合わず・・・で、間に合わないのはこれだけと
予測していたところ、二番目にも間にあっていなかったことが
劇場に到着してから発覚(~_~;)
船弁慶からの観劇・拝聴となりました。

改装後の演舞場に足を踏み入れたのは初めてで、
ずいぶんシックな色調の内部が、ガラス越しに見えたとき
ふだんの商業演劇のときと違って、
ロビーのディスプレイを変えているのかな?
と瞬間的に思ったのですが、そうだ、改装したのだ~と・・・

『船弁慶』

歌舞伎で言うところの後シテ、能では後場の知盛の霊のみ演者としては登場。
あとは謡(でいいのかしらん)と長唄の掛け合いで舞台は進行して行きます。
崇光さんソックリの声が響き、一瞬、ドキっとしたのですが、
似てるけど、やはり微妙に個性の違う、弟さんの利光さんでした。
お兄様に負けず、一段と艶と声量の増した感じで、そして
粛々とした雰囲気を醸し出してもいて、良いお声でした。
東袖だったので、長唄チームの姿はまったく見えなかったのですが
お声とチラシにお名前があることで確認。
(上手が長唄、下手が地謡座?となっていました。)

歌舞伎ファン的には、というか私には、シテ方の抑制された動きは
視覚的にちょっともの足りず(後の石橋もそうだったのですが)
(遠く三階からではなく、能楽堂などで見るとまた別の感想も
あるかもしれませんが)曲に耳を傾けておりました。
が、唄は結構響くのですが、角度的にこれは、舞台に向かって
正面席が正解だったのかな~と思うほど、鼓があまり響いてこず残念。

『保名』

第一回の亀治郎の会への誘い?ということだったと記憶してますが
両国でのイベントで亀ちゃんがこの曲を踊ったのは・・・

う~ん、さすがの彼でも苦手演目あり?と
この時は、あまり良い出来栄えとは思えなかったので
数年たち、どうかな~と期待していました。が、
やっぱり口説きの振りに、あまり色気が出ないかなぁ~という感じ。
ここのところ、女形をするときには、相応の香気や
ふっくらした感じが出るな~なんて、思っていたので、
かなり楽しみにはしていたのです。

道具立ても、「変わっているなぁ」とは思いましたが、
効果的かどうかは疑問。冒頭で葉の影が
亀ちゃんの顔にずっとかかっていて、(ぱっと見、顔に傷でも
描いているのか知らん!?と思った!!)邪魔に感じた。

今回、私が見た限りの演目では花道が使用されておらず
(たぶん、花道には所作板敷かれてなかったので、
未見の二演目でも未使用のはず・・・)
せっかく東袖に席を取れたのに残念でした。
保名は花道からの出だと思ってたのだ~

でも、数年後にまた見せて欲しいな~とも思います、保名。

『石橋』

勘太郎くんも、もちろん良かったのですが、
亀ちゃんなら、こっちで観たかったなー!!とも思った番組。

どうしても「歌舞伎」の方の獅子の精に目が行ってしまいます。
私は、正式な(?)お能は、シドニーに在住していた時に
ジャパンフェスティバルで上演された「羽衣」を観ただけなので、
能の上演、演目、約束事に対する知識がまったくなく、
今回、能での獅子の精のスタンダードをされたのか、
歌舞伎とのコラボのために、多少アレンジされているのか不明ですが、
正直、これが、上手く融合され調和されたものなのか
どんな意匠や意図で、能と歌舞伎を共演というか共存させてみたのかは
私にはよく分かりませんでした。
珍しいものを観た~!!という意味では面白かったですが。

“三響会”という点では、この曲がやっぱり一番満足!!
鼓も太鼓も聴かせるところが、バッチリ分かり易いし、あの「間」の
使い方も、カッコよくて好き!!

勘太郎くんが、自身も廻りながら(360度)毛振りをした
場面があったのですが、これは大変そうなワリにはちょっと意味不明でした(~_~;)
安定を欠いていたし(欠いているように見えた)、
その間テンポを殺いでしまっていた。別に一回転しながら
廻さなくても、フツーに綺麗な毛振りであればそれで良かったかな、と。

三響会、感想を一言で表すと、
視覚的にはホント「珍しいものを観た!!」です。

忠広さん、傅左衛門さん、傅次郎さんの演奏を聴く、という意味では
それぞれの分野のスタンダードを、スタンダードに聴きたい!!

と、なんだかんだ言って(書いて)おりますが、
来年も「三響会」は開催されるとの事ですので、チケ確保予定~(笑)

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