中爺通信

酒と音楽をこよなく愛します。

歌舞音曲

2019-10-16 21:39:19 | 音楽
 台風の爪痕が全くない山形です。連日のニュースで、さらに明らかになる被害状況を見るにつけ、なんとも申し訳ないような気持ちになります。

 その中でも、山響の今年のツアーで毎回利用した北陸新幹線が、あのようなことになっているのにはショックを受けました。ほんの先日も乗ったばかりなのに。

 台風の規模や針路は、人智ではどうにもならないことですが、被害を見ると「運」の一言では片付けられないものを感じますね。

 
 このような折に感じることですが、「演奏会などやっていて良いのだろうか」という気持ちになることがあります。

 日本では古来から、忌中などに「歌舞音曲(かぶおんぎょく)」を禁止する風習があるので、なんとなく後ろめたいような感じがするのでしょうか。


 そんな時にいつも、思い出して励みにしていることがあります。

 もうだいぶ前のことですが、文翔館で毎年「舞踏会」がありました。生のオーケストラをバックに社交ダンスをするという贅沢な催しです。

 ある年、本番の数日前にあの「9・11同時多発テロ」がありましたが、舞踏会は予定通り行われました。世界を揺るがす一大事ではありますが、海の向こうのことですから、日本の、こんな地方のささやかな催しが自粛されても何の意味もないので当然です。


 しかし、心情的には「こんなことをやっていて良いのだろうか」という気にはなります。

 開演前の挨拶で、館長がそのことに触れました。「こんなことがあったからこそ、平和の尊さを胸に刻んで、感謝しながら踊りましょう」と。

 歌舞音曲は「祈り」にも使われます。自分たちが大丈夫だったからそれに感謝するというだけではなくて、再び起きないようにと祈りを捧げる気持ちがあれば、自粛する以上の意味があるのではないかとも思うのです。


 災害に遭われた方々には心からのお見舞いを申し上げます。祈りの心を込めながら、日々の演奏に励みたいと思います。
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