中爺通信

酒と音楽をこよなく愛します。

花より

2019-10-11 23:59:36 | 山形交響楽団
 「花より団子」を辞書で調べると、「風流よりも実利を取ることのたとえ」というような解説があります。

 せっかくの花見の席なのに、花を愛でずに、そこにある団子の方に目がいってしまうということですね。そこには「やれやれ…情けない」みたいなマイナスイメージが込められている。

 …しかしどうでしょう。現実的には、「花見をする」とは、桜の下にブルーシートを広げて飲み食いすることを指します。「花より団子」を批判することのできる人などいないはずです。


 その点では、山形の文化は素晴らしい。花見より「芋煮」。新入社員の「場所取り」と言えば、桜の下などではない。秋口の河原、それも日陰もある橋の下で、できれば水道やトイレが近いところのことです。

 初めから風流にかこつけることなどせず、素直に「この秋に穫れた芋を煮て、それをアテに屋外で昼間から飲みましょう」という清々しさが心地よい。むしろ粋だと思える。


 ということで、金曜日は山響の「芋煮会」。近づきつつある台風を心配しながらも、雨にはあわず無事に開催されました。

 忙しい秋の真っ只中なので、参加人数は全楽団員の半分弱。それも、ここ数年開催できていなかったので「初めて」という若手もたくさんいました。今年はなんとか、伝統を伝えることができたのではないでしょうか。

 …偉そうなことをいっておりますが、私は新人の頃から見た目通り、アウトドアでは役立たずの筆頭なので、足手まといになることを自主的に避け、中途半端に手伝いに参加しないよう心がけております。脇の方で、持参した酒を飲みつつ芋が煮えるのを待つという「ダメおやじ」のポジションを守り続けて20年。今年も職務をまっとういたしました。

 今回の「持参酒」は、青森の「豊盃」。ほとんど自分で消費しつつも、ときどき若手に振舞って、職務終了。


 広々とした河原で、昼間から飲むうまい酒は格別です。それも、地元で穫れた里芋やら牛肉やらと合わせると…。これぞ、山形の秋ですね。


 忙しい芸術の秋ですが、ホッとひと息。良い時間でした。
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