中爺通信

酒と音楽をこよなく愛します。

大蛇と「つかみ」

2022-09-25 23:25:00 | 山形弦楽四重奏団
 オペラ「魔笛」では、序曲の後に幕が上がるとセットの巨大な大蛇がまず目につきます。これで、子供もぐっと惹き込まれる。ファンタジーとして素晴らしい「つかみ」だと思います。

 どこかの国の王子様が、いきなり大蛇に襲われているわけです。これは見ないわけにはいかない。

 戦うでもなく逃げまどう王子様、このまま食べられるのかと王子は気絶。すると、これまたいきなり大蛇がやっつけられる。見れば3人の女が魔力で一撃で蛇を倒したらしい。

 …オペラか。退屈かも知れないな。

 と思っていた半端な観客に平手打ちを喰らわすようなド派手な導入は、現代でも充分に通用するもので、江戸時代に考えられたとは到底思えない。

 さて、秋めいたきた山形です。台風は過ぎましたが、嵐のような芸術の秋がこれから始まるという静けさにも似た休日に、山形Qのリハーサル。もちろん「魔笛」を中心に。

 だいぶこなれてきました。あとは、フルートを入れて、音楽作りを深めたいところ。気をつけるべきは、器楽の部分と声楽の部分の役割が入り混じっているので、それをわかった音の処理をする必要があること。さらに要研究。

 ところで、これもいつも思うのですが、大蛇を一撃で倒した女たちは、夜の女王の侍女です。すごい魔力です。侍女でさえこんなに強いのですから女王はさぞやと思います。

 …それなのに、大蛇の前で気を失う「へなちょこ王子」の助けを請うのが、どうしても納得いかない。夜の女王も、娘にナイフを渡してる暇があったら、是非とも、ザラストロと直接のバトルをして欲しかった。稲妻と太陽光線の応酬とか。

 しかし、もちろん、そんなことは起きない。少年ジャンプではないので。

 この物語の目的はそもそも、フリーメイソンの教義を寓話化して一般人に伝えるためのものだからです。その話はまた。

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