うたのすけの日常

日々の単なる日記等

うたのすけの日常 山頭火の世界 六十三

2009-09-28 06:12:12 | 日記

しぐれて雲のちぎれゆく支那をおもふ<o:p></o:p>

小雨がそぼ降ります。なぜか雲の流れ行く様子が物悲しく感じられます。そうです、大陸の戦火に想いが馳せます。その想いは戦地で奮戦する日本兵の安否でしょうか。それとも戦火に逃げ惑うシナの住民の身の上でしょうか。<o:p></o:p>

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ひつそりとして八ツ手花咲く 戦死者の家<o:p></o:p>

大陸の戦火は果てしなく拡大していきます。町はもちろん農村からも多くの壮丁が出征して行きます。それにつれて村々の玄関の柱には、戦死者の家をあらわす標識が増えて行きました。そうした家に夕餉の賑わいは見られません。庭の片隅で八ツ手の花が控えめに咲いています。<o:p></o:p>

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しぐれつつしづかにも六百五十柱 遺骨を迎ふ<o:p></o:p>

想像出来ません。一挙に戦死者の遺骨を大陸から内地日本に迎えたのでしょうか。本日の無言の凱旋者と新聞に報じられたのでしょうか。どこの港ですか、岸壁に横付けされた船舶のタラップから、或はクレーンからですか、六百五十もの白木の箱が遺族の元に帰ってきたのです。きっと軍楽隊が物静かな曲を演奏する中、時雨にけむる中をです。<o:p></o:p>

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もくもくとしてしぐるる白い函をまへに<o:p></o:p>

今日も村に戦没者の遺骨が帰ってきました。停車場に村人たちが悲しみを抑えて出迎えています。在郷軍人の音楽隊が悲壮な曲を奏で、今未亡人の抱える白木の函が改札口から現れました。夫人の頬に泪はありません。気強く傍らの一子を抱くようにして、迎えの人たちに深々と頭を垂れます。<o:p></o:p>

しぐれが雨音を忍ばせて降りつづいていました。<o:p></o:p>


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