澤田ふじ子の『公事宿事件書留帳』の第19巻『血は欲の色』群馬への行きかえりで読んだ。この本には次の短編がおさめられている。
①『闇の蛍』
②『雨月の族』
③『血は欲の色』
④『あざなえる縄』
⑤『贋の正宗』
⑥『羅刹の女』
澤田作品に共通しているのは、底辺にいる庶民のあきらめにも似た心情を描きながら、それを乗り越えていくことに期待をし、その役割を公事宿・鯉屋の居候で、京都東町奉行所同心組頭の銕蔵の兄、菊太郎が事件の解決にあたっていく。いつもながら、庶民のやるせなさがえがかれていて、一気に読まされてしまった。