ふぇみにすとの雑感

日々の雑感、テレビ、社会、フェミニズムについてなど。モンタナ発信。

混合名簿#2

2004-08-13 21:28:28 | フェミニズム
おさむさんのコメントの中に書かれていた、都議会議事録を早速チェックしてみました。そうしたら、早速こんなのが出てきました。
自民党古賀俊明議員の質問に答えて、横山洋吉都教育長の答え:

「次に、学校における出席簿等の作成についてでございますが、学校におけます名簿の作成につきましては、校長がその権限と責任において自主的に判断すべきものでございまして、都教育委員会は、各学校に対して、画一的に男女混合名簿を作成するような指導はいたしておりません。
 今後とも、お話の男女の違いを一切否定するようなジェンダーフリーの考えなど、外部からの圧力によって、学校における名簿の作成が影響されることなく、校長が自主的に判断できるよう支援してまいります。」(2004.06.08 : 平成16年_第2回定例会(第8号) 本文 より)

この解答から、「混合名簿禁止」というような方針につながった、ということなのでしょうか。しかし、「男女の違いを一切否定するようなジェンダーフリーの考え」というような理解を都教育長がしている、このことからも、「ジェンダーフリー」って言葉、まずいなあって気がします。
ここで言われている、「外部からの圧力」ってのがいったい何かも謎ですが。
「混合名簿を使うな」という圧力は問題ではないのだろうか。

しかし、この古賀議員さんの質問、以下の部分もすごい。

「私の地元、日野市では、大河ドラマ「新選組!」の放映と軌を一にして、熱い郷土愛のもと、行政と市民が一体となり、都の支援も受けながら観光まちづくりを行っており、大勢の人が当地を訪れています。特に若い女性の姿が目立ちます。「誠」の旗のもと、勤王、佐幕、攘夷に命をかけた男らしい男の群れ、新選組は、多くの日本女性を魅了しているのです。ジェンダーフリーなどに浮かれた、男らしくない新選組など考えられません。」

「多くの日本女性」って誰だ?調査したのか?「ジェンダーフリーなどに浮かれた、男らしくない新撰組」って?別に若い女性が訪れているのは、新撰組が「男らしい」からかどうかなんてわからないと思うが。ジャニーズタレントって、けっこうフェミニンな部分もあるしねえ。しかし、都議会、こんな議論しているってすごすぎ。

ついでに同じ都議会における、究極の石原知事の御発言。
「男と女がある限り、男と女が同質であるわけはありませんで、例えば、いわゆるジェンダーフリーと称している怪しげな性教育の教育の中で、例えば思春期、中学生、高校生という育ち盛りの子どもたちのスメ[ツのための更衣室を一緒にする。男性が女性の裸をそこで見て性的な興奮を覚えるということは、これは教育が間違っているから、それをなくする。なくなるわけがない、これは、なくなったら人類破滅しますよ。子どもいなくなっちゃいますよ。
 こういうばかな、要するに試み、信念というものが、もしクラスにおける名簿の男女混合名簿というものを起点にして行われるなら、これはやはりこの問題も深刻にとらえて考え直す必要があるんではないかという気がいたします。」

なんで男女混合名簿が「男女同じ更衣室」だの、「女性の裸」の話に飛ぶんでしょうか?さっぱりわからん。ついでに、女性だって男性の裸を見て性的興奮覚えるかもしれないし、同性だって覚えるかもしれないわけでねえ。

ジェンダーフリーという言葉

2004-08-13 18:42:52 | フェミニズム
以前書いた「ジェンダーフリー」そして、前の記事で書いた混合名簿の件と関連するが・・

混合名簿が危機的状態になってきたことを考えるとますます思うんだよね。
「ジェンダーフリー」、この言葉を作り、使ったのは日本のフェミニズムのストラテジーとして失敗だったのではないだろうか?「男女共同参画」にしても同じことが言えるが・・ 

批判を浴びないために、一般人にわけのわからない言葉を使うって方法が機能しない、ということが痛烈にわかった、ってことなんじゃないだろうか?
実際、「ジェンダーフリー」も「共同参画」の意味も、フェミニズム専門のはずの私だっていまいちよくわからないもん。

やっぱり言葉って、経験や実践に基づいて、自分たちで作りあげていくって努力を怠ってはいけないんじゃないだろうか?

こんなこと発言すると、日本のフェミニズム界ではまずいのかな?でもやっぱり言いたい。「ジェンダーフリー」って言葉について議論しようよ、そしてこれで実際、まずい影響が出ているなら変にこの言葉にこだわらず、もっと皆にわかる言葉で語ろうよ。。。

男女混合名簿

2004-08-13 18:20:45 | フェミニズム
友人のさいとうさんのブログで、サンケイ新聞の「ジェンダーフリー」、教育現場から全廃 東京都、男女混合名簿も禁止」という記事が紹介されている。このニュース、私がはいっているメーリングリストからもまわってきた。サンケイがソースというところにいまいち信憑性のアヤシさを感じないでもないが、石原都知事のものとの東京都ということを考えると、非常にあり得る展開だ。

さいとうさんも書かれているが、「ジェンダーフリー」をやめたいなら、これだけやめればよいことで、なぜ男女混合名簿まで、それもすでに実践している学校において禁止しなければならないのか?この記事を読む限り、「男女混合名簿」自体には問題があるとは限らないが、「ジェンダーフリー」思想が後ろにあるのだとすると悪い、だから禁止にすべきだ、という議論に読める。あまりにアヤシすぎる議論だ。

そもそも、名簿を男女別にするなんて国は1985年の段階で、インドと日本くらいだったという。(行動する女たちの会が1985年、ナイロビ女性会議の際に18か国の人たちに調査した結果)その後、インドがどうなったか知らないが、変わったかもしれない。(インドのフェミニズムは超ラディカルだし、アカデミアと運動の関係も近いと聞く。)日本はようやく混合名簿を実践する学校が少しずつ増えてきたと思ったら、この事態とは!東京都で始まることは、全国に波及しがちな傾向も日本の嫌なところだ。

ちなみに、行動する女たちの会のパンフレット「さよならボーイファースト」に引用されている、世界の女たちの日本の男女別名簿への感想は:「女子が劣等であるという感情を取り除く為には出来るだけ早くアルファベット順に変えた方がよい」(オランダ)、「実際これは大問題だ。どうして男子が先にこれるの。こんな形式は誰にも平等を教えない」(イギリス)、「こうした順序は女子に自分たちは第2の性だということを教えている」(スーダン)、「これは大変な差別であり不幸なことだ。一緒に変える運動ができるといいのですが。」(アメリカ)「これは悪い方法だと思う。なぜなら女子はクラスで小さくなりがちだ」(ケニア)「男の子を先にすることは、女の子に君は劣っているんだよというメッセージを送るおだやかではあるが強力な方法である。当然アルファベット順にすべきである。」(オーストラリア)など。。(「さよならボーイファースト, 1990, p.8)

普通は名簿なんて、アルファベット順(日本の場合、あいうえお順)だよね。生年月日順ってのも、個人的には問題のある順序だと思う。学年が何らかの事情で遅れてしまった人に対する差別になりかねないし。名簿を男女別にすることに、いったい何の意味があるのか?毎日毎日、男女別で、それもほとんどの場合、「男が先、女が後」という順番で名前を呼び、呼ばれる。この繰り返しによる刷り込み効果はコワいと思う。

「混合名簿だと身体検査や体育などの際に不便だ」なる声も聞かれる。でも、身体検査なんて一年に一度しかないことで、その時に男女に分ければすむことだしね。第一、日本の学校での身体検査にはプライバシーがなさすぎるのも問題だと思う。性に関係なく、もうちょっとプライバシーを確保する環境を作るという方向のほうがよいのではとも思う。体育も、体育教師が自分のクラスの名簿をもっていればすむことなのではないのだろうか。また、体育のクラスというのはすべて必ず男女別でなくてはいけないのか?というのにも疑問がある。確か大学の体育の授業は男女一緒のものが多かったが、何も不都合はなかったぞ。

「混合名簿は不便だ」「面唐セ」という意見に対しても、このコンピュータが普及している現在、名簿なんてエクセルで作って、事態に応じてキーボードひとつ押して並べ替えて使えばすむことだしね。何も不便なことも面唐ネこともないと思うが。

男女混合名簿って、今も昔もすごーくエモーショナルな反応を生むよね。何でだろう?で、そういう人に限って「名簿なんて瑣末な問題を扱うより、もっと重要な問題があるはずだ」とか言って、女性運動を責めるのだ。「瑣末だと思うなら、そんなに興奮して反対しないで、さっさと変えたらいいんじゃない?」と言いたい。