割とこの欄は愛読している
今朝の読売である。相談には刮目しそして吃驚仰天、そして泣けてきてしまった。回答者が小説家である出久根達郎氏の回答が、こちらの身に染みて涙を誘ったのかも知れない。
先ずは40代の男性から相談をかいつまんで記せば、母親と金を出し合って買った車を、母親がバンパーを傷つける事故を起こす。母は謝罪の一言もなく抗議すると逆に切れて、細かいことは言うなと言わんばかりの剣幕であったという。車は2人で買ったものであり、半分は母のものであり、半分は私の車であるという。
自分のミスを棚に上げ、言い訳ばかりに終始する、未熟な母親を納得させるにはどうしたらよいか、教えて下さい。ざっとこんな相談である。
回答者は、落語の「厩火事」を例にとって見事にさばきます。落語の内容は孔子の大事にしていた白馬が火事で焼死する。弟子たちが帰宅した孔子に謝るが、孔子曰くである。「孔子はそれに触れずに弟子たちの無事を確かめ安堵したという噺である。そのあと髪結いの亭主としっかり者の女房の話になって笑いを誘うのだが。
出久根先生は諭します。「あなたは母の怪我の有無より、車の傷を心配した。それは違うでしょう、母がキレるのも当然です。あなたは母より車の方が大事なのですか。…………あなたが自分の金で買った車というなら怒るのは当然でしょうが、それでも普通は母の運転をとがめるより、ケガをしなかったかどうかまず先に尋ねます。違いますか?違うというなら……私はもう何も言いません。」
先生の優しい物言い、それに反して年甲斐もなく小生はキレた。四十面を下げた男が、母親と半々に金を出して車を共有するなんて聞いたことない。シッカリしろと怒鳴りたくなる。借金してでも買って母に使ってもらえないのか。自分のことが淋しくならないのか……と。
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