すべての頂の上に安らぎあり

今日はぼくに残された人生の最初の一日。ぼくは、そしてぼくたちは、この困難と混乱の社会の中で、残りの人生をどう生きるか?

「鳥の話」

2019-04-12 19:11:57 | 自然・季節
 先日、自然教育園の売店で「知っているようで知らない鳥の話」という新書を目にして買ってみた。副題が「恐るべき賢さと魅惑に満ちた体を持つ生き物」という。(細川博昭著、サイエンス・アイ新書。)
 ごくやさしく書かれた科学読み物なのだが、これが非常に面白い。
 例えばカラスの仲間であるカレドニアガラスは、道具を使って食べ物を得るこ時にができる。木の穴の中に潜むカミキリムシの幼虫を、棒を穴に差し込んでつついて怒らせて、出てきたところを捕食する。
 これだけなら大したことはないが、道具を作ることもできる。二股になった木の枝を折り取って、不要部分を捨てて、先端がかぎ状になった棒を作って、これを差し込んで幼虫に引っ掛けて引っ張り出すことができる。
 さらに、実験室で、まっすぐな針金を与えられると、これを鈎状に折り曲げて、餌の入ったバケツを穴から吊り上げることができる。同じようにオウムも、道具を作ることができる。
 オウムの仲間であるヨウムは、訓練されると、物の色や形など人間の使う概念を理解、識別することができる。
例えば、青い洗濯ばさみ、青い鍵、青いはさみなどを並べて、「共通するものは何?」と訊くと「色」と答える。さらに「それは何色?」と訊くと「青」と答える、とか。
 体の仕組みの話も面白い。
 例えばフクロウは左の耳が右の耳よりも少し高い位置についていて、水平方向だけでなく上下方向にも、獲物の位置を正確に計測できる、とか。
 中でもすごいと思ったのは、カモ類の卵は1時間ぐらいの誤差の範囲で、ほぼ同時に孵化できるということ。一日ずれてしまうと、あとから孵化したヒナが不利になる。これを避けるために、孵化が近づくと、たくさんの卵の中で、ヒナ同士が内側から殻をつついて音を出して情報を交換し合い、それによって脳内の成長スイッチをコントロールして、自分の成長を遅らせたり早めたりすることができる(こんなこと、どうやって調べたのだろう?すごくね?)。
 カルガモのお母さんがそっくり同じようなたくさんの雛を連れて移動している姿を見かけるのはこのためなのだそうだ。
 まだほかにも、どうしてアネハヅルは高度1万メートルを飛べるのか、とか、どうしてタンチョウは凍傷にならないのか、とか、渡り鳥は空中で眠れるのか、とか、興味深い話がたくさんある。
 サル類に見られる「子殺し」は有名だが、ある種の鳥類にも、自分の遺伝子を残すためにメスが生んだ別のオスのヒナを殺す生態が見られるのだそうだ。例えば、ツバメもそうらしい。ツバメの巣の下にヒナが死んでいるのは、事故や外敵のせいではなく、若いオスの仕業かもしれない、のだそうです。
 この本はお薦めです。
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