うたのすけの日常

日々の単なる日記等

うたのすけの日常 山頭火の日記を読む その61

2008-08-21 05:43:16 | 日記

 翌日は酒壺洞さん宅をお暇して時雨亭さん宅にお邪魔しています。しかしなんとなく遠慮がちです。それは彼が神経質なそうで、近代人、都会人であり対座しているとこちらの神経にもむ影響してきて、やりきれぬ感じになると言います。どうやら山頭火野人が好みのようであります。それでも好意の持てる人と評します。<o:p></o:p>

 翌日は日曜なので朝寝の時雨亭さんに遠慮して、九時すぎまで寝床で漫読し十一時ちかくなって送られて出立しております。福岡の盛り場を散策し、そのあいだ燗酒やに立ち寄って、酢牡蛎で一杯やっています。「それでは福岡よ、さようなら!」とはまた結構なことであります。「わたや」なる二日市町の宿まで行程四里と言います。酔いもさめて四里の道程が長く疲れたとぼやきながらも夕食後、武蔵温泉まで足を延ばしてひとっ風呂浴び、また一杯やって寝るといつた案配で、これまた結構なことであります。<o:p></o:p>

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 朝日かがやく大仏様の片頬<o:p></o:p>

 師走の街のラヂオにも集まつてゐる<o:p></o:p>

 小春日有縁無縁の墓を洗ふ<o:p></o:p>

 おいしいにほひのただよふところをさまよふ<o:p></o:p>

 近づいてゆく山の紅葉の残つてゐる<o:p></o:p>

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 福岡の中洲をぶらぶら歩いているとき、ふと感傷的な言葉を洩らします。自分をほんとうに時代錯誤的だと思い、乞食坊主が何をうろうろしていると、誰とは言いませんが叱られそうな気がすると嘆きます。そして俳句にたいして思慕めいた言葉を連ねております。<o:p></o:p>

 「すぐれた俳句は━そのなかの僅かばかりをのぞいて━その作者の境涯を知らないでは十分に味はへないと思ふ、前書なしの句といふものはないともいへる、その前書とはその作者の生活である、生活といふ前書のない俳句はありえない、その生活の一部を文字として書き添へたのが、所謂前書である。」<o:p></o:p>

 

酔いがさめて埃つぽい道となる<o:p></o:p>

  からだあたたまる心のしづむ (武蔵温泉) 

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4 コメント

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Unknown (やまちゃん)
2008-08-21 11:21:59
今日は
福岡 中洲ですか。晩秋の頃から初冬の頃ですからよけい感傷的にもなりそうです。酔いがさめると余計です。
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Unknown (うたのすけ)
2008-08-21 11:40:51
やまちゃんへ。
今日は。
ずっと以前に中州を散策したことがあります。とうじ山頭火を多少でも齧っていたら、別の趣きもあったのでしょうが、ただ飲んでそれだけです。
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Unknown (■かわぐち えいこう)
2008-08-21 12:52:53
俳句はその作者の境涯を知らないでは十分味はえない・・・と山頭火が言ったので納得です。私も山頭火の短い句はその生涯を本で読んではじめて理解しました。でも極端に短い言葉は、酒飲んで作るので、面倒くさくて言葉を省略しているうちに、それが癖になって、山頭火スタイルができたのではないかとも思っていました。
肴よし酒うまし     三等下
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Unknown (うたのすけ)
2008-08-21 14:24:44
かわぐち えいこうさんへ。
今日は。
語るような句、山頭火の世界です。「肴よし酒うまし」はまっています。
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