厄落とし

　東京での充実したゴールデン・ウィークを終え、荷物を車に積み込んで、杉並にある奥さんの実家を出発。

　さあ、リフレッシュしたことだし、爽やかな気持ちで山形に帰ろう。

　気持ちも新たに走り出した途端、3つ目の角を曲がったところで、警察官に止められました。まだ環八にも出ていない、狭い住宅街です。

　「一時不停止です」

　…は？止まりましたけど！

　「見てたので、ブレーキを踏んだのは分かりましたけど、止まりませんでしたよね。一度きちんと止まるのがルールですから」

　…いやいや、あんなところで停止しても安全は確認できないから。

　「とにかく、そこを曲がった所で停車して下さい」

　はい、罰金7000円ね。ああそうですか。山形ナンバーなんだから、見逃すとかしてくれても良さそうなものを。

　せめてもの抵抗として、地方から頑張って出てきた人の良い初老の男性を酷い目に合わせたことを自覚してもらうべく、

　…あああっ。やっぱり東京なんかに来るんじゃなかった。こんな酷いところにはもう二度と来たくない。ああやだやだ。

　とブツブツ言いながら左手の人差し指で、反則キップに指紋をオン。

　去年の8月に2点。今回また2点。…やっとゴールド免許になったと思ったら、あっという間にこの体たらく。完全に不運でしかないのに、免停がもう目前とは。

　あと1年、死んだふりのダラダラ運転で過ごさなければならないのがツラいところですが、同じ不運でも、事故に遭うよりはマシと思って頑張ります。