新任教員用のオリエンテーションということで、まる一日のティーチングトレーニングセッションに行ってきた。
トレーニングを企画運営している人の話では、以前は「大学のどこにいけば何がある」的な話を、細切れ10分ずつとかでいろいろな人たちが話しにくる、というスタイルのオリエンテーションだったらしいのだが、そういう情報はまわりの人たちに聞けばいくらでも手にはいることで、新任教員が本当に必要なのは、授業をどうやって教えていけばいいのかという情報なのだ、ということで、3年ほど前からこういうスタイルになったらしい。
それ自体はいいことなのだろうが、実は私はティーチングトレーニングオタク、といってもいいほどに、ミシガン大学での大学院時代にトレーニングに出まくってきた。必須だった外国人用のInternational Graduate Instructor Trainingは夏休み中3週間、毎日のトレーニングだったし(毎日午前中ずっとやっていた記憶が)、一学期間の授業形式だったFeminist Pedagogy、そして、卒業間近の時期に出た、まる一ヶ月朝からランチをはさんで午後までの、Preparing Future Facultyセミナー。この他にも、学期中に行われる、個々トピックに関するトレーニング(ディスカッションのリードの方法、とか、インタラクティブなレクチャーをするには、などのテーマ)にもかなり出たし、新しい院生インストラクター用オリエンテーションで、授業の一日目には何をするのかというテーマのワークショップをリードしたこともある。
そして、院生組合で外国人院生講師コミッティーというのを作ったので、その中でトレーニングの内容をもっと外国人院生のニーズにあうものにし、差別的な内容などはなくし、当事者である外国人院生で講師経験がある人たちをインストラクターとして雇うという交渉をしたり、実際プランしたりもした。このトレーニング、夏休み期間中に行われるのだが、もともと外国人院生は無償で、生活費など完全に自腹を切って参加させられていた。それを、有償トレーニングに変え、夏休み中でどうせ空いている寮の部屋に滞在できるようにし、内容についても当事者の声をいれて考えることにしたのも、組合のコミッティーで活動し、ストライキまでしたからだ。
こんな経緯でティーチングトレーニングには妙に詳しくなってしまっている私。その視点からは、昨日のトレーニングは正直いっても物足りないものがあり、もっといいものにできるはずなのに、、と思った。インタラクティブなレクチャー、というのを強調するのにもかかわらず、実際の昨日のセッション自体が一方的なレクチャーで全然インタラクティブじゃないとか、もっと総論的なものより、具体的な方法を紹介してほしいとか、分野によって教え方は違う面もあるのに、すべていっしょくたに扱うのはきついとか、そういうペダゴジ%Iな問題もあったが(一日のトレーニングでは難しい面もあるとは思うが)、それより重大な欠落だと思ったのは、学生たちの多様性に関する情報に関してだ。
モンタナ州におけるネイティブアメリカンや、ネイティブアメリカンの学生たちについての情報セッションはあり、それはとても素晴らしく、役にたつものだった。ネイティブアメリカンが最大の人種/民族的マイノリティということだし、アメリカのほかの地域からきた人たちには知らない情報も多かった。だが、ネイティブアメリカン以外のマイノリティについては、存在すら言及されなかった。配布された資料に、2ページくらい、大学の学生たちの背景が書いてあり、そこに少ないながらも、ネイティブアメリカン以外のマイノリティも、外国人留学生もいる、という数字が書いてある。マイノリティの数が少なければ少ないほど、マイノリティ学生たちの苦労も大きいはずだ。一言の言及くらいはあってしかるべきだし、必要だと思った。
もうひとつ欠落していたのが、セクシャルハラスメントに関する情報だ。新任教員に、セクシャルハラスメントについてトレーニングをするのは、今後の大学内でのセクハラ防止のためにも重要だろう。セッションを組む時間がないのなら、せめてパンフくらい配ってほしい、、と思った。こういう保守的な土地柄にあっては、なおさらLGBTの学生に関する情報だって必要だろう。あと、州立大学でもあり、白人層が圧涛Iに多数でも、階級的な多様性は大きいはずだ。社会人などを経て帰ってきた学生たち(non-traditional students)だっているだろうし、シングルマザーだっているだろう。こういう、学生たちの多様性に関する情報も新任の立場としては、聞きたいなと思った。
早速主催者に、とりあえず多様性問題の欠落に関しては伝えたのだが、通じたかどうか不安。。何度もこれから、言っていかなくてはならないのだろうと思う。
この前までいたシカゴも多様性問題に関してはとても弱い大学だったが、ここはもしかしたら、もっと弱いのではないかという気がしている。ミシガン大学の場合は巨大大学で、あまりにビジネス的な経営姿勢とかマズい点も多々ある大学だったが、少なくとも多様性問題に関してだけは、私がいたときアファーマティブアクションの裁判を最高裁まで闘っていた時期だっただけに、大学ぐるみで取り組まねばならない、というミッション的なものはあった。だから、こういう点で意見を言って、通じているかどうか不安になるという経験はしたことがなかった。そして、実際のティーチングのトレーニングでも、絶対欠かせないのが教育における多様性の重要性や、ジェンダーに基づく差別、セクハラに関する情報だったし、もし足りていなかった場合には、組合などを通じて交渉し、変えていったのだった。
新任地でどこまでできるか、、白人だらけの中で厳しい環境ではあるが、できるだけ頑張らねば。
トレーニングを企画運営している人の話では、以前は「大学のどこにいけば何がある」的な話を、細切れ10分ずつとかでいろいろな人たちが話しにくる、というスタイルのオリエンテーションだったらしいのだが、そういう情報はまわりの人たちに聞けばいくらでも手にはいることで、新任教員が本当に必要なのは、授業をどうやって教えていけばいいのかという情報なのだ、ということで、3年ほど前からこういうスタイルになったらしい。
それ自体はいいことなのだろうが、実は私はティーチングトレーニングオタク、といってもいいほどに、ミシガン大学での大学院時代にトレーニングに出まくってきた。必須だった外国人用のInternational Graduate Instructor Trainingは夏休み中3週間、毎日のトレーニングだったし(毎日午前中ずっとやっていた記憶が)、一学期間の授業形式だったFeminist Pedagogy、そして、卒業間近の時期に出た、まる一ヶ月朝からランチをはさんで午後までの、Preparing Future Facultyセミナー。この他にも、学期中に行われる、個々トピックに関するトレーニング(ディスカッションのリードの方法、とか、インタラクティブなレクチャーをするには、などのテーマ)にもかなり出たし、新しい院生インストラクター用オリエンテーションで、授業の一日目には何をするのかというテーマのワークショップをリードしたこともある。
そして、院生組合で外国人院生講師コミッティーというのを作ったので、その中でトレーニングの内容をもっと外国人院生のニーズにあうものにし、差別的な内容などはなくし、当事者である外国人院生で講師経験がある人たちをインストラクターとして雇うという交渉をしたり、実際プランしたりもした。このトレーニング、夏休み期間中に行われるのだが、もともと外国人院生は無償で、生活費など完全に自腹を切って参加させられていた。それを、有償トレーニングに変え、夏休み中でどうせ空いている寮の部屋に滞在できるようにし、内容についても当事者の声をいれて考えることにしたのも、組合のコミッティーで活動し、ストライキまでしたからだ。
こんな経緯でティーチングトレーニングには妙に詳しくなってしまっている私。その視点からは、昨日のトレーニングは正直いっても物足りないものがあり、もっといいものにできるはずなのに、、と思った。インタラクティブなレクチャー、というのを強調するのにもかかわらず、実際の昨日のセッション自体が一方的なレクチャーで全然インタラクティブじゃないとか、もっと総論的なものより、具体的な方法を紹介してほしいとか、分野によって教え方は違う面もあるのに、すべていっしょくたに扱うのはきついとか、そういうペダゴジ%Iな問題もあったが(一日のトレーニングでは難しい面もあるとは思うが)、それより重大な欠落だと思ったのは、学生たちの多様性に関する情報に関してだ。
モンタナ州におけるネイティブアメリカンや、ネイティブアメリカンの学生たちについての情報セッションはあり、それはとても素晴らしく、役にたつものだった。ネイティブアメリカンが最大の人種/民族的マイノリティということだし、アメリカのほかの地域からきた人たちには知らない情報も多かった。だが、ネイティブアメリカン以外のマイノリティについては、存在すら言及されなかった。配布された資料に、2ページくらい、大学の学生たちの背景が書いてあり、そこに少ないながらも、ネイティブアメリカン以外のマイノリティも、外国人留学生もいる、という数字が書いてある。マイノリティの数が少なければ少ないほど、マイノリティ学生たちの苦労も大きいはずだ。一言の言及くらいはあってしかるべきだし、必要だと思った。
もうひとつ欠落していたのが、セクシャルハラスメントに関する情報だ。新任教員に、セクシャルハラスメントについてトレーニングをするのは、今後の大学内でのセクハラ防止のためにも重要だろう。セッションを組む時間がないのなら、せめてパンフくらい配ってほしい、、と思った。こういう保守的な土地柄にあっては、なおさらLGBTの学生に関する情報だって必要だろう。あと、州立大学でもあり、白人層が圧涛Iに多数でも、階級的な多様性は大きいはずだ。社会人などを経て帰ってきた学生たち(non-traditional students)だっているだろうし、シングルマザーだっているだろう。こういう、学生たちの多様性に関する情報も新任の立場としては、聞きたいなと思った。
早速主催者に、とりあえず多様性問題の欠落に関しては伝えたのだが、通じたかどうか不安。。何度もこれから、言っていかなくてはならないのだろうと思う。
この前までいたシカゴも多様性問題に関してはとても弱い大学だったが、ここはもしかしたら、もっと弱いのではないかという気がしている。ミシガン大学の場合は巨大大学で、あまりにビジネス的な経営姿勢とかマズい点も多々ある大学だったが、少なくとも多様性問題に関してだけは、私がいたときアファーマティブアクションの裁判を最高裁まで闘っていた時期だっただけに、大学ぐるみで取り組まねばならない、というミッション的なものはあった。だから、こういう点で意見を言って、通じているかどうか不安になるという経験はしたことがなかった。そして、実際のティーチングのトレーニングでも、絶対欠かせないのが教育における多様性の重要性や、ジェンダーに基づく差別、セクハラに関する情報だったし、もし足りていなかった場合には、組合などを通じて交渉し、変えていったのだった。
新任地でどこまでできるか、、白人だらけの中で厳しい環境ではあるが、できるだけ頑張らねば。