病中五句と題して詠んでいます。<o:p></o:p>
死んでしまへば雑草雨ふる<o:p></o:p>
この命消えても何の変哲もない昨日と今日の違いだけ。強いて言えば雑草に降る雨の音が、いくぶん強弱つけて悲しんでくれますか。<o:p></o:p>
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死をまへに涼しい風<o:p></o:p>
いよいよ寿命が尽きますか。いつになく涼しい風が臥所を吹きぬけて行きます。<o:p></o:p>
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風鈴の鳴るさへ死のしのびよる<o:p></o:p>
死神の先導ですか、風鈴の音が寒々と耳にこびりついて離れません。戸の隙間から死が覗いています。<o:p></o:p>
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おもひおくことはない ゆうべの芋の葉ひらひら<o:p></o:p>
芋の葉が風に吹かれてひらひらします。あの世から手招きしているようです。我が人生、ここへ来ては思い残すことは微塵も御座いません。<o:p></o:p>
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傷が癒えてゆく 秋めいた風となつて吹く<o:p></o:p>
自殺未遂のとき負った傷の後遺症ですか。心の後遺症は簡単には消えません。外科的な傷は秋風とともに、渋皮を剥がすように直っていきます。<o:p></o:p>
月へ萱の穂の伸びよう<o:p></o:p>
萱にも月を愛でる、風流な気持があるようです。見れば月を掴むかのように伸びきります。<o:p></o:p>
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