うたのすけの日常

日々の単なる日記等

うたのすけの日常 山田風太郎の「戦中派不戦日記」を読む19

2010-01-30 06:04:53 | 日記

鈴木文四郎氏結局は<o:p></o:p>

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この恐るべき敵を相手として、吾人何すれど今までごとき苦労にて大東亜帝国の建設成るべきや。蘭印ビルマ、支那、フィリッピン、かくのごとき無限の宝庫、これを手に得ればまさに有史以来未曾有の強大帝国現前するや必せり。而してかくのごとき広大富裕の地を、僅々四年未満の歳月を以って手中にせんとはあまりに虫よき話なり。吾人はさらに血と涙と汗を流さざるべからず。<o:p></o:p>

(参りました。論点凄まじいものがあります。まだまだ国民に犠牲を強いるのですか!)<o:p></o:p>

ドイツや危機に瀕し、ベルリンの命運あと数週も如何と思わる。ソビエトとの中立条約期限満期迫り、日本は侵略国なりと不気味なる言をスターリンの演説にきく。<o:p></o:p>

ルソンの戦局暗澹として、B29連日連夜本土を襲う。実に恐るべく肌に粟を生ずる未曾有の国難眼前にあり、日本の運命決すもこの二、三ヶ月かとすら思わる。諸君奮起せよ、祖国千年の計、否、永遠に決するの時は今にあり。東京灰燼に帰するはもとより覚悟の前なり。米は日本を日清役以前のものに追い落とすと呼号しているにあらずや。<o:p></o:p>

皇軍を解除され、工業力を奪われ、ひたすら蚕のみ飼いてヤンきーの女の靴下製造国に甘んじ得べきや諸君と。<o:p></o:p>

鈴木氏の講演終わり、新宿に急ぐ。雲冷たく夕空を覆いて風寒なり。<o:p></o:p>

 二月二日() 雪、曇、夕晴<o:p></o:p>

 昨夜十二時寝につく。いまだ眠りに入らざるに警戒警報発令。敵一機関東東西部に入る。帝都に入ることなく相模湾より南方海上に退去せり。<o:p></o:p>

 明くれば雪なり。大いなる牡丹雪、霏霏としてふり、また霏霏としてふる。またたく間に一寸ちかく積もる。街上雪水に濡れ果てて、靴底の隙より入れる冷水、靴下を浸して足指凍らんとす。夕、銭湯にゆく。空碧く晴れ、夕照赤く樹々にかがやく。……。


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