考えるための道具箱

Thinking tool box

人口減少のマーケティング

2004-09-21 17:27:03 | ◎業
当然なんだけれど、いまマーケティング戦略を考えるにあたって避けて通れないのは「人口減少経済の新しい公式(※)」。2050年という少し先のことはイメージしにくいが、2025年あたりのことはある程度考えておかなければならない。たとえば、住宅市場。図の人口ピラミッドでは、団塊&団塊jrの関係性を維持しながらそのボリウムはかなり明らかに上位に以降してしまっている(樽型。この先2050年でピラミッドは、ピラミッドではなく逆台形になる)。住宅マーケティングにおいては、この人口動態から以下のようなことを推測しなければならない。
---------------------------------------------
(1)暮らしにおいて、団塊・団塊jrの2つのボリウム層の「世代間の支えあい」が重要になる。その例は「2世帯(同居)住宅」ということになるのだが、形はいまとは違ったものになるだろう。現在も2世帯住宅のボリウムは多いとはいえ、全体から見ればたかが知れている。多くは、敷地・資金・介護などの問題を解決するために、この住まい方を選んでいる。将来も、問題解決のための同居であることは間違いないが、「支えあい」がポジティブに常態化したとき、問題の意味と解決策は異なってくる。たとえば、現在もその兆しがあるのだが、一部では親子の関係がフランクでフレンドリーになり(そもそも当然のことだが)、「2世帯近居」というトレンドが形成されている。行き来ができる距離に2つの世帯が住むことで、これは、母娘の強力な関係性-友達のような、師弟のような-に追うところが多い。近居が実現できるハード、近居を販売するモデルなどは直感的に浮かんでくる。また、地方ではあたり前の「大家族」の住まいのハード&ソフトも重要だ。
(2)この人口動態の変化は少子がもたらされるものではあるが、その要素のひとつとして考えられる、「結婚しないシングル層」の増加も大きい。結婚しない結果の住居形態は、パラサイトなども含めいくつか考えられるだろうが、ここに家計の2極分化を掛け合わせたときに、うまれる住宅の方法論を考えてみるのは面白そうだ。
---------------------------------------------
「世代間の支えあい」「シングル市場」は、ひとつの答えだと思うが、ほかには、どのようなフレームが提起されているのだろうか。

なお、グラフは、『東洋経済7/17 人口経済の衝撃 孫がいなくなる日』(東洋経済)より。出所は「国立社会保障・人口問題研究所の中位推計」。同特集号は、人口減少経済のマーケティングフレームをコンパクトにまとめていてわかりやすい。


(※)『人口減少経済の新しい公式―「縮む世界」の発想とシステム』(松谷 明彦、日本経済新聞社)を未読なのに、こんなテーマ掲げて申しわけありません。

Desperado

2004-09-20 01:10:57 | ◎書
カーペンターズのカレンも、イーグルスもいいけど、平井堅の歌う「Desperado(ならず者)」もいいので、歌詞を記しておきましょう(※)。

Desperado,
Why don't you come to your senses?
You've been out riding fences for so long now.
Oh, you're a hard one.
But I know you've got your reasons.
These things that are pleasing you
can hurt you somehow.

Don't you draw the Queen of Diamonds, boy.
She'll beat you if she's able.
You know the Queen of Hearts
is always your best bet.
Now, it seems to me some fine things
have been laid upon your table.
But you only want the ones that you can't get.

Desperado, you know you ain't getting no younger
Your pain and your hunger,
They're driving you home.
And freedom, oh, freedom
Well, that's just some people taking
Your prison is walking through this world all alone.

Don't your feet get cold in the winter time?
The sky won't show and the sun won't shine.
It's hard to tell the night time from the day.
You're losing all your highs and lows.
Ain't it funny how the feeling goes away?

Desperado,
Why don't you come to your senses?
Come down from your fences
Open the gate
It may be raining,
But there's a rainbow above you.
You better let somebody love you,
Before it's too late.


(※)麒麟麦酒のラガー&クラシックラガーのCFで流れているわけだが、ビールのようなパッケージンググッズでは、まあこういう情緒的訴求はいたしかたない。でも、ほんとうは、「まろやか酵母」とか「豊潤」とかに脚光を当てて欲しいなあ。ちなみに、このうた、リンダ・ロンシュタットも歌っているとのこと。

ブックガイドとは。

2004-09-20 01:09:07 | ◎読
(1)『現代思想 9月臨時増刊 ブックガイド60』(青土社)
---------------------------------------------
「今読んでおくべき従来の古典から現代の古典までが4頁で分かる」ということだが、当然のことながら4頁でわかるわけはない。基礎体力がないまま読むと、逆に混乱してしまう。そもそも難解で、かつ多様な解釈が許される大部のエクリチュールを選者の恣意により要約するということは、数多くの読みの変数を抱え込むことになり、着地点を見失ってしまうおそれがある。基礎体力というのは、まず「思想家」の理解であり、次に「その思想書が、思想家のなかでもつ意味」の理解、さらに「選者の立ち位置」に相違ない。もちろんグロッサリーも大前提。つまり、場合によっては著書を読むに等しい体力を要しながらも、結局は深淵に陥るだけの結果に終わってしまう可能性が高い。

それでも、こういったブックガイドを読むのはなぜか。
一介のビジネスマンである私が、これからの人生で読み理解る量はたかが知れている。『ヨーロッパ諸学の危機と超越論的現象学』は曲がりなりに通読できたとしてもフレーゲには戻れないだろうし、ネグリ&ハートは必読として読みきれても、ドゥルーズ&ガタリはたとえ必読であってもきっと手に負えない。巻頭言で木田元先生が語るように、『存在と時間』を5年ごとに読み返す、またドストエフスキーの主要作品を4~5回読み返すほうが、よほどよい人生を送れそうだ。しかし。
しかし、それでも、たとえ深淵に陥ったとしても、ここで生きている以上、彼らが考え尽くしたことを知っておきたい、という欲求には勝てない。研究対象にはフォーカスしつつ、一方で、思想の全体像を俯瞰する、という理想のために、私はこれからもブックガイドを手にし続けるだろう。

これは残量が減る一方の生に対する、オブセッションかもしれないなあ。いや、たんに読み学べる時間が足りないことへの愚痴を正当化しているだけやん。

なぜ毎週、吉本新喜劇を見続けるのか

2004-09-19 01:55:42 | ◎書
キャストもほとんど変わらなければ、ストーリーの構造も変わらない。ギャグという破調も、そのタイミング~リアクションまでお決まりだ。
吉本新喜劇は、初見ではかなりインパクトがあるから、観光名所化していてチケットが取れないというのは理解できる。しかし、大阪在住で小学生の頃から新喜劇を見続けていた私が、それでもなお毎週土曜日の13:00に毎日放送にチャネルをあわ続けるのはなぜだろう。
ずっと思案していたが、よくよく考えれば答えは簡単で、安心感がもたらすストレス解消に相違ない。ある意味、癒しと言えるだろう。な~んも考えずに、刺激なく呆けられる時間は、この世の中では、それほど簡単にはとれない。
私の場合、金曜日の深夜に1週間の出稼ぎ労働から帰宅し、土曜の朝、みっちりワークアウト(身体的)を行ったあとの、新喜劇タイムは、精神的クールダウンになるということだ。
心身ともに疲れたときに、何度も読みつくしているはずの、ドカベン~大甲子園のまたぞろの一気読みがストレス解消になるのと同じですね(※1)。

あ、でも安尾信乃介はオキニキャラなので、けっこう気合いれて楽しんでます。


(※1)ほんとうに何度も読んでいるため、爆笑太田のドカベン4コマでは、ほとんどのコマを、どの場面から引用されているのか当てることができます。だぶん、そんな人たくさんいると思うけれど。

ブランドを考える

2004-09-19 01:53:31 | ◎業
最初に結論を書いてしまうが、「ブランドを形成は、あくまで商品情報と顧客満足の集積に因る」というのが、私のブランド観(論)である。
当該の製品の商品たる確信を、愚直なまでに真摯に、わかりやすいメッセージで、しかも過剰とも思われる情報量で伝え続けること。購入の決断時・購入後において顧客の予想を超えるような気持ちいい人的サービスが、気負うことなく実践されること。この2つを、こつこつ積み上げていった、その先に生活者の賞賛がある。もちろん、生活者の課題に応える「エクセレントな製品」と「末端まで徹底されたサービスマインド」が大きな前提であることは言うまでもない。

きわめてあたり前のことを言っているようだが、ブランドイメージの向上のために、このことが確実に検討されているか、といえば、確度はけっして高くない。何かに踊らされることなくこのことを実践し続けることでブランドの価値を高めている企業も多いことは事実。しかし、一方で、何かに踊らされた結果、実体のないイメージで企業像をつくり上げんとしているケースがあることもまた事実だ。ここにある基本的なフレームは「機能的便益→情緒的便益→自己実現的便益 において後者がより大切」という考え方だろうが、足元がぐらついている状態で(=実際の商品特長を伝えきれていないままで)、頭だけを大きくしても、賢くなってしまった生活者には無視されてしまうだろう。

たとえば住宅メーカーXのCF。家を建てることを決心した息子が、そのことを自分の父親に告げ、父親はそういえばおれも同じ歳で家を建てたと感慨するお話に始まったCFの最新シリーズは、棟上の終わった新居を前に親子して2人して工事監督に(なにとぞこの家をよろしくと)深々と頭を下げるというもの。全編、感動を強要するシナリオで演出されているが、この寸劇で、見込客は同メーカーを検討候補に入れるのだろうか。X社には、じつはその品質・性能面において、見込客に伝えるべき優位性が山ほどある(機能的便益)。そこをネグって商品情報となんの関係もないイメージで企業像を作り上げようとしている姿は、勿体ない、としかいいようがない。インフォメーションリッチな耐久消費財においてこれは致命的だ(だいたい、顧客が自社の社員に頭を深々と下げている場面を写してどうすんだ。逆だろう。)。

同じ寸劇でも、長期にわたって一貫したコンセプトで、なんとかして商品情報を埋め込もうと厳しく努力している住宅メーカーYのものとは、大きな違いがある。Y社は、つまり機能的便益をわかりやすく、まさに便益という視点でコミュニケーションし続けることで
かなりスコアの高いブランドイメージを手に入れている。

某クリエイティブエージェンシーなどは、嬉々としてその先棒を担いでいるようだが、こういったコミュニケーション手法は、もはや20年前の方法としかいいようがない(※1)。わずか15秒とか30秒のCFに、なにかを期待しても仕様がないかもしれないが、限界まで挑戦する方法はいくらでもあるはずだ。無理ならなんらかの形でコンタクトのポイントを増やしコミュニケーションを淀みなく統合させればいいんだ(※2)。
コミュニケーション戦略において、商品情報を伝えることを決してあきらめない態度こそが、正しくオリジナル性の高いブランドイメージをつくりあげる、といえないだろうか。機能的な便益を丁寧に訴求し続けることで、ファン化を促進することだってできるんだ。(つづく)


(※1)20年ほど前といえば、気色の悪いトカゲが駆け回る広告が一斉を風靡していたが、この広告主は、つまりそのころから顧客のことを考えていなかったということだ。最近まで、商品とはまったく関係のないこれまた人生の感動シリーズCFを展開していたが、まさに虚像だった、と言わざるをえない(もちろん現場レベルでは、そうでないところも数多くあったと思われるが)。
(※2)言うまでもなく電通のコンタクト・ポイント(マネジメント)戦略のこと。いわば「真実の瞬間」をいかに作り上げるか、ということだが、あの電通が、本腰をいれてこの正しいブランド戦略を提起しだすと他の広告会社・MCコンサル会社は太刀打ちできなくなるだろう。マスの麻薬を断ち切れるなら、という前提つきだけど。

図解雑学シリーズ(ナツメ社)

2004-09-18 18:24:32 | ◎読
(1)『AERA 04_09_20クリントン)』(朝日新聞社)
------------------------
(2)『全解SPI実践問題集』(高橋書店)
------------------------
(3)『ビッグコミックオリジナル 10_09』(小学館)
(4)『図解雑学 構造主義』(小野功生監修、大城信哉執筆 ナツメ社)
(5)『愚か者の哲学』(竹田青嗣 主婦の友社)
(6)『パレード』(吉田修一 幻冬舎)
(7)『イメージとマネージ』(平尾誠一、松岡正剛 集英社)
---------------------------------------------
(1)月曜の東京行の新幹線で、とくに仕事をする必要もなく、かつ疲労がたまっているときに、AERAはちょうどよいサイズだ。しかし最近はターゲティングを微妙にズラしていることもあり、いまいちのコンテンツが多い。今号も、興味深い記事が載っていると思ってよくみたら広告特集だった(※1)。題して「ワンランクアップの情報武装術」。そのなかで「最新デジタル機器を使いこな」している人として、ビーコンコミュニケーションズのプランナーのBLOG活用が紹介されていた(BLOG界?では有名な人らしい=Blogstarといった新語も誕生しています)。実際のマーケティングプロモーションでの活用事例も紹介されていたので覚書として残しておきます→http://komatta3.jp/。彼のブログ(※2)では、ほかにもP&Gのネットプロモーションも紹介されいるのだが、ネットのプロモーションとしては、きっとこういったものが王道で正論であり(かつ受容度の高いメジャー)、たとえば、コンテンツの表現技術に拘泥するのはちと価値観が凝縮しすぎてるのではないだろうか。
(2)なぜ、こんなの買うんでしょうね。でもね、いま流行りの脳のトレーニングになりますよ。とても面白い。たとえば、「“原因”の同義語を“要因・理由・因果・減点・起源”から選ぶ」、「“議員”の行為を“議会・行政・選挙・立法・汚職”から選ぶ」「10進法の120は2進法では何桁になるか」「4で割ると3余り、3で割ると2余るような1000以下の自然数はいくつあるか」…。非言語能力問題については、公式さえ覚えていれば、まったく問題はないのでしょうが、算数・数学から遠くはなれた人にとっては、まあ原理(公式)を考えるようなものなので、結構たいへんだ。回答をみて公式がわかっても、「なぜなのか?」を探求するため時間がかかって仕様がない。ところで、SPIってリクルート社なんですよね。わたしが就職する頃には、こんな便利な足きり試験なかったので、知る由もなし。しかし、リクルート(HRR)おそるべし。
(3)だめですね。そういえば先号も、ほとんど読んでなかったんだ。『壁ぎわ税務官』も終わっちゃったし。あとは『弁護士のくず』か。いや、もちろん『PLUTO』は楽しみですが。いっそのこと『スペリオール』と合併してくれないかなあ。きっと、最強の青年誌になると思いますが(※3)。
(4)ナツメ社の「図解雑学シリーズ」は、盲点だったなあ。とりわけ、年かさ高くなってから、なにかを学ぼうとするときに、一般的には超難解なテーマをかなりわかりやすくまとめてくれているので助かる。なにかの合間の1~2分で、手軽にワンテーマが読めるようになっている構成も見逃せない。最近では『現代思想』『哲学』でしょうか。今回の『構造主義』も、まずサルトルとレヴィ=ストロースの対立から始めるところがビギナーには親切。ところで、気になるのは監修者の影に隠れている執筆者の大城信哉という方。なんでも、沖縄在住で、大学教授ではなく「県内各専門学校にて哲学・倫理学講義」をしているらしい。応援したい、と同時にあこがれる暮らしである。
(5)は、まあとりあえず、って感じですね。100円だったら(6)(7)は買うでしょ。


(※1)広告特集じゃないのかな?すいませんよくわかりません。正確にはAERA IN AERA-中央綴じ込み。きっと広告特集じゃないと思います…。でも、メインコンテンツでもないです。
(※2)こういうときにトラックバックを行うのでしょうが、慣れなくてすいません。http://29man.boo.jp/blog/
(※3)ビッグコミック・スペリオリジナル=PLUTO、浜ちゃん、くず、龍、黒沢、PS、浮浪、覇、医龍、キーチ、ギラギラ、あずみ、MOONLIGHT、ラーメン、ニュースの牛、漫歌、西原、唐沢、戦車映画、百年川柳。ちと濃いか。スペリオールは泣く泣く切ったもの多数。

特定保険用食品

2004-09-18 18:10:40 | ◎業
暗で定義してみました。

「特定保険用食品:さまざま試験により、その成分が健康の保持・増進に寄与することが、労働厚生省により認められた食品・飲料。健康を改善するための機能が表示できる。たとえば、ヨーグルトなどはこれにあたるが、最近のヒット商品としては、茶カテキンの含有量により体脂肪の維持効果が認められた花王のヘルシア茶がある(最近ではただの量ではなく「高濃度」というキャッチフレーズを採用)。飲料の分野では、ヘルシア緑茶以降、まず同様の「カテキン増量」型の緑茶が数多く市場参入したが、多くは特保の認可は取得していない。一方、他の成分により特保を取得している飲料も多数上市されたが、市場を席巻するほどにはなっていない。ヘルシア緑茶は、特保ブームの先鞭として市場に衝撃を与えたことや、実際は謳えないダイエット効果が(いわゆる不健康業界の人たちの間で)口コミされたことがヒットの要因とされている。もちろん「サンガリアのようなパッケージだが、よくみれば花王のお茶」という抑えも効いている。しかし、いまやロングセラー化しつつある人気のポイントは、私見を言わせていただけば、じつは、なにより味覚につきるのではないだろうか。お茶好きにはたまらない「お茶のなかのお茶の味」は、かなりおいしい部類にはいる。」

いかがでしょう。「特定保険用食品」の定義というか「ヘルシア緑茶」の定義だね。

フロンティアライト

2004-09-16 00:19:32 | ◎業
JTのいくつかの人気銘柄が8月くらいからパッケージの刷新を始めた。おおむね、入れ替えが完了しているようだが、これってどうかなあ、というのが、わがフロンティアライトだ。む~ん。近未来をイメージさせるいわゆる無/有機的なデザインをねらったのだろうが。たとえば、センティネルのような。プレゼンテーションを経て、このデザイン案が大賞に選ばれた過程が知りたいところだ。銀ってのも、ベンダーや店頭では意外と発見しにくいんだよなあ。もっとシンプルにできないものだろうか。ちょちょとパワーポイントでつくってみたが。

ということもあって、JTのサイトに意見を聞きに行こうと思ったのだが、たばこ情報のページは、20歳以上の会員制になっている。ふうーん。
で…。おい…。なんだかたいへんなことになっている。成人喫煙者の確認のために電話もしくは郵送・ファクスによる署名手続きが必要なんだと。で、ID/Pass発行まで5日~10日かかる、って。バーチャルの世界でも喫煙者の肩身が狭くなっちるよ…。
と、あきらめていいのだろうか。時間のあるとき会員になってみて、会員サイトの価値ある情報にアクセスすれば、なにか有効な見解があるかもしれない!

時間のあるときなんか、あるわけないじゃん。たぶん、このサイトに来るの1年後だろうな。さよなら。

あなたも、いろいろ肩身が狭いからわからないでもないんだけど…。

WORK-OUT

2004-09-15 18:39:10 | ◎書
ウエルッチのworkout、ジムでのworkout。つまるところは練習・トレーニングのことなんだけれど、この日本語感から想起できるのはゴリゴリ感。まさに、村上春樹が執筆に集中しているときののゴリゴリ感だ(※1)。脳と身体に強度の高い負荷をかけ、抵抗のなか、まるで満員電車の中をグイグイ抜け出していくようにゴールをめざす。そして、抜けきった、そこにある心地よい疲労感。
で、熟語としての「work out」を調べてみると、やはり「●〈計画などを〉(苦心して)作り出す、〈問題などを〉解く、〈計算を〉懸命にする 」「●〈…を〉努力して理解する
work out the meaning of a poem 詩の意味を努力して理解する」「●〈…を〉苦心して成就する」「●〈鉱山を〉掘り尽くす」など、「ワークしてアウトする」といった意味がある(※2)。「掘り尽くす」というのがわかりやすい。
プランニングにおいて「全体像を調べて列挙しつくす」「もうこれ以上は思いつかないだろうというところまでロジック考えつくす」ワークアウトこそが、報われる結果を生み出す。逃げたり、あきらめたり、手を抜いたプランは、すぐに底が見え、議論の対象とならなくなる。構えとしての「ワークアウト」は大切だ。この精神と方法論をいかに伝授していくか。
---------------------------------------------
たいそうなこと書きましたが、ちょっとワークアウトっていう言葉をつかってみたかっただけです。

(※1)「アフターダーク」も例にもれない。静謐な文章ではあるが、一文一文がかなり精緻に書き進められているのがわかる。このエネルギーで書けば、相当疲れるだろうというのもよくわかる。なんだか「アフターダーク」にひっかける話題が多いなあ)

(※2)New College English-Japanese Dictionary, 6th edition (C) Kenkyusha Ltd. 1967,1994,1998

とらばー湯

2004-09-12 00:37:22 | ◎業
「とらばーゆ」のリニューアルにともなって、表参道の紀伊国屋跡地にある日、忽然と「とらばーゆ(湯)カフェ」が現れた。このカフェはどこにでも開店しているわけでなく、ここにしかないようだ。中に入るのも面映いので、WEBをみてみると、エンターテイメント要素もふんだんで、「ターゲットでない私」にとって興味深い。さて。
マス的のものごとをうごかさなければならない、転職情報誌において、このローカルなプロモーションはどういった意味をもつのだろう。東京在住のリクルートの営業マンにとっては、クライアントへの大きな話材になるだろうし、同時に出稿されているCFと連動により、スペースブローク上は、他転職情報誌との圧倒的な差別化になる。でも。
競争戦略を検討しなければならない、女性転職情報誌なんてあったけ。
ああ、これか。なるほど、ちょうどリニューアルしてる。なんでも、同社の運営でしている転職WEBサイト「@type」上に掲出されている求人情報の中から、女性を積極的に採用している案件を抽出し、デジタル入稿システムを活用して自動転載、従来の約3倍となる361職種の求人情報を提供することが可能になったらしい(同社リリースより)。いいいじゃん。こっちのほうが。直感的には便利そうだ。

ブランドを構築するためのコミュニケーションは、かなり大雑把にわけるとすれば「機能的便益の訴求」と「情緒的(→自己実現的)便益」になる。この場合、「とらばーゆ」のように情緒的便益訴求でファンを増やすことが、情報の掲載量にも影響してくるわけだから、どちらが良いとか悪いとか判断もつきにくい。
もちろんリクルートは超エクセレントな集団だから、社内の景気づけ---モチベーションというよりまさに景気付け---なども含め計算高く考えているのだろう。しかし。
最近、ビジネスにおける「虚」と「実」が気になってしようがない私は、賢く計算高い「虚」のビジネスに踊らされることへかなりの違和感を感じはじめている。そして、こういった違和感をもつ層は、増えてくるのではないか。たとえば、団塊ジュニア、真性団塊ジュニア(R25歳くらい?)といった層の基本的な価値観を照らし合わせてみればよくわかる。よほど抜け目なく商売をしないといけないなあ。

夜の動かない街

2004-09-09 20:02:27 | ◎書
『アフターダーク』(村上春樹)のなかに、鳥の目(※)が、ほとんど動きのないTVモニターを見つめながら、「ずっと眺めていることができる」、といったようなことを語る場面があるのだが、わたしも同様の経験を思い出した。それは、豊中ケーブルテレビの深夜の放送休止映像だ。なにも視力回復のために砂の嵐を見ているというのではない。そこにあるのは、深夜の街の風景。おそらく豊中市内のどこかに定点のカメラがあり、そこからの映像を、リアルタイムで、静止状態で延々と放映しているようだ。たとえば、大阪国際空港周辺の阪神高速道路あたりであったりするため、ときおり車のヘッドライトが、モニターを横切る。ほとんど動きのない画面なのだが、こんな深夜でも点いているオフィスビルの窓の明かりや、あまりメジャーではない企業のサイン、高速道路のオレンジの街路灯などを見ているとさまざまな想像が広がり、まさに、ずっと眺めていることができる。そして、気持ちが浄化される。なぜ?これは、夜の新幹線の米原あたりの田園風景や三河安城あたりの郊外の風景、信州に向かう夜行バスのカーテンの隙間の山麓を見る感覚と似ている。寂寥感とか静謐さが、心を穏やかにするのだろうか。この状況や感情を一度うまく叙事・叙情文化してみたいと、ずっと考えている。

※まだ最後まで読んでいないので「鳥の目」としかいえません。

といざらす

2004-09-08 15:15:25 | ◎業
日曜日、伊丹のダイヤモンドシティはあいかわらず、おおにぎわいだ。大量集客ゆえに、ジャスコとといざらすは目立つ。ジャスコについては、こういった都市周辺部だけでなく、地方郊外においてもきっと多くがこんな状況であり、ある意味テーマパーク化していると同時に、日本の消費はジャスコ化していると、いえるかもしれない。重要なのは、これがマクドナルドのような虚像ではなく、きわめて買い場満足度が高いということだろう。
で、考えたいのは、といざらす。多くのSCへの出店を持続し続けていて、今後も10年までに250店という目標を掲げているらしい。店も大盛況なのでうなずける。終焉を迎えつつある米トイザラスとは大きな違いだ。東洋経済(2004.09.11)によると、本業的な「玩具」は、クリスマス商戦でしか大きな売上を確保することができず、通常月はウォールマートのようなディスカウンターに圧倒的敗退している。これまでは「毎週のオムツを買いにトイザラスに足を運ぶ人が玩具も買う」といったモデルが成立していたが、いまでは、ウォールマートの「(たとえ目玉商品としての玩具がコスト割れであっても)客の買い物カゴ全体から利益があがればいい」というモデルのほうが迫力がある。
日本ではどうなるのか。ジャスコにしても、といざらすにしても、そのヒントは、「ジェネレーションクロス」にありそうだ。低成長・人口減少を背景に、「世代間の支えあい、世代間の交流」が、消費のボリウムを占めるという考えは蓋然性が高い。中期的にはその2世代は「団塊世代」と「団塊jr世代」であるわけで、その価値観の同一性は、「1世帯では買えなかったものが買える」という消費状況を生み出す可能性もある。親-子、親-子-孫で、一緒にレジャーがてらジャスコSCにいく。SC内のトイザラスに行く。住まい方の新現象としての「2世帯同居→2世帯近居」を新しい器とした、少子高齢から生まれる新需要も捨てたものではない。

新しい村上春樹

2004-09-07 16:07:05 | ◎読
(1)『アフターダーク』村上春樹、講談社
(2)『群像』10月号、講談社
(3)『私の英単語帳を公開します!尾崎式の秘密』尾崎哲夫、幻冬舎
---------------------------------------------
毎月初、7日くらいに、出版各社の文芸誌がいっせいに発売される。買っても、結局半分以上は読まないので、絞ることにしている。横並び新聞広告を見てあれこれ悩むわけですね。今月は『新潮』の「筒井康隆・町田康・中原昌也の対談(←みんなバカ笑いしていた…)」「新人賞(←ピンチョン!?との惹句)」と、『文学界』の「新しい書店よ目覚めよ― 青山ブックセンター騒動を考える(柴田元幸ら)」「行きはよいよい帰りはこわい― 熊野大学日記から(浅田彰)」「アメリカン・ヴォイセズ(新元良一)」などで迷ったわけですが、プロモーショナブルな『群像』の「新しい村上春樹」にしました。いきなり謎解き、ってのもなんだけど、謎解きにかける時間もないので加藤典洋氏と大澤真幸氏におまかせしました。まあ、謎解きはやっていなし、そもそも謎解くために読むような小説でもないんだけど。